1. 社会的責任
a. コンプライアンス
当社グループは、社会とお客さまと共に持続的な成長を遂げるためには、ステークホルダーからの期待に応え、信頼を得ることが重要と考えており、この考え方に基づいて、私たちが実践すべきことを「IHIグループ基本行動指針」にまとめ、役員・従業員の遵守を求めています。また、コンプライアンスの重要性を浸透させるため、毎年5月10日の「コンプライアンスの日」や社長年頭挨拶などで、社長をはじめとする経営幹部から繰り返し、コンプライアンスの徹底を求めるメッセージを発信しています。
体制面では、リスク管理会議の下部機関となる全社委員会組織としてコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンスに関わる重要な方針を審議・立案し、活動を推進しています。
さらに、すべての役員・従業員などによる、法令、社内規定や社内外のルールに対する違反やそのおそれのある行為などを未然にあるいは早期に把握し、適切な是正を図るための内部通報制度として、「IHIグループ コンプライアンス・ホットライン」を運用しています。
しかしながら、一部の役員・従業員による法令・規制違反等が生じた場合、過料や課徴金、追徴課税等による損失や営業停止等の行政処分による機会逸失を被る、あるいはそれに伴う社会的評価の低下によって当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社子会社である株式会社IHI原動機においては、船舶用エンジン及び陸上用エンジンの試運転記録に不適切な修正が行なわれていたことが判明しました。弁護士をはじめとする外部有識者を中心とした特別調査委員会の調査結果及び提言を踏まえ、2024年10月30日に当社及び株式会社IHI原動機としての再発防止策を策定し、公表しました。
当社子会社である新潟トランシス株式会社においては、同社が製造及び販売した除雪車の一部が、お客さまに提示した仕様と異なっていたことが判明しました。事実関係及び原因究明の調査結果を踏まえ、対象機種の除雪性能試験を網羅的に実施した上で、お客さまへの対応並びに再発防止策の策定を行ないました。
また、2023年9月に公正取引委員会の立入検査を受けた、当社子会社であるIHI運搬機械株式会社の機械式駐車装置事業については、本年3月24日に、同委員会により、独占禁止法に違反する行為があったことが認定されました。同社は、公正取引委員会に対し、課徴金減免制度の適用申請を通じて自主的に違反行為を申告するとともに、その後一貫して同委員会の調査に協力してきたため、課徴金の免除が認められ、排除措置命令も受けていません。
当社グループは、上記の不適切行為に対し、当社社長をはじめとする経営幹部からのメッセージ発信、社内規程の見直し、コンプライアンス教育の強化、人事ローテーションの推進、職場対話活動の実施等、再発防止の徹底に取り組み、不適切行為を起こさせない仕組み作りや組織風土の見直しなどの取り組みを進めてきました。今後とも、コンプライアンスが真の企業文化として定着するよう真摯に努め、ステークホルダーの皆さまからの信頼回復に一丸となって取り組んでまいります。
b. 環境保全
当社グループには,製造工程で,大気・水質・土壌汚染等の原因となりうる物質を使用している事業所・子会社等があります。これらの物質の管理には万全の注意を払い,万一外部に漏洩した場合においてもその拡大を最小限に抑えるための対策を講じています。しかしながら,想定外の事態が発生した場合には,社会的評価の低下を招くとともに損害賠償責任が生じ,当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
c. 人権・ダイバーシティ
当社グループの事業基盤を維持し、将来の成長につなげていくために、バリューチェーン上のステークホルダーを対象とするグリーバンス(救済)メカニズムとして通報窓口を設置するなど、事業活動全般にわたり人権を尊重した上で、多様な個性や価値観を有する人財が活躍できる組織風土の醸成を図っています。しかしながら、当社グループの事業活動において、人権の侵害や人権を軽視した事象が発生した場合、社会的信用の喪失、あるいはお客さまとの取引停止や損害賠償責任が発生する可能性があります。また、経営における意思決定の場に多様性が欠如した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
d. 関係会社の統制
当社グループは、グループ経営を通じて、お客さまに対し、高い価値を提供することに取り組んでいます。そのためには、当社グループの各社が、各国、各地域の各種法令、社会的規範に従って事業を行なうだけでなく、適切なグループ経営を推進する必要があります。しかしながら、個社が、他のリスクに示す事項に対する不適切な対応や独自の経営判断により、お客さまに対して損害又は評価の低下を生じさせ、結果として当社グループの業績や社会的信用に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
e. 安全衛生
当社グループは事業所及び建設現場における安全衛生管理に万全の対策を講じていますが、万一不測の事故・災害等が発生した場合には、生産活動に支障をきたし、その結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、各種損害保険等に加入する等の対策を講じていますが、大規模な事故や災害が生じた場合、損害のすべてを保険求償できない可能性があります。