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考え方

IHIグループは、経営理念および「IHIグループ基本行動指針」における人権尊重の考え方の下、取締役会の確認を経て、2020年12月に「IHIグループ人権方針」を策定しました。
人権に関わる国際規範に基づき、人権を尊重する組織文化の醸成と事業活動全般にわたる人権尊重の取り組みを推進することで、あらゆる人びとに対する人権尊重の責任を積極的に果たしていきます。

人権に関する外部イニシアチブへの参画

IHIグループは、「国連グローバル・コンパクトの10原則」の支持を表明しています。その一環として2022年から「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)」にメンバーとして参加しており、従業員がGCNJ各分科会に参加し、サプライチェーン、環境経営、人権デュー・ディリジェンス、ESGなどに関する理解を深める活動を継続しています。
2022年度より、国連開発計画(UNDP)が主催する「ビジネスと人権アカデミー」に参加し、人権タスクチームの担当者が人権に関する国内外の専門家による講義や、参加企業によるグループワークなどを通じて、人権デュー・ディリジェンスについて体系的に学んでいます。
2023年度には、人権デュー・ディリジェンスの実践をより一層加速させることを目的に、UNDPが主催する「ビジネスと人権に関する経営幹部向けラウンドテーブル」にグループESG担当役員が参加し、人権デュー・ディリジェンスに強いコミットメントを示す企業の経営陣と共に、日本および世界における人権に関する議論を深めました。
また、東京人権啓発企業連絡会、大阪同和・人権問題企業連絡会、兵庫人権啓発企業連絡会、同和問題の解決をめざす広島企業連絡会に参画し、地域の人権課題に関する情報共有や意見交換を通じて理解向上に取り組んでいます。

方針

IHIグループ人権方針

IHIグループは、2020年に「IHIグループ人権方針」を策定し、本方針に基づき、人権尊重の取り組みを推進してきました。これまで、重要人権課題の特定や対応状況の確認、推進体制の強化、人権侵害に関する通報窓口の設置などに取り組んできました。こうした取り組みの進展や実態を踏まえ、2026年7月に人権方針を改訂しました。改訂に当たっては、社内外のステークホルダーとの対話を通じて寄せられた意見を踏まえ、検討を行いました。

私たちIHIグループは、「技術をもって社会の発展に貢献する」「人材こそが最大かつ唯一の財産である」との経営理念のもと、地球的課題を意識し、その解決に貢献していくために活動しています。この活動のベースとして、私たちは、「IHIグループ基本行動指針」に基づき、「IHIグループ人権方針」を定めました。人権に関わる国際規範に基づき、人権を尊重する企業文化の醸成と事業活動全般にわたる人権尊重の取り組みを推進することで、あらゆる人々に対する人権尊重の責任を積極的に果たしていきます。

(対象)

  1. 本方針は、IHIグループの業務に従事するすべての役員・従業員※1に対して適用されます。
  2. 私たちの製品やサービス等をとおしてつながる、すべての人びとの人権を尊重します。
  3. 私たちの取引先やビジネスパートナー※2に対しても、本方針を遵守するよう求めていきます。

(国際規範・法令・グループ規範等の遵守)

  1. 人権に関わる国際規範(「国際人権章典」、国際労働機関の「労働における基本的原則および権利に関する宣言」、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」など)を支持・尊重し、これらの規範に基づいた取り組みを積極的に実施していきます。
  2. 事業活動を行う国または地域においては、当該国または地域の法令等を遵守しつつ、国際規範の尊重に努めていきます。
  3. 常に、IHIグループ基本行動指針の定めに沿って行動します。

(推進体制と人権デュー・ディリジェンス)

  1. グループ人財・人事担当役員を責任者とする体制の下、人権尊重を計画的かつ継続的に推進し、人権諸課題の解決に積極的に取り組みます。
  2. 人権に関わるリスクを把握・評価し、私たちの取り組みの効果を検証・改善するための一連の仕組(人権デュー・ディリジェンス)を整備し、これを継続的に実施するとともに、適宜適切に見直していきます。
  3. 人権に関わる潜在的または実際の負の影響を確認した場合は、適切な手続きを通じて、速やかに、その影響に対する防止・軽減・是正措置を講じます。

(重要人権課題)
IHIグループとして優先的に取り組むべき重要人権課題を特定しました。グループ内で人権デュー・ディリジェンスを実施し、これらの人権課題への対応状況を確認していきます。

(教育)
本方針に基づいた行動が、私たちの事業活動の全般にわたって実践されるよう、役員・従業員に対し適切な教育を継続的に行います。

(グリーバンスメカニズムと救済)
IHIグループの事業活動を通じて人権に負の影響を受けるステークホルダーからの相談を受け付け、救済につなげるための通報窓口を設置し、運用します。また、通報結果を学習源として人権デュー・ディリジェンスに生かしていきます。

(対話と協議・情報開示)

  1. 本方針の一連の取り組みについて、関連するステークホルダーとの対話・協議を継続的に行います。
  2. 人権尊重への取り組み内容と結果について、その情報を定期的に開示します。
  1. 派遣、嘱託、再雇用、パートタイムなどの従業員を含む。
  2. お客さまや調達先、協力・請負会社などの取引先、業務提携・委託先などの事業上のパートナーを含む。

2026年7月24日
株式会社IHI 代表取締役社長 井手 博

IHIグループの重要人権課題

IHIグループおよび取引先の従業員・労働者に関する権利を最も優先度の高い課題として選定しました。

●強制労働の禁止
処罰の脅威によって強制され、また、自らが任意に申し出たものでないあらゆる労働を禁止します。これには、人身取引による搾取を含みます。

●児童労働の禁止
事業を行う国・地域の法廷就業最低年齢に満たない労働者の労働・雇用を禁止し、これを利用しません。

●均等な機会の提供
多様性と個を尊重し、採用、昇進、報酬、研修など求人・雇用における機会の均等と公正さを確保します。

●差別・ハラスメントの禁止
人種、肌の色、性別、宗教、出身地、思想・信条、年齢、障がい、性的指向・性自認などによる不当な差別やハラスメントを許しません。

●働く人びとの健康で安全な職場の確保
各職場で働く人びとがその能力を最大限発揮できるよう、安全で健康的な労働環境の形成・維持に努めます。

●働く人びとの基本的な権利の尊重
結社の自由、労働者の団結権および団体交渉権をはじめとする労働基本権を尊重します。賃金支払いや労働時間の管理を適切に行います。

以上

現代奴隷法への対応

IHIグループは、英国現代奴隷法および豪州現代奴隷法に基づき、IHIグループおよびそのサプライチェーンにおける奴隷労働を防止するための取り組みについて開示しています。

Fiscal year 2025 Statement on the UK Modern Slavery Act and Australian Modern Slavery Act
2025年度 英国現代奴隷法および豪州現代奴隷法に関する声明(日本語訳)

ガバナンス

IHIグループは、ESG経営推進会議のSの部分を担当する全社委員会として、人権DE&I委員会を設置しています。委員会は、人権を尊重する組織文化の醸成と取り組みを推進することを目的として、人権の尊重とDE&Iの推進に関わる重要な方針を立案・審議し、活動を進めています。グループESG担当役員を委員長として、本社部門、事業領域で構成されています。活動方針、重点施策および実績評価などの重要な活動内容はESG経営推進会議での議論を経て、取締役会に適宜報告する体制としています。
人権の尊重に関する推進体制としては、人権DE&I委員会の下部にタスクチーム※を設置し、関係部門やグループ各社の人権担当と連携して人権尊重の取り組みを推進しています。
DE&Iの推進については、関係部門やグループ各社と連携して取り組んでいます。

タスクチーム:人事部、調達部、コーポレートコミュニケーション部、プロジェクトリスクマネジメント部、コーポレートセクレタリー部、経済安全保障統括部、法務部、事業開発統括本部のメンバーから構成

人権推進体制図

人権推進体制図

人権DE&I委員会

委員長 グループESG担当役員
委員 各事業領域長、技術開発本部長、ものづくりシステム変革本部長、事業開発統括本部長、高度情報マネジメント統括本部長、内部監査部長、秘書部長、経済安全保障統括部長、コーポレートセクレタリー部長、コーポレートコミュニケーション部長、法務部長、総務部長、財務部長、プロジェクトリスクマネジメント部長、都市開発部長、インテリジェント・オペレーションセンター長、技術戦略室長、調達部長、人事部長
事務局 総務部サステナビリティ推進グループ
2025年度の開催回数 3回

戦略

リスク

IHIグループの事業基盤を維持し、将来の成長につなげていくために、事業活動全般にわたり人権を尊重した上で、多様な個性や価値観を有する人財が活躍できる組織風土の醸成を図っています。しかしながら、IHIグループの事業活動において、人権の侵害や人権を軽視した事象が発生した場合、社会的信用の喪失、あるいはお客さまとの取引停止や損害賠償責任が発生する可能性があります。また、経営における意思決定の場に多様性が欠如した場合には、IHIグループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

機会

IHIグループは、バリューチェーンを通じて事業活動によるステークホルダー・ライツホルダー※に対する負の影響を予防・低減することは、事業を通じて関わる全ての人の豊かな生活の実現につながると考えており、人権の尊重は、事業の持続可能性を高め企業価値を向上させる機会と捉えています。

ライツホルダー:人権の保有者のこと。企業活動によって人権に影響を受ける可能性のある人やグループを指します。

リスク管理

人権デュー・ディリジェンス

IHIグループは、自社の事業活動により影響を受ける人びとの人権尊重の責任を果たすため、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って、人権デュー・ディリジェンスのプロセスを進め、人権尊重の実現に向けて取り組んでいます。
人権デュー・ディリジェンスとは、①人権リスクアセスメントを実施し、潜在的または実際の人権への負の影響を把握し、②把握した影響の防止・軽減・是正に向けた適切な措置を各業務の方針・運用プロセスに組み込み、③実施状況や結果をモニタリングし、④その進捗ならびに結果について外部に開示する、継続的なプロセスです。
人権デュー・ディリジェンスのプロセスを進める際には、事業活動が人びとの権利に与える影響を知るため、全てのプロセスにおいて継続的なステークホルダーエンゲージメントを重視しています。

人権デュー・ディリジェンスの全体像

人権デュー・ディリジェンスの全体像

重要人権課題の特定

IHIグループでは、2021年度に社外の専門家の助言を得ながら、国内外のIHIグループを対象に、潜在的・顕在的な人権課題を特定する人権リスクアセスメントを実施しました。この分析・評価結果、製造業における重要な人権課題、社内モニタリング、国際社会の動向から、IHIグループにとっての重要な人権課題を特定しました。そして、最も優先度の高いライツホルダーとして、IHIグループの従業員および取引先を選定しました。

重要人権課題
強制労働の禁止、児童労働の禁止、均等な機会の提供、差別・ハラスメントの禁止、働く人びとの健康で安全な職場の確保、働く人びとの基本的な権利の尊重

人権デュー・ディリジェンスの実施

IHIグループは、「重要人権課題」を中心とした現状および実態把握を目的として、国内外のIHIグループ拠点を対象に人権デュー・ディリジェンスを実施しています。
人権デュー・ディリジェンスの実施体制および管理状況、人権課題への対応状況に関する設問を含めたセルフアセスメントシートをグループ拠点に展開し、各社からの回答を得ています。回答結果はフィードバックシートとして取りまとめ、各拠点に送付しています。
セルフアセスメントシートの設問のうち、IHIグループの重要人権課題および国際労働機関(ILO)が定める中核的労働基準の5分野(「強制労働の禁止」「児童労働の禁止」「差別の撤廃」「結社の自由・団体交渉権の承認」「安全で健康的な労働環境」)に関連する対応優先度の高い設問を「重要設問(Red Flag)」として設定しています。未対応の重要設問がある場合には、フィードバックシートの送付時に改善を要請するとともに、対応状況をフォローしています。
取引先およびビジネスパートナーに対する人権デュー・ディリジェンスについては、サプライチェーン・マネジメントおよびプロジェクトリスクマネジメントの取り組みに統合して進めています。併せて、IHIグループのリスク管理活動において、人権の尊重を含むESG経営の重要課題に関連するリスクに対応しています。

サプライチェーン・マネジメント
プロジェクトリスクマネジメント
リスク管理

新規事業における環境・人権リスクアセスメントの実施

IHIグループでは、経営に大きな影響を及ぼす可能性のある大型プロジェクト案件および大型投資の受注・投資前の審査プロセスにおいて、調達先を含む取引先の人権侵害懸念や事業を通じた環境・人権への影響を確認しています。
投資前審査においては、ESGチェックリスト(環境、人権)※を活用し、気候変動対策、廃棄物、土壌汚染、生態系といった環境や人権に関する影響評価を行っています。人権侵害リスクについては、少数民族および先住民の権利、非自発的住民移転の禁止、プロジェクトサイトでの労働安全衛生の徹底などの観点から社内審査を行います。また、投資・融資案件においては、買収前の段階で、投資先における人権推進体制や人権課題への対応状況についても確認を行っています。

ESGチェックリストは、国際金融公社(IFC)のパフォーマンス・スタンダードや、国際協力銀行(JBIC)の「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」などを参照の上、作成しています。

プロジェクトリスクマネジメント

グリーバンスメカニズムの運用

IHIグループは、2024年4月、グリーバンスメカニズムとして、バリューチェーン上の全てのステークホルダーが利用できる人権侵害に関する通報窓口をIHIコーポレートサイト上に開設しました。
この窓口から通報された案件は、IHIグループが正会員として加入している一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)が提供する「対話救済プラットフォーム」を通じて、公正かつ適切に処置されます。IHIグループは、通報者および通報に関与した関係者に対する報復行為や不利益な取り扱いを禁止しており、その防止と是正に取り組んでいます。

また、IHIグループの事業所や工場の構内協力会社に対しては、カードやポスターにより、通報窓口の積極的な周知を進めています。
JaCERが受け付けた通報はIHIの事務局に共有され、「極秘」情報として厳格に管理されます。事務局(調達部 CSR調達推進グループ)は通報事案ごとに助言部門(人事部、法務部など)と対応部門(事業領域、SBU、関係会社など)から構成される救済委員会を編成します。救済委員会は事実調査を行い、調査結果に基づく是正措置と再発防止策を立案し、実行します。この間、必要に応じて対応部門が通報者や当事会社などと対話を行います。通報事案処理の進捗は事務局が適宜JaCERに報告し、JaCERのウェブサイト内の案件リスト上で開示されます。

人権侵害に関する通報窓口

運用体制図

指標と目標

人権リスクアセスメントの実施状況

項目 目標 単位 1年目(2021年度下期~2022年度) 2年目(2023年度) 3年目(2024年度)
実施件数 対象 実施件数 対象 実施件数 対象
人権リスクアセスメントの実施 3年間でIHIグループ会社約160社実施※1、※2 件 59 海外関係会社 37 海外関係会社およびSBU 47 国内関係会社(一部海外関係会社含む)
  1. 2021年度に集計した数値であり会社清算やグループ外となった会社については都度対象から除外
  2. 一括で実施することが望ましい会社・拠点については一括で実施し、2024年度末時点で全拠点でのリスクアセスメント完了

人権教育・研修の受講者数

項目 単位 2025年度
対象 受講者数
e-ラーニング「ハラスメント防止」 名 IHIおよび国内関係会社 22,149
e-ラーニング「グループ人権方針(ベーシック)」 名 新規入社者、キャリア採用者および受講希望者 370
e-ラーニング「ビジネスと人権」 名 受講希望者 63
地区事業所で開催された人権関連研修 名 新規入社者、基幹職、職班長、人権担当者など 259

グリーバンスメカニズムへの通報受付件数

項目 単位 2023年度※ 2024年度 2025年度
通報受付件数 件 1 8 17

うち、人権事案対象件数

件 1 6 14

ハラスメント

件 1 2 7

労働・雇用

件 0 1 5

差別

件 0 1 0

コンプライアンス違反

件 0 0 1

その他

件 0 2 1

2023年度の通報は、2024年4月の通報窓口開設前に取引先数社に対して行った限定運用(トライアル)におけるものです。

取り組み

教育・浸透

IHIグループは、人権を尊重する組織文化を醸成するために、「IHIグループ人権方針」に基づいた行動が実践できるよう、各階層での啓発に努めています。

階層別教育

毎年度、全従業員を対象とした、人権尊重やハラスメント防止を目的としたe-ラーニング研修を実施しています。ハラスメント防止のe-ラーニング研修においては、ハラスメントに該当し得る事例や、相談窓口を紹介しています。また、新任管理職を対象とした研修には、ハラスメントのない職場づくりに関するe-ラーニングが含まれています。

全従業員向け教育

2025年度は、IHIグループで働く一人一人が、人権やDE&Iについての考え方を身に付け、理解を深めるため、「ハラスメント防止」「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」それぞれをテーマとしたe-ラーニングを、全従業員向けに実施しました。

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)/指標と目標

全従業員向けの発信

全社重点施策の「DE&Iを自分事にする」に向けた取り組みの一環として、全従業員を対象とした継続的な情報発信を行っています。2025年度は、人権・DE&Iへの理解を深めるためのDE&I推進月間(毎年12月)の取り組みとして、世界人権デー(12月10日)を起点に、社内特設ホームページの上で人権DE&I委員長をはじめとする多数の従業員が連携し、リレー形式で1カ月間、毎日1名ずつメッセージを発信しました。また、国際女性の日(3月8日)に合わせて、①女性管理職からのメッセージ発信、②女性活躍に関する関連データの社内公表、③ジェンダーギャップ解消ワーキンググループによる企画展開などの活動を実施しました。これらの取り組みを通じて、ジェンダーに関する理解と関心の向上に努めています。

「DE&I推進月間」として、12月に社内外で様々なイベントを実施しました

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)/指標と目標

人権リスク把握のためのワークショップの開催

人権に関するリスクの防止・軽減、必要に応じた是正および救済の仕組みづくりに現場の声を反映することを目的として、人権リスクを洗い出すためのワークショップを2025年8月に開催しました。
本ワークショップには、人権担当者に加え、事業の最前線で働くさまざまな従業員が60名参加しました。製品の企画から製造、販売、使用に至るまでのバリューチェーン全体を俯瞰しながら、従業員、取引先、地域社会の方々など、事業活動に関わる多様なステークホルダーに対して、どのような人権リスクが生じ得るかについて検討・洗い出しを行いました。ワークショップで洗い出した人権リスクは、「深刻度」および「発生可能性(起こりやすさ)」の観点から優先度評価を行い、その結果を人権方針の改定に当たって考慮しました。

「人権の尊重」のさらなる推進に向け、現場の声を活かしてリスク管理体制を強化

重要人権課題に対する取り組み

グループ拠点での対応

IHIグループは、「重要人権課題」を中心とした現状・実態把握のため、国内外のIHIグループ拠点に対する人権リスクアセスメントを、2022年度〜2024年度の3カ年計画で実施しました。
人権リスクアセスメントにおいて、相対的にリスクが高いと考えられた海外関係会社から優先的に調査し、2022年度は59社、2023年度は37社、2024年度は47社を対象として実施しました。2022年度~2024年度の調査結果および把握した課題への対策は、下図のとおりです。
また、2023年度に「IHIグループ人権方針実行ガイドライン」を日本語・英語・中国語の3カ国語で作成してグループ内に展開し、IHIグループの重要な人権課題についてグループ各社へ周知を行っています。
2025年度は2022年度~2024年度の対策実施状況を確認するため、9拠点を対象に追跡評価を実施しました。追跡評価を通して、今回の確認範囲では、重要人権課題に関する深刻なリスクは発見されませんでした。今後の実施においては、確認範囲を拡大してリスクを深掘りしていきます。
サプライチェーンにおける対応状況は、取引先のサステナビリティ評価の中で確認しています。

サプライチェーン・マネジメント

人権リスクアセスメントの結果、把握した課題・対策状況※1
項目 課題 対策状況
全体傾向 グリーバンスメカニズムの整備の不足 2024年4月に通報窓口の設置を完了、運用を開始している
ステークホルダーとの対話の不足 コーポレート部門での対話実施と並行して、各社には労使対話などの重要性を周知している
従業員の均等な機会および待遇の確保に関するダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の取り組みの遅れ ダイバーシティを重視した組織風土の醸成に向けた取り組みを実施している
重要設問(Red Flag)※2 児童労働
  • 最低労働年齢の社内規定
  • 検証可能な手段による年齢確認
各国の法定最低労働年齢を遵守した社内規定・ルールを整備している
差別・ハラスメント
平等な雇用機会および昇進の提供、雇用上の差別をしないことの表明
雇用および待遇における機会均等確保に関する方針の策定などに取り組んでいる
働く人びとへの健康で安全な職場の確保
  • 安全衛生の体制や役割の明確化
  • 安全衛生の方針、従業員への伝達
安全衛生に関する方針の策定・従業員への伝達などを実施している
  1. 特定されたリスクへの対応状況は、「2024年度 英国現代奴隷法および豪州現代奴隷法に関する声明」にて公開
  2. 重要設問(Red Flag):IHIグループの重要人権課題および国際労働機関(ILO)が設定する「中核的労働基準の5分野」(「強制労働の禁止」「児童労働の禁止」「差別の撤廃」「結社の自由・団体交渉権の承認」「安全で健康的な労働環境」)と関連するもののうち、特に重要な設問項目

外国人非正規労働者への対応

IHIグループは、2025年度、IHI および IHI 国内子会社の全拠点を対象に、強制労働や差別・ハラスメントなどの人権リスクにさらされやすい外国人非正規労働者の雇用状況に関する調査を行いました。その結果、18社で317名の外国人非正規労働者が勤務していることを確認しました。うち技能実習生を受け入れている2拠点を訪問調査し、判明した指摘事項については改善に向けて是正措置を講じています。今後も定期的な調査を通じて、適正な労働環境を維持していきます。

サプライチェーン・マネジメント

採用・雇用における対応

強制労働の禁止

IHIグループは、あらゆる強制労働を禁止しています。IHIでは、採用の際には必ず応募者からの申し込みを前提とし、入社の際には賃金などを含む労働条件を提示して応募者の合意を得た上で雇用を開始します。

児童労働の禁止

IHIグループは、事業を行う国・地域の法定就業最低年齢に満たない労働者の労働・雇用を禁止し、これを利用しません。IHIの就業規則に、採用する者の年齢を満15歳以上とすることと、応募時に年齢情報を含む履歴書の提出を求めることを定めています。

均等な機会の提供

IHIグループは、「IHIグループ人権方針」の下、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進、すなわち多様性と個の尊重を重んじ、公正な採用、公正な労働条件、機会の均等、ハラスメントのない職場づくりなどに取り組んでいます。グローバルで最低賃金以上の賃金水準を確保するとともに、時間外手当を含む適正な賃金・手当の支払いや、同一労働同一賃金の考え方に基づく人事制度の整備を通じて、公正・適正な処遇を推進しています。

人財マネジメント/人財開発
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)

差別・ハラスメントの禁止

IHIグループは、これまでハラスメント防止に向けた周知・啓発活動や、会社に相談しやすい環境の整備を進めてきました。会社がハラスメント事案を把握しやすい環境整備を進めてきたことを踏まえ、IHIグループとして、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメント事案に対して厳正に対処していく方針を、IHIグループ従業員に対して表明しています。

企業倫理・コンプライアンス

働く人びとの健康で安全な職場の確保

IHIグループは、安全と健康の確保を事業活動の基盤であり、重要な経営課題の一つと考えています。各職場で働く人びとがその能力を最大限発揮できるよう、安全で健康的な労働環境の形成・維持に努めています。

労働安全衛生/Well-Being(健康)

働く人びとの基本的な権利の尊重

IHIグループは、結社の自由、労働者の団結権および団体交渉権をはじめとする労働基本権を尊重します。労働組合および組合員が行う組合活動の自由を認め、組合活動を行ったことを理由に、組合員が不利益となる対応はしません。また、労働組合との相互信頼に基づき、誠意をもって団体交渉を行います。
IHIと労働組合とは、相互理解に根ざす信頼関係に基づき労働協約を締結しているほか、経営層と従業員代表との間で定期的に安全衛生委員会、経営協議会、生産協議会を開催し、相互に隔意のない率直な意見交換により職場の環境を整備しています。

労働安全衛生/Well-Being(健康)

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