米国NuScale社小型モジュール原子炉（SMR）
ルーマニア向けプロジェクト用鋼製モジュールモックアップが完成
IHIは、米国NuScale Power社の技術を採用した小型モジュール型原子炉(SMR：Small Modular Reactors)の原子炉建屋において、壁として使われる鋼製モジュールのモックアップをIHI横浜工場（神奈川県横浜市磯子区）で製造し、このたび完成しました。
本プロジェクトは、ルーマニアのRoPower（
*1
）がドイチェスティ（Doicesti）にある旧石炭火力発電所の跡地を利用して建設されるSMRプロジェクトのFEED Phase 2（
*2
）の一環であり、IHIはFEED Phase 2にて現地建設業務を担当する韓国Samsung C&Tから昨年12月にモックアップの製作を受注したものです。
（サイズ：約 長さ9m x 幅1.2m x 高さ6m、重量：約46 t）
IHIは2021年にNuScaleへ出資して以来、SMRの技術開発に参加しています。長年培ってきた原子炉重要機器の製造経験と技術力を活かし、SMRの実現に向けて取り組んでいます。
今回の鋼製モジュールモックアップ製造は、NuScale SMRプロジェクトの実現に向けた重要な一歩です。IHIは、このモックアップで得た知見を活用し、ルーマニアでの原子力サプライチェーンとの協力・供給体制の構築にも取り組んでいきます。
IHIは、原子炉重要機器では世界トップクラスの技術・能力を保有しており、さらに再処理・廃炉などのバックエンド分野においても国内有数の設計・製造能力を有しています。これら事業を通じて、技術力の維持・強化や、国内サプライチェーンの拡大にも貢献していきます。さらに大型、小型の次世代革新炉に対するグローバル展開を推進し、国内外の原子力の安全・事業の発展と、2030年代には売上1,000億円を目指していきます。
*1： RoPowerは、ルーマニアの国営原子力発電会社であるNuclearelectrica（SNN）が同国の民間エネルギー会社Nova Power & Gas S.R.Lと共同で設立したルーマニアにおけるNuScale社SMRの建設を目的としたプロジェクト会社。
*2： Samsung C&T、米国大手EPC企業のFluor Corporation、米国大手設計会社のSargent & LundyおよびNuScaleは、現在RoPower（
*2
）向けFEED業務に参加。
FEED(Front-end Engineering and Design)とは、概略設計(Feasibility Study)の後に行われる基本設計業務。主に正確な投資費用の評価、プロジェクト執行計画案の開発、主要サプライヤー選定のための準備が含まれる。今回のFEED Phase 2では，実際にモックアップを製作することなどにより，Phase1で検討されたコストを精査し，建設日程や投資安全性の評価が行われる。
【本件に関するプレスリリース】
2025年2月5日 米国NuScale社小型モジュール原子炉（SMR）ルーマニア向けプロジェクト用に鋼製モジュールモックアップ製作を受注
https://www.ihi.co.jp/all_news/2024/resources_energy_environment/1201248_13676.html
2021年5月27日 米国ニュースケール社への出資により，小型モジュール原子炉（SMR）事業に参画
https://www.ihi.co.jp/all_news/2021/resources_energy_environment/1197416_3345.html