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技術開発に対する考え方

IHIグループは、自然と技術が調和した社会を目指し、複雑化した社会課題に対してさまざまな未来の可能性を描き、多様なパートナーと協力して技術を培い、新しい価値を継続的に提供していく技術開発に挑戦しています。
モデルベース開発(Model Based Development)を導入し、技術開発の初期段階で、多種多様なシミュレーションを実施して、開発のボトルネックや理論限界を見極めて最適な開発計画を立案し、技術開発を進めています。また、スケールアップのための実証試験をシミュレーションに代替することで、開発期間を短縮し、開発技術の早期の実用化を目指しています。

注力する技術開発

IHIグループは、「グループ経営方針2023」で示した成長事業、育成事業、中核事業の目指す姿の達成に向けて、研究費・人的リソースを集中して、技術開発を行います。
成長事業である航空宇宙分野においては、環境にやさしい航空機を実現するため、装備品および機体の軽量化や電動化、持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)に関する技術開発を行っています。
育成事業であるクリーンエネルギー分野においては、燃焼してもCO2を排出しないアンモニアをサステナブルな燃料として位置付け、需要喚起とバリューチェーンの構築のため、高効率なアンモニア焚きガスタービンの開発を進めています。2022年には、世界初となる液体アンモニアのみを燃料とするCO2フリー発電(2MW級)を実現し、燃焼時に発生する温室効果ガスを99%削減することに成功しました。
中核事業である資源・エネルギー・環境、社会基盤、産業システム・汎用機械分野においては、ライフサイクルビジネスを軸として、CO2削減、自動化・省人化に取り組んでいきます。

研究開発費の推移

研究開発費(2022年度実績、セグメント別内訳)

カーボンニュートラル実現に向けて

IHIグループが2050年のカーボンニュートラル達成に貢献するためには、CO2を排出しないCO2フリー燃料への転換、カーボンリサイクル、エネルギーマネジメントなどの複数の技術を並行して開発する必要があります。
また、その移行期には既存発電プラントの高効率化、CO2排出量低減に関する技術開発も重要です。
さらに、IHIグループは、炭素データの効率的な収集、環境価値化を目指すことにも取り組みます。

カーボンニュートラル燃料

IHIグループは、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアを、安価で安全輸送ができる水素キャリアとしてだけでなく、燃料として利用する技術開発に先駆的に取り組んでいます。世界で初めて商用レベルでのアンモニア燃焼を実証する予定であり、燃料アンモニアの大規模燃焼(熱量比20%)に向けて計画的に取り組んでいます。海外のパートナーとは、再エネ由来のグリーンアンモニア製造等の検討を進めています。
IHIグループは、バイオマス発電において複数の火力発電所の専焼化改造工事を受注しているほか、建設から運転・保守を含む事業全般を手がけ、カーボンニュートラルな電力の提供を最適運用でサポートしています。

バイオマス発電における専焼化とは、火力発電所においてバイオマスのみを燃料として利用することです。化石燃料の一部をバイオマスに置き換えて燃焼させる混焼とは違い、CO2排出量は実質ゼロとみなすことができます。

カーボンリサイクル

IHIグループは、事業所の排ガスからCO2を回収する化学吸収法や、空気から直接CO2を回収するDAC(Direct Air Capture)技術に関する技術開発を行っています。また回収したCO2の有価物(メタン、化成品の原料となる低級オレフィン、SAF)への転換などのCCU(Carbon Capture and Utilization)の技術開発も進めています。工場などから排出されるCO2と水素を触媒で反応させることで、燃料であるe-methane(合成メタン)を製造するメタネーション装置の販売を開始しました。これには、世界トップレベルの長寿命を誇る自社開発の触媒を採用しています。メタネーションは既存の都市ガスインフラを活用できることから、カーボンニュートラルに向けたキーテクノロジーの一つです。
また、航空エンジンのCO2排出量削減に貢献するSAFの実用化に向けた検討・開発を継続して進めています。SAFの合成技術開発に関して、ISCE2(Institute of Sustainability for Chemicals, Energy and Environment)との共同研究を進めており、ISCE2と実施中のCO2を原料とした低級オレフィン合成の開発経験をもとに、AIの一種である機械学習等を活用しながら触媒組成・反応条件などの試験条件を効率的に探索・調整することで、SAF合成において高い性能を持つ触媒を開発しました。この触媒は、H2とCO2を直接反応させるSAF合成触媒において世界トップレベルの性能であり、SAFの原料となる炭素数5以上の液体炭化水素の収率(C5+収率)26%を記録しました。

ISCE2:シンガポール科学技術研究庁A*STAR(Agency for Science, Technology And Research)傘下の研究機関

エネルギーマネジメントシステム

IHIグループは、AI技術を活用し、数理モデルとアルゴリズムを用いたエネルギーシステムの構成・運用の最適化を進めています。

2050年頃までに起こると想定する一次エネルギー源のバランス

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