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自然資本・生物多様性

考え方

IHIグループは、自然資本を社会と事業活動を支える重要な基盤と捉えています。事業活動が自然資本に依存するとともに、自然資本に影響を及ぼし得ることを踏まえ、その関係性を適切に把握し、負の影響の低減と持続可能な利用に努めることが重要であると考えています。
また、自然資本の保全・回復に資する技術や製品・サービスの提供を通じて、自然と共生する社会の実現に貢献していきます。これらの取り組みを進めるに当たっては、関連する法令などを遵守するとともに、従業員の理解促進、適切な情報開示、ステークホルダーとの対話を重視していきます。
なお、IHIグループでは、こうした考え方を踏まえ、自然資本・生物多様性に関する方針の整理を進めています。

方針

IHIグループ環境基本方針

ガバナンス

IHIグループは、環境に関するガバナンス体制の下、自然資本の保全に関する分科会を設置し、方針の策定、戦略の立案、リスクの特定ならびに対応策の検討・推進を行っています。

環境管理・活動推進体制図

戦略

IHIグループは、事業を継続する上で鉱物資源や水資源などの自然資本を持続的に利用できるようにすることが重要であると考えています。また、自社の生産活動だけでなくその上流や下流を含めたバリューチェーン全体における環境への負荷が生物多様性に大きな影響を与えるため、気候変動への対策や汚染防止、サーキュラーエコノミーへの移行と関連付けて、生物多様性を含む自然資本の保全に取り組んでいます。
さらに、自然関連のリスクおよび機会を体系的に把握・整理するため、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言を参照しながら、今後の取り組みの検討を進めていきます。現時点では、まず自然資本の重要性に対する理解の深化と現状把握を重視し、2026年度以降、段階的にTNFDの考え方を踏まえた取り組みへと発展させていく方針です。まずは自然資本への依存および影響を評価します。次にリスク・機会を分析して事業や財務に与える影響を分析し、それらの結果を報告していきます。
生物多様性については、事業所・工場において、COP15で策定された「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」に示された2030年グローバルターゲットに関連付けた活動を行っています。また、2024年5月より、環境省の「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加しています。

リスク管理

IHIグループは、自然資本と事業活動との関係性を把握するため、経済活動と自然資本(生態系サービス)との依存および影響関係を整理した国際的データベースであるENCOREを活用し、一次スクリーニングを行いました。その結果、IHIグループの製造活動を中心とした事業の特性から、自然資本への依存と影響は、次の3つの類型に整理されました。
(1)社会基盤事業
生態系の調整機能(水・土・防災など)への依存および影響が共に相対的に高く、優先的に詳細な検討を行う必要がある事業
(2)資源・エネルギー・環境事業、産業システム・汎用機械事業
自然資本への直接的な依存は限定的である一方、製造工程における環境負荷(排出、大気・水、廃棄物など)の管理が重要な論点となる事業
(3)航空・宇宙・防衛事業
製造活動における物理的な自然資本への依存および影響は全体として限定的であり、製造拠点ごとの環境負荷管理を通じた影響把握および管理が重要となる事業

ENCOREによる一次スクリーニングの結果

事業 ISIC Division ISIC Group/Class Dependencies(依存)
水の供給 気候の調節(地球規模) 降雨パターンの調節 気候の調節(地域) 大気のろ過 土壌・堆積物の安定化(侵食防止) 固形廃棄物の浄化・修復 水質の調節(浄化) 水流の維持(調節) 洪水からの保護 暴風雨からの保護 騒音の低減 大気・生態系による希釈 感覚影響の緩和
社会基盤 土木工事業 公益工事業
その他の土木工事業
M M VH L VL H - M M H H VL L VL
資源・エネルギー・環境 他に分類されない機械器具製造業 特殊産業用機械製造業 M VL VL L VL L L M M M M VL L VL
産業システム・汎用機械 他に分類されない機械器具製造業 一般機械製造業 M VL VL L VL L L M M M M VL L VL
航空・宇宙・防衛 その他の輸送用機械器具製造業 航空機および宇宙船ならびに関連機械製造業 L VL VL L VL M M M M M M VL L VL
事業 ISIC Division ISIC Group/Class Impacts(影響)
生活妨害 淡水生態系の利用(面積) 温室効果ガス(GHG)の排出 海洋生態系の利用(海底面積) GHG以外の大気汚染物質の排出 固形廃棄物の排出 陸上生態系の利用(面積) 水質・土壌汚染物質(有害)の排出 水利用量 外来種の侵入
社会基盤 土木工事業 公益工事業
その他の土木工事業
VH VH M M L M L H L L
資源・エネルギー・環境 他に分類されない機械器具製造業 特殊産業用機械製造業 M - L - L L L M M -
産業システム・汎用機械 他に分類されない機械器具製造業 一般機械製造業 M - L - M L L M M -
航空・宇宙・防衛 その他の輸送用機械器具製造業 航空機および宇宙船ならびに関連機械製造業 H - L - L L L H L -
  • VHVery High
  • HHigh
  • MMedium
  • LLow
  • VLVery Low

取り組み

IHIグループは、事業が自然資本に与える影響を十分に理解し、自然資本・生物多様性の保全に取り組んでいます。

「東近江市建部いきものの水路」の環境保全(IHI、株式会社IHIインフラスクエア)

IHIと株式会社IHIインフラスクエア(IIS)は、IIS滋賀工場(滋賀県東近江市)近隣を流れる愛知(えち)川流域の農業水路における水マネジメントに携わるとともに、周辺流域の環境保護活動を行っています。農業水路の清掃や環境整備を行うことで、その排水先となる愛知川の固有種であるビワマスや、アユの生育環境の改善にもつながっています。なお、本取り組みは、IHIグループとして初めて、環境省より「2024年前期自然共生サイト」として登録されました。自然共生サイトとは、国が認定する「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」のことです。また、2025年度には、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として国際データベースに登録されました。
(GBFターゲット1「空間計画MP策定と効果的管理」の取り組み)

「自然共生エリア」における健全な生態系の維持(IHI横浜事業所)

IHI横浜事業所は、「IHI横浜事業所自然共生エリア」を設け、絶滅危惧Ⅱ類に分類されるキンランやクゲヌマランなどの希少植物の保全や事業所が立地する横浜市磯子区杉田地区の在来種である杉田梅の保護活動を行っています。また、協生農法による持続可能な作物の栽培を試行しています。
「IHI横浜事業所自然共生エリア」は、「在来種を中心とした多様な動植物種からなる健全な生態系」の維持と、「希少な動植物種が生息生育している場」の拡張に取り組んでいる点が評価され、2025年9月16日に自然共生サイトに認定されました。また、2026年度には、OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として国際データベースに登録されました。
(GBFターゲット4「種・遺伝子の保全」の取り組み)

東京湾アマモ場再生活動への協力(IHI横浜事業所)

IHI横浜事業所は、2008年より「金沢八景東京湾アマモ場再生会議」が主催するアマモ場再生活動に近隣企業と共に参加しています。アマモ場再生活動とは、アマモの種を採取し、大きく育てた後に海に植え、アマモ場を広げる活動です。アマモは「海のゆりかご」とも呼ばれ、小魚の隠れ家として生物多様性に貢献するとともに、光合成によるCO2の固定化にも寄与します。
(GBFターゲット8「気候変動対策」の取り組み)

生物多様性の生息環境の開示(IHI相生事業所)

IHI相生事業所は、相生湾と山林に囲まれた豊かな自然環境の中に立地しています。事業所面積の約7割を占める緑地において、動植物調査やグリーンインフラ整備などを通して、生物多様性のポテンシャルを確認してきました。2018年度に、一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)より「第6回いきもの共生事業所認証施設」として新規認証され、2024年度には認証を更新しました。
2025年度は、相生事業所の調査対象地点において、特定外来種の調査や希少植物のモニタリングを外部専門家と共に行いました。また、いきものモニタリングや山林整備箇所の確認も実施しました。
(GBFターゲット2「生態系の回復」の取り組み)

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