水質汚濁の防止
IHIグループは、確実に排水基準を遵守し、放流先である海域・河川などの公共水域の水質を保全するために、水質汚濁防止法などの法令や自治体が定める条例などの公的基準値を上回る排水自主基準値を定めて管理しています。
基準値の達成状況を確認するために、定期的な自主採水と分析・監視、排水口の日常巡回点検を実施しています。排水処理設備のメンテナンスとして、老朽化した設備や計測器および埋設配管の計画的な更新などを実施しています。
土壌汚染の防止
IHIグループは、土壌汚染を防止するために、土壌汚染対策法で指定する有害物質などを使用する区域を特定し、作業手順の確立・定期的なパトロールを通して、運用による化学物質の漏洩防止に努めています。
有害物質を使用する区域には、耐久性・耐薬品性に優れた内面塗装を施した防液提を設けるなど、設備投資により、万が一の漏洩に備えています。特に有害廃棄物保管場所については、原則屋内保管庫とし、悪天候による漏洩防止に努めています。
化学物質
IHIグループは、IHI製品の製造から廃棄までのライフサイクルにおいて、化学物質が人の健康や環境に与える影響を最小限にしつつ、これを使用することに取り組んでいます。
そのため、事業所・工場における化学物質と製品含有化学物質に大別し、それぞれに適した管理に取り組んでいます。
事業所・工場における化学物質管理
IHIグループは、化学物質管理に係る法令などを遵守し、かつ作業者安全と環境汚染防止を図るために、使用する化学物質の性状、有害性情報などを正確に把握・理解して使用しています。
経済産業省が所管するPRTR制度にのっとり、指定化学物質について、大気・公共水域・土壌への排出量と下水道・廃棄物への移動量を適切に把握し、都道府県経由で国へ届出を行っています。さらに大気汚染防止法や各事業所・工場が立地する自治体の条例など、化学物質に関わる法規制を事業所・工場ごとに把握し、適切に遵守しています。
事業所・工場では、作業者の安全確保のために、化学物質のSDS(Safety Data Sheet)を入手・整備して有害性情報や化学物質の性状に応じた最適な取り扱いを把握し、適正に管理しています。また、化学物質の漏洩による土壌や水質、大気の汚染(環境事故)を防止するために、購入・受入から使用、保管・貯蔵および廃棄までの一連のプロセスを管理対象とした運用管理マニュアルを整備しています。緊急時対応訓練の実施、および定期的な設備投資による老朽化設備の更新も行っています。
また、これらの活動と並行して、一般社団法人日本産業機械工業会の会員企業として、揮発性有機化合物(VOC)排出抑制に関わる自主的取り組みのフォローアップに参加しています。PRTR法対象物質以外の自主管理対象物質も加え、取扱量と排出量を把握するとともに、低VOC含有塗料への切り替えや塗装中の塗料管理方法の改善などを検討・実施することで、大気への排出抑制に取り組んでいます。
製品含有化学物質管理
IHIグループは、「IHIグループ化学物質情報管理基本方針」を定めて、製品含有化学物質を管理しています。
IHIグループの製品・サービスが人の健康や環境に与える影響を最小限にするために、サプライチェーンを通じて調達する素材、部品などに含まれる化学物質情報を入手し、使用禁止物質が含まれていないこと、許容濃度以下であることを確認しています。
有害廃棄物(PCB含有廃棄物)
IHIグループは、ポリ塩化ビフェニル(PCB)含有廃棄物の処理について本社主導で専門チームを組織し、法律の期限である2027年3月末までに100%処分するよう対応を進めています。
2025年3月31日現在、高濃度PCB使用電気機器は100%、低濃度PCB使用電気機器は91.3%の処理が完了しています。安定器については、99.7%の処理が完了しています。
環境リスク監査
IHIグループでは、本社から事業所・工場を訪問し、現地で水質・土壌・大気汚染防止対策が行われているか、化学物質・廃棄物などの管理体制が構築されているかなどを確認する、環境リスク監査を実施しています。
2024年度は9カ所で監査を行いました。重大な指摘事項はなく、軽微な指摘事項がありましたが直ちに是正し、現在は環境管理体制に問題がないことを確認しています。
生物多様性の保全
「東近江市建部いきものの水路」の環境保全(IHI、IHIインフラ建設)
IHIとIHIインフラ建設(IIK)は、IIK滋賀工場(滋賀県東近江市)近隣を流れる愛知(えち)川流域の農業水路における水マネジメントに携わるとともに、周辺流域の環境保護活動を行っています。農業水路の清掃や環境整備を行うことで、その排水先となる愛知川の固有種であるビワマスや、アユの生育環境の改善にもつながっています。なお、本取り組みは、IHIグループとして初めて、環境省より「2024年前期自然共生サイト」として登録されました。
(GBFターゲット1「空間計画MP策定と効果的管理」の取り組み)
東京湾アマモ場再生活動への協力(IHI横浜事業所)
IHI横浜事業所は、2008年より「金沢八景東京湾アマモ場再生会議」が主催するアマモ場再生活動に近隣企業と共に参加しています。アマモ場再生活動とは、アマモの種を採取し、大きく育てたのちに海に植え、アマモ場を広げる活動です。アマモは「海のゆりかご」とも呼ばれ、小魚の隠れ家として生物多様性に貢献するとともに、光合成によるCO2の固定化にも寄与します。
(GBFターゲット8「気候変動対策」の取り組み)
在来種杉田梅の保護(IHI横浜事業所)
IHI横浜事業所は、立地する神奈川県横浜市磯子区杉田地区の在来種である杉田梅の保護活動を行っています。事業所内にある約3,000m2の空き地を活用して、2023年から毎年杉田梅の苗木の植樹を行っています。2025年1月現在で約40本の幼木を育てており、花を咲かせた幼木もありました。
(GBFターゲット4「種・遺伝子の保全」の取り組み)
生物多様性の生息環境の開示(IHI相生事業所)
IHI相生事業所は、相生湾と山林に囲まれた豊かな自然環境の中に立地しています。事業所面積の約7割を占める緑地において、動植物調査やグリーンインフラ整備などを通して、生物多様性のポテンシャルを確認してきました。2018年度に、一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)より「第6回いきもの共生事業所認証施設」として新規認証され、2024年度には認証を更新しました。
(GBFターゲット2「生態系の回復」の取り組み)