Change
Location

現在は日本サイトをご利用中です

アンモニアの燃料利用

アンモニア(NH3)は水素を効率的に運べるだけでなく、燃焼させてもCO2を排出しないため、気候変動対策に貢献する次世代のクリーンエネルギーとして期待されています。
IHIグループは、火力発電で培った燃焼技術を生かし、燃料アンモニアによる発電技術を開発しています。また、ガスタービンやレシプロエンジンといった内燃機関の燃焼技術、設計技術を生かし、アンモニアを燃料とする国産エンジンや専焼ガスタービンの開発にも取り組んでいます。
さらに、アンモニア利用が拡大する社会を想定し、アンモニアの生産から利用までのバリューチェーン構築に貢献していきます。

燃料アンモニアによるカーボンニュートラル社会の実現

世界初 大型商用石炭火力発電機でのアンモニア20%転換の実証

IHIは、株式会社JERAと共に、2021年6月から国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/アンモニア混焼火力発電技術研究開発・実証事業」に取り組みました。本事業では、世界初となる大型石炭火力発電機における燃料アンモニアの大規模転換実証試験を、碧南火力発電所4号機において実施しました。そして、2024年4月10日に定格出力100万kW運転で燃料アンモニアの20%転換を達成しました。また、同年6月までの実証運転で燃料アンモニア転換前(従来燃料専焼)と比較して、窒素酸化物(NOx)は同等以下、硫黄酸化物(SOx)は約20%減少したことを確認しました。
IHIは、本事業で得られた成果を基に、火力発電所におけるアンモニア50%以上の高比率燃焼技術の確立や、100%燃焼バーナの開発に取り組みます。

アンモニア100%燃焼ガスタービンの商用化を目指して

IHIは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業として、液体アンモニアを燃焼器内に直接噴霧して燃焼させる2,000kW級ガスタービンの技術開発に取り組んできました。そして、2022年6月に世界で初めて液体アンモニアを100%燃焼させ、燃焼時に発生する温室効果ガス(GHG)を99%以上削減することに成功しました。
同技術の社会実装に向け、2024年7月から IHI 相生事業所において耐久試験を行っており、計画どおりの発電出力で運転中です。試験では、大気汚染ガスである窒素酸化物(NOx)および温室効果の高い亜酸化窒素(N2O)の排出抑制を確認しています。この試験中に発電される電力は相生事業所にて使用しています。
IHIは、2026年度をめどに、アンモニア専焼ガスタービンの商用化を目指しています。

相生事業所で長期耐久試験中のIHI製2,000kW級ガスタービン「IM270」

世界初のアンモニア燃料タグボート「魁」の実証航海

IHI原動機は、日本郵船株式会社などと共に、2021年12月から開始した国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発」の一環で研究開発を実施しています。
2024年8月23日に竣工したアンモニア燃料タグボート「魁」(さきがけ)の3カ月の実証航海が、同年11月に無事完了しました。この航海は、アンモニア燃料船として世界初となる実運航中の実証試験であり、重油使用時と比較して最大約95%の温室効果ガス(GHG)排出量削減を達成しました。
また、同事業の一環として、日本郵船とIHI原動機は株式会社ジャパンエンジンコーポレーション、日本シップヤード株式会社と共同で、2026年11月竣工予定のアンモニア燃料アンモニア輸送船の開発にも取り組んでいます。

アンモニア燃料タグボート「魁」

アンモニアバリューチェーン

世界全体のアンモニア生産量は年間約2億トンに達しており(2019年時点)、アンモニアはすでに肥料や化学製品の原料として広く流通しています。
日本国内では、現在年間約110万トンのアンモニアが主に肥料用途として使用されていますが、今後は発電燃料としてのアンモニアの需要が見込まれています。例えば、国内大手電力会社の全ての火力発電所で20%のアンモニア燃焼を実施した場合、年間約2,000万トンのアンモニアが必要になります。今後、アンモニアの利用が拡大したときの燃料需要に応えるには、アンモニアを大量生産する設備に加え、輸送・貯蔵するインフラの整備も不可欠で、LNGと同様の流通形態が必要になると想定されます。
IHIグループは、アンモニアの生産から利用までのバリューチェーンにおいて、CO2を排出しない製造技術の開発、経験を生かした液体アンモニア受入基地の設計・施工、利活用機器の供給など、さまざまなプロセスで貢献していきます。

参照:令和2年度エネルギーに関する年次報告書(エネルギー白書2021)

燃料アンモニアバリューチェーン事業の目指す姿

  1. CCS:Carbon dioxide Capture & Storage(二酸化炭素回収・貯蔵)
  2. EOR:Enhanced Oil Recovery(石油増進回収)

気候変動への対策へ