IHIカーボンニュートラル2050
IHIグループは、パリ協定の努力目標「世界平均気温を産業革命以前と比べて1.5℃に抑える」を達成するために、「IHIカーボンニュートラル2050」を掲げています。
自社の事業活動によって直接・間接に排出される温室効果ガス(Scope1、2)については、2030年度に2019年度比で半減し、2050年には実質排出量ゼロを目指します。短期的な活動としては、「IHIグループ環境活動計画2023」(2023〜2025年度)を定め、2022年度を基準として設備投資によるScope1、2合計 12,000t-CO2 e削減、エネルギー消費原単位(売上収益あたりのエネルギー消費量)の3%低減を目標としています。
また、上流および下流のプロセスで排出される温室効果ガス(Scope3)についても2050年の実質排出量ゼロを目指しています。「Scope3削減ロードマップ」を策定し、特に排出量の大きいカテゴリ11(製品使用時)とカテゴリ1(購入した製品・サービス)を中心に削減し、Scope1、2、3全てにおいてカーボンニュートラルを実現していきます。
脱炭素技術を有するIHIグループは、この達成に向けて取り組むことで、グローバルなカーボンニュートラル社会の実現に率先して貢献していきます。
IHIカーボンニュートラル2050
IHIグループは、2050年までに、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現する
気候変動に伴うリスクと機会
IHIグループでは、展開する事業のうち、特に気候変動の影響を著しく受ける4つの主要事業(エネルギー事業、橋梁・水門事業、車両過給機事業、民間航空エンジン事業)を対象として、簡易的にシナリオ分析を行いました。
まず、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC :Intergovernmental Panel on Climate Change)が示す外部シナリオを参照し、移行リスクが大きい「①カーボンニュートラルな世界」と物理的リスクが大きい「②気候変動の影響が甚大な世界」の2つの世界における自社シナリオを設定しました(Step1)。次に、対象とした4つの主要事業について、リスク・機会を洗い出し(Step2)、事業におよぼす影響度を評価しました(Step3)。最後に評価結果を踏まえ、対応策を立案しました(Step4)。
自社シナリオで想定する2つの極端な世界における対応策を講じることで、将来のリスクに対するIHIグループ事業のレジリエンスを高められると考えます。
また、①と②が組み合わさった最も厳しい世界は、それぞれの対応策の組み合わせにより、リスクを低減できると考えます。
4つの主要事業についてリスク・機会の洗い出しとその対応策を、1.その事業に特化しているものと、2.どの事業にも共通しているものに分類しました。
今後は、気候変動の財務への影響評価などを行い、シナリオ分析を事業戦略に生かせるよう、充実させていきます。
IHIグループでは、経営方針や事業戦略の立案において、TCFD提言で求められている考え方を積極的に取り込むことで、自社を含む社会全体の持続的な発展に貢献します。
シナリオ分析のプロセス
参照した外部シナリオ
カーボンニュートラルな世界 IEA 2DS(ETP2017の Global technology penetrations in LDV stock by scenario、Global electricity generationなどを参考に定性的に評価)
気候変動の影響が甚大な世界 RCP 8.5(IPCC AR5 WG2の風水害リスクに関する部分を参考に定性的に評価)
1.事業に特化している主なリスク・機会(4つの主要事業について)とその対応策
「①カーボンニュートラルな世界」におけるリスク・機会および主な対応策
「②気候変動の影響が甚大な世界」におけるリスク・機会および主な対応策
2.どの事業にも共通している主なリスクとその対応策
「①カーボンニュートラルな世界」における移行リスクとその対応策
「②気候変動の影響が甚大な世界」における物理的リスクとその対応策