労働安全衛生マネジメントシステムの対象となる労働者
IHIグループでは、全ての工場および研究所を対象に「工場および研究所における労働安全衛生マネジメントシステムに関する基準」を、また、全ての建設事業場を対象に「建設事業場における労働安全衛生マネジメントシステムに関する基準」を、それぞれ規定として定めています。
これらの基準は、IHIグループの工場、研究所および建設事業場と、それらの場所で働く、グループ従業員と協力会社従業員を含めた全ての労働者を対象としています。
安全衛生管理
IHIグループは、「労働安全衛生マネジメントシステムに関する基準」に基づき、安全衛生方針・目標・計画を定めた上で、ISO 45001をはじめとする国際ガイドラインに準拠したモニタリング体制を構築し、労働災害件数や災害度数率などのデータを基にした安全衛生管理評価を毎年実施することで、労働災害撲滅に向けた改善を進めています。
また、IHIグループでは、特に多くの割合を占める6つの労働災害類型について、2020年度から「IHIグループ安全基本原則」を定め、これらの労働災害の撲滅に重点的に取り組んでいます。
さらに、労働災害撲滅に向けて、従業員の安全衛生教育を定期的に行うほか、工場構内や建設現場で働く協力会社に対しても安全衛生管理水準の向上に向けた支援を行い、安全な職場づくりに共に取り組んでいます。
労働災害リスクの管理
IHIグループの工場や建設現場ではリスクアセスメントを実施し、本質的・物理的対策を優先した確実なリスク低減を図っています。具体的には、職場に存在する危険源を漏れなく特定し、それぞれの危険源が持つエネルギーを基にリスクレベルを評価します。そして、評価結果に基づき、リスクの大きさに応じた優先順位を設定するとともに、経営資源の投入による効果的な安全対策について経営幹部が関与して検討し、実施していきます。これにより、計画的かつ着実に労働災害のリスク低減を図ります。
2025年度IHIグループ安全衛生管理重点方針
リスクアセスメント、リスク対応の強化を通じて、事故や災害の発生を未然に防ぐ。
- 「危険源と作業の関わり」に着目したリスクの洗い出しと評価
- リスク対応判断への経営幹部の関与
- 実施体制の確立、その他必要な経営資源の投入
管理目標
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全災害度数率
(工場部門)0.6未満 (建設部門)1.2未満
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リスクアセスメントのプロセス構築状況
国内の工場および建設・サービス部門でリスクアセスメントが定着している状態
IHIグループ安全基本原則
- 高所からの墜落
- 中低所からの転落
- 機械・装置によるはさまれ・巻き込まれ
- 重量物取り扱い時のはさまれ
- 手工具使用時の災害
- グラインダー使用時の災害
工事などプロジェクトにおける労働安全衛生デュー・ディリジェンス
IHIグループでは、工事などプロジェクトの実行に当たり、事前に労働安全衛生の観点から、リスクの特定および評価を行い、必要な対策を講じることで、労働安全衛生リスクの低減に努めています。
また、協力業者に対しては、「IHIグループ安全基本原則」をはじめとする安全対策の確実な実施を徹底しています。
労働災害が発生したときの調査方法および所見
IHIグループは、労働災害が発生した際はグループ統一の災害調査方法によって原因調査および分析を実施しているほか、統一の災害報告様式を使い、災害発生から遅延なくグループ内展開を行っています。
また、集約した災害情報の分析および評価に基づき、グループ全体としての再発防止対策・類似災害撲滅対策につなげています。
2024年度は、国内で66件の不休災害以上の災害が発生しました。災害をもたらした危険源を踏まえ、直接原因や間接原因などへの対策に加え、背景要因を含めた根本的な原因分析に注力し、対策の強化を図っています。
労働災害の内訳
(単位:件、対象:IHIおよび国内連結子会社)
健康管理
IHIグループは、「グループ人財戦略2023」に掲げる「良い+強い」会社と個人の「成長+幸せ」の実現に向けて、従業員一人一人のWell-Beingを高めることが、個人の生産性向上や職場活性化につながると考え、心とからだの両面から健康管理に取り組んでいます。
メンタルヘルス教育では、ディフェンス施策として不調者へのきめ細かい個別フォロー、復職支援特別勤務制度や再適応支援プログラムを活用した対応を、オフェンス施策としてレジリエンスプログラム(ピークパフォーマンスやレジリエンス、インテグレーションを高めるプログラム)などを実施し、経営層から新規入社者まで、生き生きと働く人づくりと職場づくりに取り組んでいます。
2025年度IHIグループ健康管理重点方針
「心身の健康」 の観点から、「一人ひとりの活力向上」 と「働く喜びを感じられる職場づくり」 に 攻守両面 から取り組む。
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オフェンス(攻め)の施策:
- 一人ひとりの活力向上
- 働く喜びを感じられる職場づくり
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ディフェンス(守り)の施策:環境変化に伴う心身の不調に速やかに対応できる体制の整備
【KPI】
- 社員エンゲージメント 1P向上
- Performanceを発揮する準備が整っている状態にある従業員割合の増加(睡眠・運動・栄養)1%UP
職場改善活動の推進
IHIグループは、グループ従業員ならびに組織のWell -Beingを高めるために職場改善活動に取り組んでいます。
2025年度は、これまでの取り組みに加えて、ストレスチェックによって複数年高ストレス判定となる職場については、組織トップとコーポレート部門の関与を強化して対策を進めていきます。
安全と健康について従業員代表と経営層との主な協議内容
IHIグループは、毎年中央安全衛生委員会を開催し、従業員の安全と健康について従業員代表と経営層の協議を行っています。
長時間労働削減に関する取り組み
IHIグループは、労働時間管理に関する指針を定め、従業員の長時間労働の削減に取り組んでいます。特に、毎月の労働時間管理において、(1)月間所定外労働時間60時間の超過者ゼロを目指す(2)月間所定外労働時間80時間の超過者ゼロの2つの目標を掲げ、毎月の状況をモニタリングし、適宜経営会議で報告しています。
原子力事業に携わる従業員の健康管理
IHIグループでは、従業員の放射線障害を防止することを目的として「放射線管理基準」を定めています。この規定に基づき、原子力サイトで放射線業務に従事するIHIグループの従業員および協力会社の従業員について被ばく管理の対象とし、放射線障害評価(線量管理)を実施しています。
ICRP(国際放射線防護委員会)勧告に基づき、日本の厚生労働省が定める放射線業務従事者の被ばく限度(50mSv/年)よりもさらに厳格な社内基準値(20mSv/年)を定めています。
2024年度、社内基準値に到達した従業員は0名でした。
さらに、IHIの産業医による健康診断や健康へのアドバイスを行っています。