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環境マネジメント

考え方

IHIグループは、ESGを価値観の軸に置いた経営を行っています。
2025年度まで、「気候変動への対策」「地球環境の保全」「資源循環型社会の形成」の3つを環境の重要課題として、社会システム全体の環境負荷低減に継続的に取り組んできました。2026年度からは、近年の社会動向を踏まえ、これまで取り組んできた「地球環境の保全」の考え方を発展させ、「自然資本の保全」としました。
また「気候変動への対策」については、経営上の重要課題と位置付け、製品・サービスのライフサイクルにおける温室効果ガス(GHG)排出量を指標として、バリューチェーン全体でのカーボンニュートラルにつながるビジネスを提案しています。IHIグループは、これらの環境の重要課題に取り組むための行動指針として「IHIグループ環境基本方針」を定めています。

方針

IHIグループ環境基本方針

IHIグループは、「IHIグループ基本行動指針」第7条(地球環境に対する責任)に基づき、以下のとおり行動指針を定め、自主的かつ積極的に活動していく。

第1条(環境管理体制の構築)
環境管理体制を構築し、具体的な目的・目標を設定して確実に実行・評価し、継続的改善を図る。
第2条(環境法令等の遵守)
環境関連法令・協定および関連業界の方針・計画を遵守するにとどまらず、必要に応じ自主管理基準を定めて運用し、環境管理の向上に努める。
第3条(環境に配慮した製品等の提供)
地球環境の保全および環境負荷の低減に貢献する製品、サービスおよび技術を社会に提供する。
第4条(事業活動における地球環境の保全および環境負荷の低減)
IHIグループのすべての事業活動において、以下のとおり地球環境の保全および環境負荷の低減に努める。
  1. 地球環境の保全
    持続可能な社会の実現に向けた、大気、水質および土壌汚染防止ならびに生物多様性への影響削減と保全
  2. 環境負荷の低減
    脱炭素社会および資源循環型社会の実現に向けた、エネルギー使用量、温室効果ガス排出量および水使用量の削減ならびに地球資源の利用効率改善および廃棄物の発生抑制
第5条(環境教育)
環境教育を通じて、IHIグループ各社の役員、従業員、派遣社員等、業務に従事するすべての者の環境意識を高め、自らが環境問題に関心を持ち、行動できるようにする。
第6条(情報開示)
地域社会との融和ならびに地域環境の保全および環境負荷の低減のために、社会活動への参加と適時かつ適切な環境情報の開示およびステークホルダーとコミュニケーションを積極的に行なう。

ガバナンス

IHIグループでは、ESG経営推進会議の下、環境委員会が中心となって環境活動を推進しています。本委員会は、グループESG担当役員を委員長、副事業領域長・事業領域管理部長などを委員としています。さらに、環境委員会の下部組織として環境管理責任者連絡会や環境の重要課題に関わる活動を推進するための各種分科会を設置しています。
環境委員会では3つの重要課題「気候変動への対策」「地球環境の保全(2026年度からは「自然資本の保全」)」「資源循環型社会の形成」について、活動方針や計画、目標を審議・決定し、進捗状況の報告を行っています。経営上の重要課題である「気候変動への対策」については、バリューチェーン全体でのカーボンニュートラル実現に向けて、製品使用時に排出されるGHGの削減ロードマップの策定や、工場・事業所において排出されるGHGを削減するための設備投資などの実施状況をモニタリングしています。
環境委員会で議論された内容は、ESG経営推進会議に報告され、経営層から受けたフィードバックについては環境委員会での決定事項とともに、国内および海外グループ会社まで周知・展開する体制をとっています。
本委員会における議論のうち、経営上の重要な意思決定に関わるものについては、経営執行における意思決定機関である経営会議での審議を経て、取締役会に付議しています。
環境管理責任者連絡会は、工場・事業所における環境法令の遵守や地域社会への環境負荷低減を中心に取り組み、その活動内容は環境委員会に報告されます。また、各種分科会の活動についても環境委員会にて報告されています。

環境管理・活動推進体制図

環境管理・活動推進体制図

委員会・会議体の説明

会議体 目的 参加者 開催回数
(2025年度)
環境委員会 環境活動の立案と推進 委員長:グループESG担当役員
委員:事業領域、事業所、本社部門の環境統括責任者
3回
環境管理責任者連絡会 事業領域、事業所の特性に応じた環境改善活動の推進 メンバー:事業部、事業所、本社部門の環境管理責任者
事務局:総務部
3回
地区事業所 環境担当者連絡会 実務担当者による環境活動に関する情報共有と議論 メンバー:IHIの主要事業所の環境担当者
事務局:総務部
2回
カーボンニュートラル分科会 事業領域の生産拠点の特性に応じたカーボンニュートラル施策を立案、実行 メンバー:事業領域
事務局:総務部
2026年度より、タスクフォース活動から移行
気候移行計画分科会 気候リスク・機会の評価とそれに基づく気候移行計画の策定 メンバー:事業領域
事務局:総務部
個別会議 10回
全体会議 1回
調達脱炭素分科会 調達活動におけるGHG削減施策の立案、実行 メンバー:総務部、本社調達部
事務局:総務部
個別会議 5回
全体会議 1回
自然資本分科会 自然資本・生物多様性の基本方針の策定および自然資本保全の施策を立案、実行 メンバー:事業領域、事業所の環境担当者
事務局:総務部
2026年度より
サーキュラーエコノミー分科会 資源循環の概念を取り入れた事業の推進 メンバー:事業領域、本社部門
事務局:総務部
会議 2回
ワークショップ 4回

戦略

IHIグループは、短期(1年)、中期(3年)、長期(2040年度まで)の時間軸の下環境活動に取り組んでいます。中期的には3カ年ごとにグループの環境活動計画を立て、さらにそれに基づいた短期目標を定めて環境活動に取り組んでいます。環境活動計画は、社会が求める環境価値の提供を念頭に、「IHIグループ環境基本方針」に基づき策定しています。
2023〜2025年度の3カ年計画「IHIグループ環境活動計画2023」は、「気候変動への対策」「地球環境の保全」「資源循環型社会の形成」の3つの柱で構成しています。
2026年度から始まる新たな3カ年計画では、「気候変動への対策」「自然資本・生物多様性の保全」「資源循環型社会の形成」の3つの柱で構成しています。

ビジネスプロセスにおける環境への取り組み

ビジネスプロセス 取り組み事例 参照
研究、開発
  • モデルベース開発の導入による開発期間の短縮
  • クリーンエネルギー分野の技術開発
  • 自動化・省人化技術の開発

気候変動

技術情報

設計
  • 製品ライフサイクル全体でGHG排出量を削減するための設計
  • 社会ストックの有効活用を考慮した設計

気候変動

サーキュラーエコノミー・汚染防止

調達
  • 「IHIグループ取引先行動指針」への環境テーマ(気候変動への対策、水資源・化学物質・廃棄物の適正管理、生物多様性の保全)の組み込み

サプライチェーン・マネジメント

PDF:IHIグループ調達基本方針(1.3MB)

製造
  • エネルギー使用状況に応じた省エネルギー活動、低炭素エネルギーの使用
  • DXの導入による生産工場のスマートファクトリー化
  • 環境法令・規制に基づいた排水管理、化学物質管理
  • 取水量のモニタリングによる水使用量の低減
  • 原材料の歩留まり向上、分別の徹底によるリサイクル率の向上

気候変動

サーキュラーエコノミー・汚染防止

営業、販売
  • 環境負荷の低減に貢献する製品・サービスの提案
  • カーボンニュートラル実現に貢献する製品の販売
  • 気候変動への適応のための製品の販売

環境マネジメント

気候変動

物流
  • 積載率の向上、船舶の積極的使用によるモーダルシフト推進

気候変動

使用、保守、廃棄
  • 省エネ・省資源、製品の長寿命化につながるライフサイクルビジネスの展開

サーキュラーエコノミー・汚染防止

リスク管理

IHIグループは、グループ全体のリスク管理活動の一つとして、環境リスク低減のための環境設備投資、法規制への対応、省エネ、廃棄物排出量の削減など環境負荷低減に取り組んでいます。事業領域やSBUごとに、これらの個別テーマに沿った環境活動計画を年度初めに立案し、進捗を含めて環境委員会においてフォローアップし、PDCAサイクルを回しています。また、リスク管理会議において、環境事故・法令違反について報告しています。
また、製品・サービスが環境に与える影響を評価して、環境性能に優れたものを提供しています。

環境情報の収集とモニタリング

IHIグループは、海外グループ会社を含めて環境管理の対象拠点を設定しています。各拠点に責任者を置いて環境活動を展開し、環境情報の収集とモニタリングにより適切な管理をしています。
環境管理対象となるグループ各社の事業形態はさまざまで、工場を有し生産活動を行う会社、エンジニアリングと現場での建設工事を主体とする会社、工場を持たず事務所部門のみの会社などがあるため、それぞれの特徴を踏まえた管理をしています。拠点ごとにGHGの排出やエネルギーおよび水の利用などについての管理体制を確認し、効率的に環境情報を収集する仕組みを構築しています。
また、GHG排出量のうちScope3のカテゴリ11については、2023年度にデータを収集・モニタリングすべき製品を特定し、2024年度にそれらのScope3排出量削減ロードマップの策定に着手しました。2025年度は事業ごとに長期の削減アクションプラン検討、リスク・機会および財務影響の試算ならびに短中長期の排出量試算を行いました。

エネルギー管理

IHIグループでは、エネルギー使用量を削減するため、適時適切な環境情報のモニタリングを行っています。エネルギー使用量の多い工場を中心に、リアルタイムでエネルギー使用を見える化し、把握できるシステムを導入しています。さらに、これらの工場では第三者による省エネ診断を実施するなど、常にエネルギー使用状況に応じた省エネ活動に取り組んでいます。
2023年度からはIHIグループ内の工場・事務所を対象に外部講師参加の下、主要設備の運用状況を確認し、省エネルギーにつながるポイントを抽出するワークショップを開催しています。

ISO14001(環境マネジメントシステム)

IHIグループは、主要な生産拠点を中心に、各環境管理拠点単位で環境マネジメントシステム(EMS)を確立し、環境管理活動のPDCAサイクルを回しています。また、各環境管理拠点でISO14001認証を取得し、確立したEMSが国際レベルであることを担保しています。
ISO14001認証は、各環境管理拠点の事業活動に最適な審査機関で取得しています。
IHIグループは、ISO14001に基づくEMSの適合性と有効性を、各環境管理拠点で定期的に実施される内部監査・外部審査を通じて評価し、改善を繰り返して環境管理レベルの向上に努めています。
2025年度の外部審査では、ISO14001認証取得の全環境管理拠点で改善指摘事項がなく、ISO14001の要求事項に適合したEMSの維持を確認しました。

製品・サービスを通じた環境負荷低減

IHIグループは、製品・サービスの設計から材料調達、製造、使用、廃棄に至るまでの環境負荷低減に考慮した事業活動を行っています。
特に大型投資案件では投資審査のプロセスで、環境チェックリストの提出を義務付けて、事業活動が環境に負荷を与えないことを確認する体制を取っています。
また、製品のライフサイクル(研究、開発、設計、調達、製造、使用、サービス、廃棄)の各段階で、環境配慮(省エネルギー、GHG排出量の削減、省資源、環境リスク低減)が組み込まれているかを評価しています。
IHIグループは、環境への負荷低減のために次のような製品を提供しています。

  • エネルギー関連機器
    コージェネレーション設備、原子力発電用機器・装置、原子燃料サイクル関連機器設備、火力発電所・産業プラント用環境装置(排煙脱硝装置/排煙脱硫装置)、地熱発電用大型冷却塔
  • 防災・減災
    河川・ダム用水門設備、制振装置・免震床
  • モビリティ
    自動車用ターボチャージャー、航空エンジン、舶用原動機
  • その他
    嫌気性排水処理装置、環境配慮型ビル

指標と目標

IHIグループ環境活動計画2023(2023年度~2025年度)の目標と実績

(対象:IHIおよび連結子会社)

活動計画 2025年度の目標 2025年度の実施状況・実績
気候変動への対策 設備投資によるScope1、2合計を2022年度比で12,000t-CO2e削減 2023年度から2025年度までの3年間で、設備投資によるScope1、2合計14,400t-CO2相当削減
エネルギー消費原単位を2022年度比で3%低減 2022年度エネルギー消費原単位17.0TJ/百億円に対し、2025年度実績は13.3TJ/百億円であり、対2022年度比22%低減
資源循環型社会の形成 廃棄物排出量を2022年度比で3%以上削減 2022年度廃棄物排出量23,044トンに対し、2025年度実績は20,254トンであり、対2022年度比12%削減
リサイクル率の定義を見直し、最終処分量(全廃棄物の90wt%以上)を把握 中間処分業者と最終処分業者へヒアリングを実施したが、2次中間処理以降の処理実績データが網羅的に入手できなかったので、2027年度施行の廃掃法施行規則の改正による開示情報を活用する。
取水量を2022年度比で3%以上削減 2022年度取水量4,037千㎥に対し、2025年度実績は4,289千㎥であり、対2022年度比6%増加(生産量増加およびバウンダリ変更に伴う減少により、総じて取水量が増加)
地球環境の保全 環境事故および環境法令違反の発生件数ゼロ 環境事故および環境法令違反の発生件数ゼロ

IHIグループ環境活動計画2026(2026年度〜2028年度)

(対象:IHIおよび連結子会社)

3カ年目標 2026年度の目標
気候変動への対策 Scope1、2排出量150千t-CO2e以下
(2019年度比で41%以上削減)
Scope1、2排出量173千t-CO2e以下
(2019年度比で32%以上削減)
エネルギー消費原単位を2025年度比で3%削減 エネルギー消費原単位を2025年度比で1%削減
気候移行計画の策定と実施 気候移行計画の策定、事業計画への反映
Scope3カテゴリー1、11排出量の算定精度向上 Scope3カテゴリー11排出量に加えて、カテゴリー1排出量(2025年度実績)の第三者認証を新たに取得
製品によるGHG削減貢献の発信 削減貢献量を算定する製品を選定し、試算・算定方法確立
自然資本・生物多様性の保全 環境事故および環境法令違反の発生件数ゼロ 環境事故および環境法令違反の発生件数ゼロ
自然資本の保全に対する従業員の理解と浸透、自然資本への向き合い方の整理 工場・事業所の生物多様性調査と、自然共生サイトなどへの登録に向けた準備
資源循環型社会の形成 取水量を2025年度比で3%以上削減 取水量を2025年度比で1%以上削減
サーキュラーエコノミーを考慮したライフサイクルビジネス拡大 サーキュラーエコノミーの考え方を織り込んだ業務プロセスを活用し、ビジネスモデルを検討
そのモデルを活用したLCBの定着化
電子マニフェストを活用した廃棄物リサイクル率の算定精度向上 電子マニフェスト導入率の向上

ISO14001認証取得状況

対象 項目 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
IHIおよび連結子会社 全拠点数 75 73 71 73

認証を取得している拠点数

45 45 46 45

カバー率(エネルギー消費量ベース)(%)

81.3 81.0 85.1 85.7

カバー率(拠点数ベース)(%)

60.0 61.6 64.8 61.6
IHIおよび国内関係会社 全拠点数 62 60 60 59

認証を取得している拠点数

37 36 36 33

カバー率(エネルギー消費量ベース)(%)

─ 84.8 83.7 84.5

カバー率(拠点数ベース)(%)

59.7 60.0 60.0 55.9
海外関係会社 全拠点数 13 13 11 14

認証を取得している拠点数

8 9 10 12

カバー率(エネルギー消費量ベース)(%)

─ 60.5 97.1 96.1

カバー率(拠点数ベース)(%)

61.5 69.2 90.9 85.7

取り組み

教育・浸透

環境教育

IHIグループでは、環境教育として、全従業員を対象とした教育・浸透活動と、各環境管理拠点の管理担当者などを対象とした教育を実施しています。
環境教育については、「サステナビリティ・ESG」をテーマとしたe-ラーニングの中で行っています。また、毎年6月を環境月間と定め、従業員の環境意識の底上げを図るために、全従業員を対象とした環境クイズや、社内報を通じてカーボンニュートラルに向けた社内活動の情報提供を行っています。
またISO14001認証を取得している環境管理拠点では、これに基づいた教育を実施しており、節水、廃棄物管理、省エネなどの意識付けを行っています。

環境教育・研修の受講者数

(単位:名、対象:IHIおよび国内関係会社)

対象者 教育内容 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
従業員 e-ラーニング ─ ─ ─ ─
環境クイズ 1,992 2,674 2,554 2,324
カーボンニュートラルカードゲーム教育 ─ ─ 30 156
環境担当者 省エネ集合研修など 88 68 114 125
サーキュラーエコノミー研修など 56 51 86 71

環境負荷低減

環境負荷低減コスト

(単位:百万円、対象:IHIの工場・事業所)

項⽬ 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
投資額 563 1,048 1,377 2,179
費用額 151 365 778 591

環境関連設備投資(2025年度)

(単位:百万円、対象:IHIの工場・事業所)

種別 投資金額 主な内容 投資効果
環境投資額 2,179

省エネ・気候変動対策※

1,543 太陽光発電の導入、工場内個別空調設備の導入など 使用エネルギーの減少およびCO2排出量の削減

環境リスク対策

636 老朽化設備の更新など 重大な環境法令違反と環境事故発生はゼロ

連結子会社の投資金額を含めた場合、1,925百万円です。

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