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考え方

IHIグループは、「気候変動への対策」を経営上の重要課題と位置付け、対策を進めています。気候変動は、社会や経済に与える影響が非常に大きく、企業にとっては、その持続可能性が問われる社会課題であり、IHIグループが取り組むべき課題と考えています。
IHIグループは、パリ協定の目標「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」に賛同し、「IHIカーボンニュートラル2050」を掲げています。2050年には温室効果ガス(GHG)の実質排出量をバリューチェーン全体でゼロにすることを目指して、気候変動移行計画を策定しています。
IHIグループは、社会全体のGHG排出量削減に貢献するため、気候変動に関連する事項について、日本政府官庁への働きかけ、業界団体を通じた政策提言、国際ルールづくりを推進しています。気候変動に関する政策・制度や市場形成に関わる外部イニシアチブに積極的に参画し、これらの活動から得られる知見をIHIグループの気候移行計画と整合させ、事業ポートフォリオや技術開発に反映することで、外部動向と自社戦略の一貫性を確保しています。

外部イニシアチブへの参画

IHIグループは、気候変動に関するイニシアチブに参画しています。イニシアチブへの参画については、経営会議と取締役会に付議した上で決定しています。

TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

IHIグループは、2019年5月、取締役会での決議を経て、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下、TCFD)提言の趣旨に賛同しました。この枠組みを戦略立案のツールとして役立てることで、リスク管理の強化や事業機会の創出につなげます。

GX フューチャー・コンソーシアム

GX フューチャー・コンソーシアム

IHIグループは、2022年2月に経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」に賛同し、2023年4月にGXリーグに参画しました。2026年4月には、GXリーグやTCFDコンソーシアムの機能を引き継ぐGXフューチャー・コンソーシアムが設立され、IHIグループは同コンソーシアムの会員へ移行しました。

GX フューチャー・コンソーシアム 公式サイト

業界団体との関わり

IHIグループは、気候変動に関するさまざまな業界団体に加盟しています。政府や業界団体が設定する気候変動対策の目標に対して、整合もしくは上回るように目標を設定して、カーボンニュートラルの実現に向けて活動しています。なお、業界団体の活動方針とパリ協定の目標との乖離が大きいと判断される場合には、当該団体に働きかけるとともに、脱退も含めて対応方針を検討します。

一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会

IHIは、一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会の理事会員として、燃料アンモニアの社会実装に向けて取り組んでいます。同法人は、クリーンアンモニアの燃料および原材料としての利用を中心としたバリューチェーン構築を目指しています。戦略の策定、関連技術開発およびその社会実装化に向けた取り組みを推進することにより、低炭素社会の実現に貢献することを目的としています。
IHIは、同法人が開催する国際シンポジウムやセミナーなどに参加し、新たな知見や情報を得て意見交換を行うとともに、燃料アンモニアの普及、バリューチェーンの構築に向けて、同法人と協調した活動を行っています。

一般社団法人カーボンリサイクルファンド

IHIは、一般社団法人カーボンリサイクルファンドの法人会員として、カーボンリサイクルイノベーションの推進に取り組んでいます。同法人は、地球温暖化問題と世界のエネルギーアクセス改善の同時解決を目指し、カーボンリサイクルに関する研究助成活動や広報活動などにより、カーボンリサイクルイノベーション創出支援を行うことを目的としています。
IHIは、同法人が行う研究助成活動に参画しているほか、カーボンリサイクル大学活動※に積極的に参加しています。同法人を通じて社外との関係構築を図るとともに、カーボンリサイクルに係る先進的な技術の発展支援に寄与しています。

カーボンリサイクル大学:同法人の会員企業の若手を対象に、課題解決型思考を育成するプログラム

国際標準化機関での活動

IHIグループは、グローバルな社会課題を解決するために必要な国際的ルール整備活動の一つとして、国際標準化機構ISO(International Organization for Standardization)において、標準化活動に取り組んでいます。IHIグループは、発電用ボイラーにおける燃料アンモニアの適切な利用を目的として、排ガス性能評価試験の実施手順や報告プロセスを規定した技術仕様書※(ISO/TS 21343)の開発に、同業他社および一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会と共同参加し、東北大学の小林教授の協力を得ながらIHIがプロジェクトリーダーを担当しました。この技術仕様書は、2025年1月14日に正式発行されました。

技術仕様書(TS:Technical Specifications):正式な国際規格に先立ち、新技術や手法を広く共有し、実用化を促進するための文書

国際航空業界における活動

IHIは、グローバルなカーボンニュートラル活動を強化するために、2025年4月に国際航空業界のサステナビリティ活動を推進する非営利団体IAEG(International Aerospace Environmental Group)に加盟しました。IAEGは世界の航空宇宙関連企業が業界の環境課題に対し、革新的な解決策を共同で開発・共有することを目的とした非営利団体です。IAEGは航空業界の企業同士が協力して、業界全体で活用できる基準の策定や主要な環境課題に対して、活用できる解決策を提供する活動を行っています。

参考:国際航空業界の環境対応推進団体IAEGに加盟し、グローバルなカーボンニュートラル活動を強化しています|2025年度|サステナビリティ活動レポート|サステナビリティ|株式会社IHI

公共規制への対応と支持

IHIグループは、国内外の各拠点において気候変動などに関する法律・政策・規制などを支持し、適切に対応しています。特にIHIは、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(省エネ法)における特定事業者で、エネルギー消費原単位を年平均1%削減する努力義務があります。3年に1度策定している環境活動計画でも、省エネ法に沿って削減目標を設定しています。各拠点で実施した省エネ施策をグループ内に展開することにより、IHIグループとしてエネルギーの効率利用を推進しています。

方針

IHIグループ環境基本方針

ガバナンス

IHIグループは、環境に関するガバナンス体制の下、気候変動への対策に関する分科会を設置し、方針の策定、戦略の立案、リスクの特定ならびに対応策の検討・推進を行っています。従来はタスクフォースとして取り組んできましたが、活動の継続性と実行力を高めるため、分科会体制へ移行しました。
現在は、事業領域の生産拠点におけるカーボンニュートラル施策の立案・実行を担う「カーボンニュートラル分科会」、気候移行計画の策定を担う「気候移行計画分科会」、ならびにScope3カテゴリー1のGHG排出量削減を担う「調達脱炭素分科会」において、バリューチェーン全体でのカーボンニュートラル実現に向けて活動しています。

環境管理・活動推進体制図

戦略

IHIカーボンニュートラル2050

IHIグループは、パリ協定の努力目標「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」に賛同しています。これを踏まえ、2050年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現することを目標として、「IHIカーボンニュートラル2050」を掲げています。
自社の事業活動によって直接・間接に排出されるGHG(Scope1、2)については、2030年度に2019年度比で半減、2050年には実質排出量ゼロを目指しています。短期的には、3年ごとに設定する環境活動計画の中で、GHG排出量やエネルギー消費原単位の削減目標を定めて活動しています。
また、上流および下流のプロセスで排出されるGHG(Scope3)についても2050年の実質排出量ゼロを目指しています。「Scope3排出量削減ロードマップ」を策定し、特に排出量の大きいカテゴリ11(製品使用時)とカテゴリ1(購入した製品・サービス)を中心に削減していきます。

IHIカーボンニュートラル2050

IHIグループは、2050年までに、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現する

気候変動に伴うリスクと機会

IHIグループでは、気候変動に伴う移行リスク・物理リスクの観点から事業への影響が大きい5つの主要事業(エネルギー事業、橋梁・水門事業、車両過給機事業、回転機械事業、民間航空エンジン事業)を対象として、簡易的にシナリオ分析を行いました。
まず、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC :Intergovernmental Panel on Climate Change)が示す外部シナリオを参照し、移行リスクが大きい「①カーボンニュートラルな世界」と物理的リスクが大きい「②気候変動の影響が甚大な世界」の2つの世界における自社シナリオを設定しました(Step1)。次に、対象とした5つの主要事業について、リスク・機会を洗い出し(Step2)、事業に及ぼす影響度を評価しました(Step3)。評価に当たり、時間軸を短期(1年)、中期(3年)、長期(~2040年)と設定しました。最後に評価結果を踏まえ、対応策を立案しました(Step4)。
自社シナリオで想定する2つの極端な世界における対応策を講じることで、将来のリスクに対するIHIグループ事業のレジリエンスを高められると考えます。
また、①と②が組み合わさった最も厳しい世界は、それぞれの対応策の組み合わせにより、リスクを低減できると考えます。
5つの主要事業についてリスク・機会の洗い出しとその対応策を、1.その事業に特化しているものと、2.どの事業にも共通しているものに分類しました。
今後は、気候変動の財務への影響評価などを行い、シナリオ分析を事業戦略に生かせるよう、充実させていきます。
IHIグループでは、経営方針や事業戦略の立案において、TCFD提言で求められている考え方を積極的に取り込むことで、自社を含む社会全体の持続的な発展に貢献します。

シナリオ分析のプロセス

Step1、自社シナリオ設定 外部シナリオ※を参照し、2050年の世界を想定した2つのシナリオを設定しました。1移行リスクの大きいシナリオ、2物理的リスクが大きいシナリオ Step2、リスク・機会の洗い出し Step1で設定した2つのシナリオに対して、リスク・機会を洗い出しました。 Step3、事業への影響度評価 Step2で洗い出したリスク・機会に対して、「発生の可能性」と「影響の大きさ」について各々点数付けしました。両者の積を「影響度」と定義し、リスク・機会が事業に及ぼす影響度評価を行いました。 Step4、対応策の立案 強靭性(レジリエンス)のある事業にするために、リスク・機会の対応策を立案しました。

参照した外部シナリオ

  • カーボンニュートラルな世界
    IEA 2DS(ETP2017の Global technology penetrations in LDV stock by scenario、Global electricity generationなどを参考に定性的に評価)
  • 気候変動の影響が甚大な世界
    RCP 8.5(IPCC AR5 WG2の風水害リスクに関する部分を参考に定性的に評価)

設定したシナリオ

  1. 移行リスクの大きいシナリオ
    温室効果ガスが一切排出できないために、社会システムが気候変動の緩和に移行する「①カーボンニュートラルな世界」におけるシナリオ
  2. 物理的リスクが大きいシナリオ
    自然の猛威に立ち向かうために物理的な影響への適応が必要な「②気候変動の影響が甚大な世界」におけるシナリオ

設定したシナリオにおける主なリスク・機会とその対応策

分類 リスク/
機会
関連する事業 リスク/機会の内容 対応策
1.5℃シナリオ移行リスクの大きいシナリオ(「①カーボンニュートラルな世界」におけるシナリオ)
政策・法規制 リスク 共通
  • 資材・部品およびエネルギーに対する環境規制強化による調達コストの増加
  • サプライヤーとの協働によるサプライチェーン全体の低炭素・脱炭素化
  • LCAを踏まえた調達方針・仕様の見直し
リスク 共通
  • 工場・建設現場・事務所に対するエネルギー・GHG排出規制強化による操業コストの増加
  • 生産・物流プロセスの効率化とエネルギーマネジメントの高度化によるエネルギー使用量・GHG排出量の削減
  • DX推進による省人化・遠隔化や工法改善による工期の短縮・工費の低減
評判 リスク 共通
  • 気候変動対策が不十分と評価されることによる受注機会の喪失、社会的信用力およびESG評価の低下
  • 気候変動の緩和・適応に貢献する製品・サービスの実績・計画に関する情報の積極的かつ透明性の高い発信
  • ステークホルダーとの対話を通じた方針・目標の明確化
技術 リスク エネルギー
回転機械
民間航空エンジン
  • 脱炭素・低炭素技術の開発遅延による市場競争力の低下および販売機会の逸失
  • 政策・技術・市場動向を踏まえた重点領域への戦略的な技術開発投資
  • 電動化や先進複合材など先端技術の早期実用化と製品への適用拡大
市場 リスク エネルギー
車両過給機
民間航空エンジン
  • 化石燃料を消費する製品・サービスの需要減少
  • 燃料転換などの脱炭素技術の早期実用化・ラインアップ拡充
  • 市場構造の急変に迅速に対応できるガバナンス・事業ポートフォリオ管理体制の構築
市場 機会 エネルギー
回転機械
民間航空エンジン
  • 低炭素・脱炭素に資する製品・サービスの需要増加
  • 原子力関連設備などの製造能力強化に向けた投資・生産性向上
  • カーボンリサイクル/燃料転換を加速するプロセスガス圧縮技術の早期実用化
  • 民間航空エンジンの電動化や先進複合材など高度技術の早期実用化とソリューション提案力の強化
4℃シナリオ物理的リスクが大きいシナリオ(「②気候変動の影響が甚大な世界」におけるシナリオ)
急性・慢性 リスク 共通
  • 台風・洪水等の気象災害による工場・建設現場・事務所・サプライチェーンの被災に伴う事業活動の停止・縮小
  • 工場・事務所の防災・減災対策の強化、重要拠点の分散化および代替生産体制の整備
  • サプライチェーンの強靭化と事業継続計画(BCP)の策定・定期的見直し
市場 機会 橋梁・水門
  • 大雨・洪水、渇水などの極端な気象現象に備える治水・利水インフラの需要増加
  • 水門・ダム設備などに関するエンジニアリング・製造・保守能力を活用したトータルソリューション提供と供給能力の拡充
急性・慢性 機会 エネルギー
橋梁・水門
  • 気象災害で損傷したインフラの早期復旧への貢献
  • 災害発生時の要請に迅速に対応できる体制・プロセスの整備(資機材・人員の事前確保、協力会社との連携強化など)

財務影響

IHIは、気候変動が事業および財務に与える影響について、移行リスクおよび物理リスクの両面から評価を行っています。
移行リスクとしては、ネットゼロ排出を目指す社会への移行により、化石燃料を直接または間接的に消費する一部の製品・サービスにおいて、中長期的に需要が減少する可能性があると認識しています。一方で、燃料転換、非化石燃料の利用、燃費性能を高めた新型航空エンジンなど、脱炭素化に貢献する技術分野では需要の拡大が見込まれます。
物理リスクの観点では、気候変動に伴う自然災害の激甚化により、設備被害や操業の停止・低下など、事業の継続性に影響を及ぼすリスクを認識しています。一方で、社会インフラの維持・強化に関する需要が拡大する可能性があり、これを事業機会として捉えています。
IHIは、これらのリスクと機会を踏まえ、燃料転換、原子力を含む非化石燃料の利用、新型航空エンジン、治水分野などにおける研究開発投資を継続し、気候変動の緩和および適応の両面から事業基盤の強化を進めています。

気候変動による財務影響
区分 移行 物理
リスク 需要減少による売上収益減(-)
ネットゼロ排出を目指す社会への移行により、化石燃料を直接または間接的に消費する一部の製品・サービスで需要が減少する可能性
事業継続性への影響(-)
自然災害の激甚化により、設備被害や操業停止・低下を通じて事業継続に影響
機会 脱炭素化ニーズによる事業機会(+)
燃料転換、非化石燃料の利用、新型航空エンジンなど
適応関連需要の拡大(+)
社会インフラの維持・強化、防災・治水分野
財務影響
  • 影響を受ける財務指標:売上収益
  • 影響を受けうる売上収益規模:約9,000億円~1兆円(長期、影響レンジ)
  • 移行リスクに脆弱な売上収益※:約7,300億円
対応 <共通する主な対応策>
  • 燃料転換技術の開発
  • 原子力を含む非化石燃料の利用拡大
  • 燃費性能を高めた新型航空エンジンの開発
  • 治水・防災分野を中心とした社会インフラ向けソリューションの強化
  • 上記分野を中心とした研究開発投資の継続
    (研究開発費:2025年度 396億円[グループ全体])
  • 移行リスクに脆弱な売上収益:移行リスクの影響を受けやすい事業に係る売上収益

リスク管理

IHIグループでは、短期的な事業リスクに加えて、中長期の時間軸で事業環境に変化を及ぼすサステナビリティ関連のリスクについても、事業活動に係るリスクとして管理しています。具体的には、中長期的にIHIグループに及ぼす影響を評価し、それらを短期的な事業リスクに落とし込んでいます。内部監査部門・コーポレート部門・事業領域・事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化し、重層的なリスク管理体制の中で管理しています。

指標と目標

IHIグループは、2050年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルの実現を目指しています。
工場・事務所などにおけるGHG排出量(Scope1、2)については、2023年度に取締役会での決議を経て、2030年度までに2019年度の排出量から半減することを目標としました。

CO2排出量とエネルギー消費量の目標・実績(IHIグループ環境活動計画2023(2023年度~2025年度))

(対象:IHIおよび連結子会社)

2025年度の目標 KPI 2022年度
(基準年度)
2023年度 2024年度 2025年度
設備投資によるScope1、2合計を2022年度比で12,000t-CO2e削減 GHG排出量(Scope1+Scope2)の削減量 GHG排出量
215,753t-CO2e
年度目標 2022年度比
2,000t-CO2e削減
2022年度比
6,000t-CO2e削減
2022年度比
12,000t-CO2e削減
実績 211,970t-CO2e 197,274t-CO2e 158,073t-CO2e
2022年度比 3,783t-CO2e削減 18,479t-CO2e削減 57,680t-CO2e削減
エネルギー消費原単位を2022年度比で3%削減 エネルギー消費原単位削減率 エネルギー消費原単位
17.0TJ/百億円
年度目標 2022年度比
1%削減
2022年度比
2%削減
2022年度比
3%削減
実績 17.6TJ/百億円 13.6TJ/百億円 13.3TJ/百億円
2022年度比 3.5%増加 19.6%削減 21.5%削減

「気候変動への対策」の目標(IHIグループ環境活動計画2026[2026年度~2028年度])

(対象:IHIおよび連結子会社)

3カ年目標 2026年度の目標
Scope1、2排出量150千t-CO2e以下
(2019年度比で41%以上削減)
Scope1、2排出量173千t-CO2e以下
(2019年度比で32%以上削減)
エネルギー消費原単位を2025年度比で3%削減 エネルギー消費原単位を2025年度比で1%削減
気候移行計画の策定と実施 気候移行計画の策定、事業計画への反映
Scope3カテゴリー1、11排出量の算定精度向上 Scope3カテゴリー11排出量に加えて、カテゴリー1排出量(2025年度実績)の第三者認証を新たに取得
製品によるGHG削減貢献の発信 削減貢献量を算定する製品を選定し、試算・算定方法確立

GHG排出量(Scope1、2)とエネルギー消費量

(対象:IHIおよび連結子会社)

項目 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
内訳 第三者検証の有無 第三者検証の有無 第三者検証の有無 第三者検証の有無
GHG排出量(Scope1+Scope2)(t-CO2e)※1 215,753 ○ 211,970 ○ 197,274 ○ 158,073 ○
Scope1(t-CO2e) 61,469 ○ 65,033 ○ 57,951 ○ 53,942 ○
CO2(t-CO2) 60,178 ○ 63,393 ○ 56,420 ○ 52,455 ○
CH4(t-CO2e) 447 ○
(国内のみ)
974 ○
(国内のみ)
923 ○
(国内のみ)
808 ○
(国内のみ)
N2O(t-CO2e) 85 ○
(国内のみ)
85 ○
(国内のみ)
76 ○
(国内のみ)
202 ○
(国内のみ)
HFCs(t-CO2e) 469 ○
(国内のみ)
281 ○
(国内のみ)
443 ○
(国内のみ)
388 ○
(国内のみ)
PFCs(t-CO2e) 0 ○
(国内のみ)
0 ○
(国内のみ)
0 ○
(国内のみ)
0 ○
(国内のみ)
SF6(t-CO2e) 290 ○
(国内のみ)
299 ○
(国内のみ)
90 ○
(国内のみ)
90 ○
(国内のみ)
NF3(t-CO2e) 0 ○
(国内のみ)
0 ○
(国内のみ)
0 ○
(国内のみ)
0 ○
(国内のみ)
Scope2(マーケット基準)(t-CO2) 154,284 ○ 146,937 ○ 139,322 ○ 104,130 ○
GHG排出原単位(t-CO2e/億円)※2 15.9 ─ 16.0 ─ 12.1 ─ 9.6 ─
エネルギー消費量(TJ)※1 2,294 ○ 2,322 ○ 2,218 ○ 2,187 ○
燃料消費量(TJ) 1,019 ○ 1,070 ○ 993 ○ 977 ○
電力消費量(TJ) 1,230 ○ 1,184 ○ 1,146 ○ 837 ○
熱消費量(TJ) 0 ○ 0 ○ 0 ○ 0 ○
再生可能エネルギー使用量(TJ) 45 ○ 69 ○ 79 ○ 374 ○
エネルギー消費原単位(TJ/百億円)※2 17.0 ─ 17.6 ─ 13.6 ─ 13.3 ─
  1. 各項目を四捨五入して合計しているため、内訳の合計値と一致しない場合があります。
  2. 原単位の分母は売上収益です。

環境情報検証報告書

GHG排出量(Scope3)

IHIグループは、GHGプロトコルおよび環境省が定めるガイドライン※に基づき、Scope3排出量を算定しました。Scope3の中で最も多いのは、カテゴリ11(販売した製品の使用)で、次に排出量が多いのはカテゴリ1(購入した製品・サービス)となりました。

サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン

(単位:t-CO2e)

項目 算定方法 集計範囲 排出量
2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
カテゴリ 第三者検証の有無
GHG排出量(Scope3)合計 184,475,000 403,575,000 357,089,456 341,256,290 ─
1 購入した製品・サービス 支出額に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 4,665,000 5,130,000 5,455,000 2,904,352 〇
2 資本財 設備投資金額に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 205,000 239,000 326,000 327,000 ─
3 Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 各種エネルギーの消費量に基づいて算定 国内の電力、都市ガス消費分のみ 13,000 13,000 13,000 10,000 ─
4 輸送、配送(上流)※1 輸送金額に基づいて算定 IHIおよび一部の国内連結子会社 1,000 1,000 5,000 27,000 ─
5 事業活動から出る廃棄物 廃棄物排出量に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 8,000 9,000 9,000 9,000 ─
6 出張 出張旅費金額に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 14,000 14,000 14,000 14,000 ─
7 雇用者の通勤 通勤交通費支給額に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 4,000 4,000 4,000 4,000 ─
8 リース資産(上流) Scope1、2に含めて算定 ─ ─ ─ ─ ─ ─
9 輸送、配送(下流) 対象外※2 ─ ─ ─ ─ ─ ─
10 販売した製品の加工 対象外※3 ─ ─ ─ ─ ─ ─
11 販売した製品の使用 製品が消費するエネルギーに基づいて算定、排出原単位は政府や業界団体のシナリオを参考に将来の変化を加味※4 IHIおよび連結子会社 179,565,000 398,165,000 351,263,456 337,960,938 ○
(検証範囲は排出量ベースで99.8%)
12 販売した製品の廃棄 対象外※5 ─ ─ ─ ─ ─ ─
13 リース資産(下流) カテゴリ11に含めて算定 ─ ─ ─ ─ ─ ─
14 フランチャイズ 対象外※6 ─ ─ ─ ─ ─ ─
15 投資 対象外※7 ─ ─ ─ ─ ─ ─
  1. 2023年度までの算定方法は輸送手段ごとの重量・距離、エネルギーに基づいています。また、2023年度までの集計範囲はIHI単体としています。
  2. 多くの製品は据え付け・納入後に輸送されることが少なく、排出量は少量となるため対象外としました。
  3. 完成品を納入することが多く、部品であっても組み立てなどによる排出量は少量となるため対象外としました。
  4. 民間航空エンジンの算定方法については、下記の補足資料をご確認ください。
  5. 多くの製品は金属製であり、リサイクルされることにより最終処分量はわずかで、排出量は少量となるため対象外としました。
  6. IHIグループでは、フランチャイズ形態をとっていないため対象外としました。
  7. 環境省の資料(サプライチェーン排出量算定におけるよくある質問と回答)において、カテゴリ15は民間金融機関向けとされているため対象外としました。

環境情報検証報告書

取り組み

気候変動の緩和(カーボンニュートラルに向けた取り組み)

IHIグループは、2050年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現することを目指し、自社の事業活動によって直接・間接に排出されるGHG(Scope1、2)だけでなく、自社の上流および下流のプロセスで排出されるGHG(Scope3)の削減に取り組んでいます。

Scope1、2排出量削減

自社の事業活動・生産活動においては、エネルギー利用効率の改善活動と、より低炭素なエネルギー使用を推進する活動を組み合わせ、工場・事務所などから排出されるCO2の削減に取り組んでいます。
エネルギー利用効率の改善活動では、設備の運用改善と投資の両面で取り組んでいます。運用改善を進めるためにエネルギー管理標準を整備し、最適な運転条件を目指して運転管理の検討を行うほか、外部専門家による省エネ研修を実施して管理担当者の資質向上に努めています。同時に、老朽化した設備から省エネ型設備への更新および再生可能エネルギーの導入を計画的に実施しています。省エネ型設備などCO2排出量削減効果のある設備の導入を促進するため、「社内カーボンプライシング制度」を設けています。対象の設備の導入で予測されるCO2排出量の削減値に社内で設定したカーボンプライス(15,000円/t-CO2e)を乗じてCO2削減価値を算出し、設備投資額からCO2削減価値を差し引いて投資効果を評価します。本制度は、2023年度の設備工事計画より適用しています。輸送については、積載率の向上や船舶の積極的使用によるモーダルシフト推進などに取り組んでいます。

Scope1、2排出量削減ロードマップ
Scope1、2排出量削減ロードマップ

Scope3排出量の削減

IHIグループは、2050年までにScope3排出量の実質ゼロを目指し、その達成に向けたロードマップを策定しています。このロードマップに沿って、材料調達・設計・製造からお客さまによる製品使用に至るまで、製品ライフサイクル全体でのGHG排出量削減を進め、Scope3排出量の着実な削減に取り組みます。また、燃料アンモニアバリューチェーンの構築をはじめとする事業を通じて、社会全体の脱炭素化にも貢献していきます。

Scope3カテゴリ11排出量削減

IHIグループでは、Scope3排出量の大部分がカテゴリ11(販売した製品の使用)で、2023年度の排出量の多くを石炭火力発電用ボイラーが占めています。しかし、2025年度までにボイラーの新設工事を終了し、2026年度以降は排出量が大幅に減少する見込みです。また、カテゴリ11に含まれる他の製品についても、クリーンエネルギーへの転換やエネルギー消費の効率化を進めることで、2050年までに大幅な削減を目指しています。
主力製品である民間航空エンジンについては、取引先と協働し、材料調達を含むサプライチェーン全体のカーボンニュートラル化に取り組んでいます。従来形態航空エンジンの燃費改善や革新形態航空エンジンの開発も進めており、航空機全体のエネルギー効率の向上を図っていきます。さらに、持続可能な航空燃料(SAF)の製造技術の開発および利用拡大にも注力し、バリューチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指します。他の製品についても、高機能化・高効率化を進め、クリーンエネルギーへの転換を推進しています。
特に注目しているのは燃料アンモニアです。燃料の製造から受け入れ、貯蔵、利活用までの各プロセスでIHIグループの強みを生かし、バリューチェーンを構築していきます。これにより燃料アンモニアの普及・拡大を図り、社会全体のGHG排出量削減に貢献します。

Scope3カテゴリ1排出量削減

IHIグループでは、Scope3カテゴリ1(購入した製品・サービス)の排出量削減のため、CSR調達を推進しており、環境に配慮している取引先を積極的に採用し、製造過程でのCO2排出量が少ない製品の購入を進めています。CSR調達とは、調達の基本要件に加えて人権・労働・安全衛生・環境・情報管理にも十分配慮した調達活動のことです。
IHIグループは、Scope3カテゴリ1排出量を精度よく算定するためには、サプライヤーから直接入手した排出量データである一次データの比率を高める必要があると考えています。そこで、一次データ比率をグローバルに、かつ効率的・統一的に高めることを目的として、EcoVadis社のカーボンアクションマネージャー(Carbon Action Manager:CAM)を導入しました。CAMは、サプライヤーとの間でGHG排出量や削減目標などに関する一次データを収集し、比較・管理するためのプラットフォームです。具体的には、調達品の発注実績データと、品目別の公表原単位またはEcoVadisメトリクスデータから得られる取引先別の売上原単位をかけ合わせて、発注単位でGHG排出量を算出しています。EcoVadisメトリクスデータの利用を優先していくことで、一次データ比率を高めていきます。

Scope3排出量の実績・見込み
Scope3排出量の実績・見込み
Scope3排出量削減ロードマップ
Scope3排出量削減ロードマップ
Scope3排出量削減に向けた取り組みの状況
施策区分 2025年度の主な実績(プレスリリースリンク)
クリーンエネルギーへの転換 燃料アンモニア IHIとGEベルノバ、大型燃焼試験においてアンモニア100%燃焼を達成 | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
インドネシア商用石炭火力発電所において
ASEAN初となるグリーンアンモニアでの燃焼実証に成功 | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
燃料アンモニア
バリューチェーン
株式会社JERA碧南火力発電所向け燃料アンモニア設備の建設工事を推進 | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
北海道苫小牧地域を中心としたアンモニア供給拠点に関する「拠点整備支援制度」の認定を取得 | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
クリーン燃料 パーム油製造時の排水から、グリーン燃料であるバイオメタンの製造検討を行う覚書を締結
~マレーシアMTCO社と連携し、パーム産業の課題解決を目指す~ | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
ENEOSとTOPPANホールディングスが進める古紙バイオエタノール実証事業向けに、実証プラントを受注 | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
持続可能な航空燃料(SAF) CO2を原料とした持続可能な航空燃料(SAF)の試験装置による合成に成功
~国際規格を満たす優れた特性を専門機関で確認~ | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
CCUS 脱炭素の推進に向けて、商用CCUSに求められるプロセスガス圧縮機の吐出圧力20MPaGの昇圧に成功 | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
世界初、タイの石油化学プラントにおいて将来のカーボンニュートラル社会に貢献する低級オレフィン製造パイロットプラントの運転を開始
~石油製品の製造工程から発生するCO2を樹脂原料製造へ活用~ | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
原子力発電 米国NuScale社小型モジュール原子炉(SMR)
ルーマニア向けプロジェクト用鋼製モジュールモックアップが完成 | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
エネルギー消費の効率化 既存航空エンジンの改良 エアバス社「A320neo」ファミリーに搭載される「PW1100G-JM」の改良型 新エンジン「GTF Advantage」の型式承認を取得 | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI
カーボンクレジット 超小型ハイパースペクトル衛星「IHI-SAT2」の打上げ成功
~衛星データ利用技術による森林管理・カーボンクレジット事業の推進~ | 2025年度 | ニュース | 株式会社IHI

気候変動への適応

事業継続のための災害への備え

IHIグループは、平時・災害時の組織体制や実施すべき事項について規定に定め、大規模地震や台風、その他の風水害などの災害の発生に備えています。

危機管理

製品・サービスによる防災・減災

IHIグループは、安心・安全で暮らしやすいコミュニティの実現を目指し、自然災害に強くかつ経済的なインフラの整備、人的被害を最小化する災害・被害予測とインフラ制御を統合するシステムの構築を進めています。
インフラ整備としては、橋梁を中心としたインフラに対する高度保全の知見やセンシング技術・モニタリング技術を活用して、適時適切な保全事業を展開しています。災害による人的被害や経済損失を最小化するために、気象情報や災害に関連するセンシングデータから災害を予測し、地域インフラ(ダム・水門・排水機場などの河川管理施設、樋門などの農業水利施設)を最適に制御する「統合治水管理」を行います。
また、災害からの復旧に役立つ製品やサービスで、短期間で日常を取り戻すことに貢献しています。

レジリエンスな社会インフラの実現
レジリエンスな社会インフラの実現
統合治水管理
統合治水管理

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