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マテリアリティの見直し(2026年度)

IHIグループは、2026年度にマテリアリティを見直しました。これは、同年5月に公表した「中長期の方向性」の中で掲げている2040年のありたい姿「世界中の人々の安心・安全、豊かな暮らしを根幹から支える」を実現するにあたっての経営上の重要課題を特定したものです。

見直しにあたっては、ダブルマテリアリティの考え方に基づき、IHIグループの事業活動が環境・社会に与える影響と、環境・社会がIHIグループの事業活動に及ぼす影響の2つの観点からサステナビリティに関する重要課題を特定しました。これらの課題を踏まえ、「2040年のありたい姿」の実現に向けて向き合うべき重要課題として決定したのがIHIグループのマテリアリティです。

IHIグループのマテリアリティ

マテリアリティ 選定背景
安心・安全な社会の実現 地球環境の急激な変化や地政学リスクの複雑化が続く中、レジリエントな社会インフラへの需要は世界的に高まっています。IHIグループは、2040年に向けて、創業以来培ってきた高い技術力を活用し、エアロスペース、エネルギー、インフラといった様々な側面から世界各国の経済・国家・エネルギーの安全保障に貢献することで、世界中の人々の安心・安全、豊かな暮らしを根幹から支え、「ありたい姿」を実現します。
気候変動への対策 IHIグループは、気候変動が環境・社会・経済に大きな影響を及ぼし、企業の持続可能性を左右する重要課題であるという認識のもと、継続的に取り組みを進めてきました。気候変動の緩和や適応に資する社会インフラ・産業インフラの提供は、グループの持続的成長を牽引するものと位置付けています。
IHIグループは、カーボンニュートラル社会の実現および気候変動による社会変化への適応に貢献することで、世界中の人々の安心・安全で豊かな暮らしを根幹から支え、「ありたい姿」を実現します。
持続可能なバリューチェーンの構築 IHIグループが「ありたい姿」を実現するためには、幅広いステークホルダーとの連携が不可欠です。複数のステークホルダーとの協働による社会・環境価値と企業成長の両立を支える持続可能なバリューチェーンの構築は、新たな市場の創出を通じた競争力の強化に加え、「安心・安全な社会の実現」や「気候変動への対策」による社会への貢献にもつながります。IHIグループは、持続可能なバリューチェーンの構築を通じて、社会に価値を提供していきます。
イノベーションの創出 IHIグループの経営理念の中核にある技術と人財は、「ありたい姿」の実現に向けた価値創造の原動力です。IHIグループの持続的成長には継続的なイノベーションの創出が不可欠であり、技術マネジメントを通じて競争優位性の源泉となる技術へリソースを集中し、圧倒的に強い技術を生み出すことが重要となります。IHIグループは、イノベーションを通じて新たな価値を作り出す力を向上することで、持続可能な成長を実現します。
多様な人財との協働 IHIグループの経営理念の中核にある技術と人財は、「ありたい姿」の実現に向けた価値創造の原動力です。持続可能な成長は、多様な人財が協働することで初めて成立するものであり、その実現に向けては、必要な人財の確保に加え、挑戦と応援が連鎖する組織文化の醸成が重要となります。IHIグループは、社内外の多様な人財が個々の力を最大限に発揮しながら協働できる環境を整備することで、持続可能な成長を実現します。
ステークホルダーからの信頼の獲得 IHIグループが「ありたい姿」を実現するためには、コンプライアンスの徹底を中核とし、ステークホルダーからの信頼に応え続けることが不可欠です。コンプライアンスはあらゆる事業活動の前提であり、利益や効率に優先されるべきものです。社会・事業環境が複雑化する中においても、企業として誠実な行動をとり続けることの重要性は変わるものではありません。
IHIグループは、コンプライアンスの徹底と不断のリスクマネジメント、ガバナンスの強化に加え、一人一人が正しい行動を選択できる組織文化を醸成することで、ステークホルダーからの信頼獲得に取り組んでいきます。

マテリアリティの特定プロセス

STEP.1 課題の特定

はじめに、SASB基準等のサステナビリティに関する国際的な基準やガイドライン等を参照し、IHIグループと関連性のあるサステナビリティ課題を特定しました。

STEP.2 課題の評価

STEP.1で特定したサステナビリティ課題に関連するインパクトおよびリスク・機会項目を全社的観点で抽出し、各項目の影響度を社内関係部門がスコアリングする形で評価しました。評価は、IHIグループの事業活動が環境・社会に与える影響(インパクト評価)、環境・社会がIHIグループの事業活動に及ぼす影響(財務影響評価)の2軸で行っています。また、評価の時間軸は、短期:1年間、中期:3年間、長期:15年間で設定しています。
評価の結果、IHIグループの事業活動が環境・社会に与える影響と、IHIグループの事業活動に及ぼす影響の2つの観点で一定の閾値を超えるサステナビリティ課題を「サステナビリティに関する重要課題」として特定しました。この「サステナビリティに関する重要課題」を踏まえ、IHIグループの「中長期の方向性」における「2040年のありたい姿」の実現に向けて向き合うべき重要課題としてマテリアリティを決定しました。

STEP.3 評価結果の検証

マテリアリティの妥当性を客観的に確認するために、2026年2月12日に外部有識者とのダイアログを実施しました。ダイアログの詳細は以下の通りです。

ダイアログのテーマ

  • 特定したサステナビリティ課題の網羅性
  • 社会・業界の動向を踏まえたサステナビリティ課題の評価結果の合理性
  • 特定したマテリアリティの妥当性

外部有識者コメント①

三瓶 裕喜様
アストナリング・アドバイザー合同会社 代表

IHIグループとして目指す方向性に関する課題をマテリアリティとして整理したことは意義深いものです。一方で、外部への発信の際には、「何を行うのか」を説明したうえで、「なぜ行うのか」を伝えることにより、説得力のあるコミュニケーションができるものと考えます。
例えば、選定されたマテリアリティの説明については、「IHIグループにとってなぜ重要であるか」という観点を経営理念やマテリアリティ相互のつながりに言及しながら伝えることで、各マテリアリティの定義や位置づけが一層理解しやすくなるのではないでしょうか。
また、ナショナルセキュリティを積極的に打ち出していくビジョンは素晴らしいと考えますが、その実現に関連する「分断のリスク(地政学的分断や社会的分断など)」等についての認識や対応方針を説明することで、IHIグループの「2040年のありたい姿」の実現可能性に対する情報利用者の確信度を高めることができるでしょう。

三瓶 裕喜様 アストナリング・アドバイザー合同会社 代表

外部有識者コメント②

後藤 敏彦様
NPO法人サステナビリティ日本フォーラム理事特別顧問・2003-2025代表理事
一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン業務執行理事

今回のマテリアリティの整理自体は妥当であると考えます。一方で、これらを実際に戦略として実行していく際には社内外とのコミュニケーションが重要であり、開示上の用語は可能な限りグローバルスタンダードに沿って使用することが望ましいと考えます。例えば、「持続可能なバリューチェーンの構築」における「バリューチェーン」は国際的には、「報告企業のビジネス・モデル及び当該企業が事業を営む外部環境に関連する、相互作用、資源及び関係の全範囲」であり、その一環であるとの丁寧な説明が求められます。
さらに、サーキュラーエコノミー、Alの利活用、人権といった、複数の重要課題に横断的に影響を及ぼしうるサステナビリティ課題の重要性が、相対的に低く評価されているように見えます。これらの課題の位置づけについてもIHIグループとしての意図を説明することが望ましいでしょう。

後藤 敏彦様 NPO法人サステナビリティ日本フォーラム理事特別顧問・2003-2025代表理事 一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン業務執行理事

有識者コメントを受けて

瀬尾 明洋
常務執行役員(グループESG担当)

今回、外部有識者のお二人にいただいたご指摘はいずれも重要な論点であり、これまで社内で議論してきたものではございますが、今後さらに検討を深めていく必要があると考えております。
例えば、「分断のリスクのマネジメント」については、IHIグループにとって重要性の高いテーマであるという認識とその対応策を、今後の情報開示においてより明確に示してまいります。また、マテリアリティのひとつである「持続可能なバリューチェーンの構築」は、IHIグループのバリューチェーン上のリスクや社会・環境への影響を適切に管理することに加え、新しい市場・ニーズを生み出し、製品の製造から利用にまで幅広く事業展開を行うことで、社会・環境価値の提供と企業成長の両立を目指すことを意図したものです。今後の開示においても、この考え方を丁寧にご説明してまいります。
なお、サーキュラーエコノミー、AIの利活用、人権といった複数のマテリアリティに横断的に影響を及ぼしうるサステナビリティ課題は、6つのマテリアリティに含まれる要素です。したがって、IHIグループとして6つのマテリアリティに関する取り組みを進める中で、これらの課題への対応も進んでいくこととなります。こうした点も含め、各マテリアリティについては、IHIグループにとってなぜそのマテリアリティが重要なのか、マテリアリティ同士がどういった関係性にあるかといった点を、今後の開示の中でより分かりやすくお伝えするように努めてまいります。

瀬尾 明洋 常務執行役員(グループESG担当)

STEP.4 マテリアリティの確定

外部有識者とのダイアログの結果を踏まえて更新されたマテリアリティは、取締役による審議・承認を経て最終化されました。

マテリアリティに関する目標と実績

IHIグループでは、現在、特定したマテリアリティに紐づくKPIの設定を進めています。各マテリアリティの所管部門は定期的に取り組みの進捗状況を確認・評価し、その結果に応じて取り組み内容の見直しを行うことで、適切にPDCA管理を行っていきます。

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