日常管理の方法:更新作業

畑の農作業や鉢植えでは土を耕したり、新しい土に入れ換える等、常に新鮮な空気の豊富な、活性化された土壌を用意することができます。ところが、校庭のような完成した芝生ではこのような荒治療は不可能です。

学校等の芝生では、芝生利用の制限を最小に留め、老化した芝生を若返らせる更新作業を行います。主な更新作業に「エアレーション(コアリング/穴あけ)」や「バーチカル作業(バーチカルカット、サッチング、グルーミング)」があります。

エアレーション

エアレーションとは、踏圧により踏みしめられた土壌に穴を開けることです。エアレーションを行うことで土壌の通気を確保し、芝草の根の活力を回復させます。

芝生に1~2cmの穴を20cmくらいの間隔で約10cmの深さまで開けます。

エアレーションのイメージイラスト
芝生のコアリング(穴あけ)は、踏圧により堅くなった床土をほぐし、
通気性を良くするエアレーション作業です。
新鮮な空気を入れて芝草の活力UP!

エアレーションは、芝生に見た目以上の大きなダメージを与えるため、通常これから生育期に入る時季、かつ病虫害の影響の少ない春に実施するのが良いでしょう。

しかし、病害に見舞われやすい時季ですが、芝草の生育が旺盛な梅雨に実施することも少なくなりません。

エアレーションには、ゴルフ場や競技場で使用するバーチドレンのような便利な機械もありますが、校庭規模なら手押しで穴を開けられる製品(ローンパンチJr.〈キンボシ株式会社〉など)をお勧めします。

バーチカル作業

バーチカル作業には、バーチカルカット、サッチング、グルーミングがあります。

バーチカルカット

地表部から下に10~25mmの深さに切り込み、芝草の古い根を切断する作業のことです。
これにより芝草の発根を促し、活性化させます。

サッチング(サッチ除去)

サッチングとは、地表部から0~3mm下にブレードを入れることにより、サッチを掻き出す作業のことです。

サッチは、地上の緑色部と床土の表面との間(地際)に堆積した、刈草や芝草の枯れた茎・葉・根などからなる未分解有機物の層のことで、主な成分はセルロース(5~15%)ですが、難分解性のリグニンを10~40%も含みます。

そのためサッチが芝生上に堆積すると、水も肥料も吸収され、土中酸素不足により根が浅くなり、耐乾性、耐寒性、耐暑性が低くなる他、芝生の病原菌の繁茂に繋がるなど、芝草の生長に害を及ぼします。

校庭芝生の場合では、レーキやブラシを引くなど、比較的楽な作業でもサッチングは可能です。

グルーミング

芝目を矯正するために芝生を刈り込む作業のことです。
地表部より上の、刈高から1~2mm下げたところにブレードの最下部をセットして行います。