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プレスリリース
航空・宇宙・防衛

IHIエアロスペースと兼松が「商用宇宙ステーション用ドッキング機構」を米国Sierra Spaceへ提供することに合意

兼松株式会社
Sierra Space Corporation
株式会社IHIエアロスペース

 株式会社IHIエアロスペース(以下、「IA」)と兼松株式会社(以下、「兼松」)は、商用宇宙ステーションの開発を進める米国Sierra Space Corporation(以下、「Sierra Space」)に対して、パッシブドッキング機構を提供することで合意しました。
 
 パッシブドッキング機構は、Sierra Spaceが開発する宇宙往還機「Dream Chaser®」1)などをはじめとした宇宙機が、宇宙ステーションと確実で安全なドッキングを実現するために宇宙ステーションに搭載される重要な機器です。IAが開発中のこのパッシブドッキング機構は、国際標準ドッキング機構のIDSS2)に準拠し、シンプルでありながらも汎用性が高く、高い信頼性を目指しています。
 このたび、重要なマイルストーンである基本設計が完了し、Sierra Spaceが兼松からパッシブドッキング機構の提供およびサポートを受けることに合意し、今後、詳細設計に向けて三社で協力して開発を行っていくことが計画されています。

 IAは、2021年より国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)と共同で、アクティブドッキング機構についても開発に取り組んでいます。今後、IAのアクティブおよびパッシブのドッキング機構は、地球低軌道活動に加えてアルテミス計画3) における宇宙探査を支える重要な技術となることが期待されています。

<各社コメント>
Sierra Space EarthSpace™ Systems部門 シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー
Steve Berroth 
「Sierra Spaceのミッションは、宇宙空間にプラットフォームを構築し、地球の生命への貢献を実現することです。このミッションを達成するために、商用宇宙ステーションの開発と製造において安全性が最も重要な課題であると考えています。IHIエアロスペースは私たちの課題を共有しており、彼らが開発するパッシブドッキング機構が、私たちのプラットフォームにおいて最適な機器であると信じています。」

兼松 上席執行役員 車両・航空部門長 城所 僚一 
「IHIエアロスペースが製造するパッシブドッキング機構が、米国を代表する宇宙企業であるSierra Spaceに採用されたことを非常に喜ばしく思います。本件を機に、日本の技術が採用された宇宙機器のグローバルな普及を促進してまいります。日本企業が長年にわたり培ってきた宇宙技術の優位性と、高いクオリティーと安全性が国際的に認知され、輸出取引の拡大や国際協力関係の構築につながることを期待し、今後も積極的に取り組んでまいります。」

IA取締役 後藤 一將
「弊社がこれまで国際宇宙ステーション、および宇宙ステーション補給機『こうのとり』4)で培ってきた機構系の技術を活かして開発中のパッシブドッキング機構が、Sierra Spaceの開発する商用宇宙ステーションに採用されたことは、国際的にも弊社の技術が認められた証であり、とても喜ばしいことです。また、商用宇宙ステーションという場を最大限に活用して、将来の人類のために弊社の技術を用いて貢献できればと思っております。」
 
 

Sierra Spaceの概要

正式名称 Sierra Space Corporation
代表者 Tom Vice
所在地 米国コロラド州デンバー
設立 2021年6月1日
事業内容 宇宙機器・サブシステム、往還機および商用宇宙ステーションの開発

1) Sierra Spaceが開発する再利用型宇宙往還機。2024年に国際宇宙ステーションへの補給ミッションの運用が開始される。2020年代後半には、有人機の運用も開始される予定。
2) International Docking System Standardの略称で、宇宙ステーションや宇宙機のドッキング機構の国際標準。IDSS規格のドッキング機構にはパッシブ(凹)とアクティブ(凸)の二つの機構があり、IAは、いずれの機構についても開発に取り込んでいる。パッシブ機構は宇宙ステーション側に搭載され、アクティブ機構を有する宇宙船と安全にドッキングすることが可能となる。
3) 米国を中心に国際的パートナーによって実施される有人月探査プログラム。
4) 日本が開発した国際宇宙ステーションへの物資補給機。

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