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大いなる可能性を秘めた
超小型成層圏観測プラットフォームとは?(後編)

実用化目前の超小型成層圏観測プラットフォーム。
この技術の可能性について、将来の社長が、気象防災事業部ラジオゾンデ担当の清水事業開発グループ長と宇宙防衛事業部の澤村事業開発グループ長に話の続きを伺います。

将来の社長
このプラットフォームを分かりやすく一言で説明するとなんなの?

清水さん
「観察したいエリアに居続けてくれて、打ち上げたい時に、即、安価で飛ばせる」です。
例えば、低軌道を周回する人工衛星が同じ地点の真上を通過するには、地球の自転の影響で約1日から数日かかります。   

将来の社長
えっ、そうなの!? それじゃ、1日ずっとの定点観察はできないね。

清水さん
人工衛星は、上空からのデータが欲しい人にとっては魅力的なシステムですが、ぐるぐると地球を周回し、同じ場所には数日に一度しか戻ってこないので、24時間365日いろいろな場所でデータが欲しい人がいないと、無駄なコストがかかってしまいます。
また、受信局がないとデータ送信ができないため、情報が手元に届くまでにタイムラグが発生することがあります。
飛行機やドローンの場合も、通信距離に限界があるため、利用に制約が生まれます。

澤村さん
一方、我々のプラットフォームは、常時双方向での通信が可能なため、リアルタイムで画像や動画のやり取りができます。
これは、広い通信範囲を確保しながら、そのエリアに留まれることで実現できるようになりました。
また、軽気球なので、打ち上げたい時にすぐに打ち上げられる即時性でも優れています。

将来の社長
いいね!ビジネスは、スピードが命だからね。
国内はもちろん、海外でも需要があるんじゃない?

清水さん
はい。海外からの問い合わせもあります。
最近では、「森林火災の監視」に活用したいという相談が寄せられました。
例えば、カナダで発生する森林火災は、面積が広大なため、火元を特定するのが非常に困難です。
これまでは飛行機による監視が主流でしたが、このプラットフォームは、上空で2日間稼働ができるので、火元の確認はもちろん、火災予防の用途でも期待されています。
さらに、特定地域の海上での不審船の観察などでの活用も期待されています。

将来の社長
いいねぇ。これからどんどん新たな使い方が出てくるんじゃない?

澤村さん
新しい技術ですから、きっと、そうなると思います。
今、特に期待されているのは、災害時の緊急通信手段としての役割です。
地震や台風などの災害で既存の通信網が遮断されても、臨時の通信網としてすぐに活用できます。
この気球に通信装置を搭載して打ち上げれば、1つの気球で半径500kmぐらいの範囲をカバーできます。
名古屋から1つ打ち上げれば、東京と大阪も通信中継  ができるようになります。

将来の社長
災害時に、それは助かるね!

澤村さん
通信が遮断されている時に、現地と最新の情報をやり取りできることは非常に重要です。
現状把握の面でも大きな意義があります。
また、通信が届かないエリアのカバーや海難救助にも貢献できると思います。

将来の社長
このプラットフォームで、気象分野の可能性も広がるの?

清水さん
予測への応用が期待されています。
日本では、海洋上の観測が不足しているため、この課題を解決できれば、天気予報の精度向上につながります。

将来の社長
海の上を観測したら、どうして予報制度が上がるの?

清水さん
例えば、沖合の湿気や水蒸気の状況を把握できるようになったら、湿った空気の行方や集まりが分かるようになり、より精度の高いピンポイントな雨予報が可能になると思います。

将来の社長
じゃあ、台風や線状降水帯の予報が当たらないことがあったのも、海上の水蒸気量の分析不足が原因だったの?

清水さん
そうですね。今、日本の沖合では水蒸気量を観測する拠点がほとんどなく、データが不足しています。
沖縄や八丈島のような島や海上ブイ、観測船などで観測は行われていますが、それだけでは日本を取り巻く広大な海域のデータが十分に得られているとはいえません。
このプラットフォームを活用すれば、センサーを海上に落として直接データを取得し、これまで把握できなかった海上での水蒸気量を観測できるようになると思います。

将来の社長
どれも、活用されたら、現状から大きく変わる領域だね。
これらの技術は、いつごろ実用化しそうなの?

澤村さん
2年後の2027年のサービス開始を目指しています。
現在、すでに試験的なサービスは開始しており、お客様と実証実験を進めています。

将来の社長
実現は、すぐじゃん!
それにしても、今回の話を聞いて、観測以外の分野でも大きな可能性があると感じたのはボクだけかな?
いっそ、観測と付けるのはやめて、名前を「超小型成層圏プラットフォーム」にしたらどう?

清水さん
言われてみれば、そうですね。短くなるし、可能性を感じられますね。
検討してみます! 

将来の社長
実用化したら、一番に教えてね!

清水さん 澤村さん
はい!

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