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品質・製品安全

考え方

IHIグループは、「IHIグループ基本行動指針」にあるとおり、「開発、提供する製品・サービスの安全性に十分配慮するとともに、お客さまおよびユーザの満足を得られているかを確認し、絶えず製品・サービスの水準を高めるように努める」ことを基本として事業を展開しています。製品・サービスの品質は、IHIグループとお客さまや社会とを結ぶ信頼の絆であり、品質の確保は、企業としての社会的使命と存立の基本と考えています。
また、2019年の民間航空エンジン整備事業における不適切事案を受けて、安全と同様に品質を最優先することを示した「IHIグループ品質宣言」を定めました。これは、ものづくりの基本的な考え方と、私たちの「品質」に対する行動や意識を改めて明確にしたものです。

方針

IHIグループ品質宣言

IHIグループは

  1. 品質第一を徹底します
  2. 三現主義とコミュニケーションで、日々改善に取り組みます
  3. 課題に耳を傾け、速やかに対応し、正しい情報を提供します
  4. ルールを守り、正しい作業で品質を保証します
  5. 一人ひとりが努力して、お客さまに安心をお届けします

ガバナンス

品質保証体制

IHIグループは、全社委員会としてIHIグループ品質委員会を設置しています。委員会は、品質に関わる重要な方針が具体的な取り組みとして展開されていることを確認します。グループ品質保証担当役員を委員長とし、事業領域長・事業領域品質担当幹部・本社部門幹部を委員として構成されています。委員会の開催頻度については、2025年度までは原則年2回としていましたが、2026年度から原則年4回開催へと見直します。なお、2025年度は、品質保証に関するリスクの状況を踏まえ、臨時開催を含め計4回開催としました。また、年度最終の委員会では次年度の品質方針についても審議しています。

品質向上推進体制図

品質向上推進体制図

IHIグループ品質委員会

委員長 グループ品質保証担当役員
委員 事業領域長、事業領域品質担当幹部、本社部門幹部
事務局 ものづくりシステム変革本部
2025年度の開催回数 4回(臨時開催を含む)

戦略

リスク

IHIグループは、お客さまの満足、安全、安心を実現する製品・サービスを提供するために品質保証体制を構築し、品質を保証する品質マネジメントシステム(QMS)を整備しています。QMSは、お客さまが製品やサービスに求める内容の変化、法的な要求を含めた外部環境の変化などに対して適時適正に見直しを行うことで、常に適切な状態を維持することに努めています。
しかし、想定外の事態が発生した場合には、お客さまの安全性や社会的評価の低下を招くとともに損害賠償などが生じ、IHIグループの業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

機会

IHIグループにとって品質・製品安全の確保は、お客さま満足度の向上、ブランドイメージの強化、そして市場競争力の向上という大きな機会を提供します。
また、品質マネジメントシステムにおける厳格な姿勢は、組織全体の品質保証能力を高めるとともに、環境変化に対する適時適正な対応を可能とすることで、製品の革新性を促進します。加えて、IHIグループでは、AI・デジタル技術の活用を通じた品質マネジメントの高度化に向けた取り組みを進めています。具体的には、一部事業において、不適合情報データベースなどに蓄積された過去事例を参照し、生成AIを用いて、これから実施する案件で、留意すべき点や未然防止策の検討を支援し、デザインレビューなどの設計段階における参考情報として活用しています。
また、別の事業領域においては、長年の改定・追加により複雑化したQMSについて、生成AIも活用しながら、業務プロセスに応じたルールや要求事項の整理・判別を進めるとともに、適用すべきルールの特定を支援することで、作業者が必要な情報に容易にアクセス可能で、適切に理解・運用できる環境の整備に取り組んでいます。

リスク管理

品質保証活動

IHIグループは、製品・サービスを提供する拠点において、ISO9001に代表される公的規格に基づく品質マネジメントシステム(QMS)の認証を取得した上で事業活動を進めています。お客さまの要求により、ISO9001以外の認証を求められるケースがあり、事業の特性上、意図的に認証を取得しないケースもあります。
2025年度のQMS認証を取得している拠点は、IHIおよび国内・海外連結子会社の対象61拠点のうち49拠点(取得率80.3%)となります。内訳としては、国内拠点が34拠点中28拠点(取得率82.4%)、海外拠点が27拠点中21拠点(取得率77.8%)です。
また、QMSの有効性を維持・向上するため、事業部門自らが内部監査を通じて日常的な運用状況を確認するとともに、外部認証の取得にとどまることなく、本社コーポレート部門が主導し、グループ共通で整理したQMS実現要件に基づいて、仕組みの整備状況および運用状況を審査・確認し、継続的な改善につなげています。
IHIグループでは、「IHIグループ品質方針」および品質重点施策を踏まえた上で、各事業会社・事業部門の年度計画や中期計画に基づき、製品特性や事業内容に応じた定量的な品質目標と達成期限を設定しています。これらの目標は、QMSの運用を通じて進捗管理を行い、内部監査やマネジメントレビューを通じて定期的に確認・見直ししています。代表例として、産業システム・汎用機械分野においては、不具合への対応に伴う品質費用(社内管理指標:補サ費)およびその売上原価に対する比率(補サ率)を管理しており、これらは一部を除き量産ではない機種において、品質不具合の発生状況およびその影響の程度を金額ベースで捉える指標として、また、品質改善の効果を確認する指標として活用しています。2026年度の目標を9.44億円、補サ率0.52%(売上原価比)と設定しています。同領域では、中期的に補サ率0.5%未満とすることを目指しています。
加えて、QMSによる品質保証活動をより効果的にする目的で、職場の困りごとを起点とした問題解決を通じて働きやすい職場を実現する活動を2019年から継続しています。
優秀な活動についてはグループ全体の成果報告会で発表することで、全社的な浸透を図っています。

製品安全の確保

IHIグループでは、製品の安全性を確保するため、設計・開発から製造、出荷後の対応に至るまで、各段階に応じた仕組みを構築し、体系的に運用しています。以下に、製品安全の確保に関する主な仕組みおよびプロセスを示します。

① 設計・開発段階におけるリスク低減
IHIグループは、製品開発時にライフサイクルに基づくリスクアセスメントを実施し、リスクを可能な限り低減するよう設計上の対策を行います。その上で、残留するリスク情報をお客さまに提供します。

② サプライヤーに対する品質・安全要求
IHIグループでは、グループ行動規範に基づく調達方針および関連規定の下、サプライヤーに対して製品・サービスの品質、性能、信頼性および安全性に関する基準を定めています。
これらの基準は、調達要件や契約条件などを通じてサプライヤーに明示し、調達・契約プロセスの中で展開・確認することで、IHIの期待する品質水準が継続的に満たされるよう管理しています。また、品質を確保する上では、遵守すべき法規などを含む要求事項をサプライヤーに適切かつ具体的に展開することが重要であるため、各事業部門においてそれらの要求事項を十分に理解し、適切に展開できているかについて、コーポレート部門による点検も実施しています。

③ 各プロセスにおける流出防止および未然防止
IHIグループは、品質マネジメントシステムに基づき、製品特性および事業形態に応じて、設計・開発から調達、製造、検査、出荷(引き渡し)に至る各プロセスにおいて、設計図面や製品、記録など、アウトプットの品質を確認する活動を行い、不適合(お客さま要求事項、法令、規格、社内ルールを満足しない状態)の発生防止(未然防止)および次工程や社外への流出防止に取り組んでいます。不適合が検出された場合は誤使用や流出を防止するために識別・隔離し、内容と影響に応じた処置(修正・修理・廃棄、出荷停止、お客さまへの連絡、必要に応じてお客さまの承認を得た上での例外的な受け入れなど)を行った上で、是正処置(再発防止策)を講じます。

各段階における主な取り組みは、以下のとおりです。

  • 設計段階:設計内容の確認・検証(デザインレビュー)を通じて、要求事項への適合性を確保し、不適合品の発生を未然に防止
  • 調達段階:サプライヤーに対して一任するのではなく、法規要求など重要な要求事項に関しては、サプライヤーによる要求の理解と適合を自ら確認することをグループとして推進し不適合の発生と流出を防止
  • 製造・製作段階:工程内および検査・試験の各段階で品質確認を実施し、不適合が検出された場合は識別・隔離した上で決められた処置により流出を防止
  • 最終確認段階:引き渡し前に最終的な品質確認を実施し、不適合が検出された場合は識別・隔離した上で出荷停止などにより流出を防止

④ お客さまクレーム対応プロセス
お客さまに提供した製品において、製品安全に関わる問題を含め、お客さまや社会からの要求事項を満たさない事案(不適合)が発生した場合は、お客さまがクレーム申し立てや解決を求めることができるよう、各組織に製品に関する問い合わせ窓口を設けています。これらの窓口では、一般的な問い合わせに加え、製品に関する苦情や懸念についても正式に受け付けており、各組織の品質マネジメントシステム(QMS)によって定められた手順に従い、発生した不適合への処置を行っています。さらに、受領した内容については関係部門と連携の上対応するとともに、受領後にはお客さまへ受付(受領確認)をお知らせするなど、適切に対応しています。また、対応方針や回答までの目安については必要に応じてお知らせしながら対応しています。一部の事業においてはサービス拠点などを通じた対応体制を整備しており、お客さまからの問い合わせや要望に対して、関係部門と連携しながら対応する仕組みとしています。

⑤ 再発防止と仕組みへの反映
発生した不適合については、再発防止の観点から問題を深掘りし、仕組みや手順、それらの管理・運用、力量管理や教育、品質に対する意識などにおける課題の有無を明らかにします。その結果を踏まえ、それらを包含するQMSの見直しと、必要な教育・トレーニングを実施することで、より確実な再発防止につなげています。

製品に関するクレーム対応メカニズム(概要)

IHIグループにおける製品クレーム対応の共通的な考え方および仕組みを示すものであり、具体的な運用方法や手順は各社・各組織により異なります。

⑥ 重大な品質問題発生時の対応および情報開示
IHIグループでは、品質問題や品質不正が判明した場合、原因分析および是正・再発防止策を実施し、これらを品質マネジメントおよび危機管理の枠組みの中で管理しています。
また、対外的な情報開示については、法令や社会的影響を踏まえ、重要性の高い品質問題や品質不正に対して適切に実施しています。

お客さま満足度調査

IHIグループは、提供する製品やサービスが多岐にわたるため、それぞれの事業の特性に応じて、お客さま満足度を調査しています。調査内容や方法についても事業の特性によりさまざまです。これらの調査で得られた結果は、ウェブサイトからのお問い合わせを含め、関連部門で分析・共有し、製品・サービスの設計プロセスなどに反映することで品質向上に活用しています。

株式会社 IHI 回転機械エンジニアリングの取り組み

回転機械の総合エンジニアリング企業である株式会社IHI回転機械エンジニアリング(以下、IRM)では、製品開発から製造、販売、メンテナンスまで一貫した事業を展開し、国内外の幅広いお客さまに製品・サービスを提供しています。IRMでは、お客さまから信頼の得られるサービスを提供するため、製品・サービスの特性に応じて、お客さま満足度調査を実施しています。
そのうち、国内向け汎用コンプレッサ(スクリュ、ターボ、レシプロ)に関するお客さま満足度調査では、2025年度の結果として「満足」「やや満足」の合計が93.3%となりました。アンケート結果は社内で共有し、お客さまのニーズや期待に対する製品・サービスの適合状況の把握に活用するとともに、継続的な品質改善および顧客満足の向上に取り組んでいます。

国内向け汎用コンプレッサに関するお客さま満足度調査結果
指標 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
満足と回答したお客さまの割合 87.5% 87.9% 87.9% 93.3%
  • 満足と回答したお客さまの割合は、アンケート回答顧客数(分母)に対する「満足」「やや満足」と回答した顧客数(分子)の割合として算出しています。

指標と目標

法令違反件数

項目 対象範囲 単位 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
広告宣伝活動に関する法令 IHIおよび連結子会社 件 0 0 0 0

品質関連教育・研修の受講者数

項目 対象範囲 単位 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
IHIグループ品質宣言 IHIおよび国内関係会社 名 262 384 852 1,012
品質コンプライアンス
ケーススタディ研修※
IHIおよび国内関係会社 名 ― ― ― 2,600
役員向け品質保証研修 IHIおよび国内関係会社 名 ― ― ― 196

2023年度までは品質保証部門に限定して実施

取り組み

従業員への教育・浸透

IHIグループは、従業員の意識向上を目的に、製品・サービスの品質や安全の重要性について、受講者のキャリアや職種に応じた教育・研修などを実施しています。
新規入社者向けには、「IHIグループ品質宣言」について、その内容を理解する研修を行っています。
2025年度には、過去の品質事案を題材とした品質・コンプライアンスに関するケーススタディ型教育を新たに実施しました。本教育は、品質を自らの業務に引き寄せて考え、日々の行動や判断につなげることを目的としており、組織の状況に応じて段階的に展開しています。加えて、経営層を対象に、経営と品質保証の関係性や、経営判断における品質の重要性について理解を深めるワークショップを実施しています。

製品・サービスに関する情報開示

IHIグループは、事業活動を広くステークホルダーの皆さまに身近に感じていただけるよう、テレビCM・新聞広告・ウェブサイト・SNSなどを通して製品・サービスに関する情報を発信しています。この施策に当たり事実に基づいた正確な情報発信を行うため、社内関連部署と連携し、著作権法や商標法などの関連法規・関連業界規定にのっとった対応を行っています。また定期的な効果測定を実施し、施策を改善しています。

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