DE&Iを推進する組織風土の醸成
IHIグループは、2023年度、IHIおよび国内関係会社の経営層・基幹職を対象としたDE&I教育プログラム「ダイバーシティインデックス」の展開や、マネジメントスキルトレーニングを実施しました。
従業員一人一人のDE&Iの理解促進と意識啓発を促すことをねらい、DE&Iやアンコンシャス・バイアスについて理解を深めるe-ラーニングの展開を行いました。また、毎年12月をDE&I推進月間とすることを定め、DE&Iに関する社長メッセージの発信や役員向け研修、講演会・セミナーなどを実施しました。
多様な人財の活躍支援
キャリア採用
IHIグループは、「グループ人財戦略2023」に掲げる事業・企業体質の変革を成し遂げるため、IHIグループの知見が不足している事業・技術分野に、散発的ではなく組織的に外部から人財を獲得し、活躍を推進するとともにその知識の内部化を進めています。
特に「成長事業」と位置付けた「航空・宇宙・防衛事業領域」においては、すでに100名を超える方々を迎えており、各々がこれまでの経験、高い技術力や専門性、IHIとは異なる視点・価値観を生かし活躍しています。
女性従業員の活躍推進
IHIグループは、中核人財として、女性従業員一人一人がより一層活躍できるよう、積極的な採用と育成、管理職・経営層への登用、活躍推進のための環境整備にそれぞれ目標を定め、取り組んでいます。
育成の一環として、社外研修への派遣などを通じた女性管理職のキャリア開発やネットワーク形成支援、上司による育成・コーチングを実施しています。
また、男女の賃金について、現状では男女間の人員構成の違いにより差異が生じています。特に正規従業員においては、女性管理職比率が男性に比べて低く、管理職の人員構成における上位の職位に女性が少ないこと、加えて時間外労働を含めた労働時間が男性の方が長いことが賃金差異の主な要因となっています。これらの要因も踏まえ、今後とも、女性が活躍できる環境整備を推進していきます。
外国籍従業員の活躍推進
IHIグループは、国籍を問わず優秀な従業員が働きやすく、持てる能力を最大限に発揮できる環境づくりを推進しています。
その一環として、国内では、外国籍従業員を対象とした入社前の日本語研修や、入社後の受け入れ先上司を含めた異文化研修、ネットワークづくりを目的とした交流会などを実施しています。また、外国籍従業員固有の問題に対応するため、外国籍従業員相談窓口を設置しています。
海外現地採用従業員の活躍推進
IHIグループは、グローバル展開を加速していく目的で、その国の労働市場・慣行を考慮しながら、地域に根付いた人財の採用・登用を進めています。
また、人財育成では、現状・ニーズに合わせて各拠点が立案した施策の実行を本社が一体となって支援しています。今後もグループ・グローバル全体で人財を育成し、活躍推進に取り組みます。
障がいのある従業員の活躍推進
IHIグループは、障がいのある従業員の活躍を推進しています。採用活動では地域の障がい者就労支援団体、ろう学校などとの関係を構築し、実際の採用活動に結び付けています。
IHIは、1992年に本社に障がいのある従業員の活躍推進に特化した組織を設置しました。2018年から専門のサポートスタッフによる個々の特性に応じた支援を行い、仕事や会社生活全般に対する支援体制を整備しています。一人一人のキャリア開発を支援し、さらなる成長と活躍を促すための環境を提供しています。現在では、横浜・昭島・相馬の各拠点にも同組織を設置しています。
障がい者雇用の課題解決と、より良い人事施策の実行、関係会社への支援などに生かすため、IHIは2013年度よりACE(Accessibility Consortium of Enterprises)に加盟しており、ACE会員企業各社と採用ガイドラインや雇用事例などの共有を行っています。
性的指向や性自認にとらわれない職場づくり
IHIグループでは、性的少数者(LGBTQ+)の従業員が性的指向や性自認にとらわれず、持てる能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を進めています。
IHIグループでは、LGBTQ+アライ※1活動を展開しています。否定しない、決めつけない、広めない、というアライの考え方を普及することで、全ての人が働きやすい職場になると考えています。国内グループ全従業員を対象としたe-ラーニングの実施、社内イントラネットによる情報発信などにより理解促進を図り、アライ表明者は現在3,000名を超えています。
2023年度は、「東京レインボープライド2023」への協賛、LGBTQ+当事者および有識者を招いたアライカンファレンスの開催などを実施しました。
また、IHIでは各種人事制度も整備しています。慶弔見舞金や特別休暇などの福利厚生・勤務制度は、法的要件などで対象外となるものを除いて、同性パートナーにも配偶者に準じた扱いを適用しています。人事システムも整備し、ビジネスネームや自認する性別を原則とした労務管理をしています。また、ハラスメント相談窓口においてSOGIハラ※2に対する相談を受け付ける体制を整えるとともに、匿名でLGBTQ+支援の相談ができる窓口も設置しています。
- アライ(ALLY):「同盟」「支持者」の意味で、LGBTQ+を理解し支援する人。LGBTQ+当事者であるかは問わず、誰でもアライになれます。
- SOGIハラ:性的指向や性自認に関するハラスメント。
両立支援制度・相談窓口
IHIグループは、仕事と育児・介護・病気治療などを両立するためのさまざまな支援体制を整えています。両立支援制度の周知と活用を呼びかけるハンドブックやリーフレットの作成・配布、外部講師によるセミナーの実施、一人一人の事情やニーズに応じた支援を行うための外部専門機関を含む相談窓口の設置などを行っています。
また、IHIグループでは、男性の育児のための休業の取得を推進しており、「仕事と育児の両立支援 男性従業員向けHandbook」を作成しています。さらに不妊治療のために利用できる制度を周知するためのリーフレットを配布し、子どもを望む従業員を支援しています。
IHIは年次休暇とは別に、子どもの育児・看護をするために利用できるチャイルドケア休暇、介護を必要とする家族一人につき年15日の介護休暇を付与するなど、法定よりも充実した制度を制定しています。
60歳以上の従業員の活躍推進
IHIグループは、シニア従業員のさまざまな場面での活躍を推進しています。従業員一人一人が満60歳から満65歳の間で自ら定年年齢を選択できる選択定年制度に加え、年齢にかかわらず挑戦を奨励し60歳以降においても昇進を可能とする制度を導入し、多くのシニア従業員が活躍しています。また、高度専門家・高度技能者認定制度を設け、シニア人財のさらなる活躍を促す仕組みを整備しています。
多様な経験の機会提供
異動・配置
IHIグループは、異部門間ローテーションや社外研修派遣、パートナー企業・官公庁・スタートアップ企業への派遣、大学・研究機関や他社との共同開発への参加など、多様な経験・異なる視点を身に付けられる越境・挑戦・実践の機会を増やしています。
また、従業員一人一人の自律的なキャリア形成に対応するため、キャリアチャレンジ制度(グループ内公募)にも継続的に取り組んでいます。
社外研修
IHIグループは、社外研修派遣や社外活動・学会への派遣など、社外の人財との積極的な交流を通じて、多様な経験・異なる視点を身に付ける機会を提供しています。社外研修では、専門的なスキルを深化するだけでなく、業界の最新動向や他の企業のベストプラクティスを学んでいます。
社外活動では、従業員は多様なバックグラウンドを持つ人びとと交流し、異なる視点やアイデアを自社に取り入れる可能性を広げています。
学会への参加は、最先端の研究や技術の理解を深めるだけでなく、他の専門家とのネットワークを広げる機会となっています。
社外での兼業、社内での副業
IHIグループでは、従業員が個人の自己実現や成長に向けて、自律的・主体的に考え、新たなことに挑戦する場を提供しています。社内外での多様な経験を促し、多様な視点・発想を経営に生かしていく目的で、社外での兼業(セカンドジョブ)や社内での副業に取り組んでいます。
一例では、社外兼業での大学・研究機関、行政機関・スタートアップへの参画や、社内副業での社内外の問題解決に挑むアプリケーション開発・データ分析、豊洲ブルワリーのコンセプト設計などの活動テーマがあります。
2023年度時点で社外での兼業約110件、社内での副業約50件、延べ約140名の活動が登録されています。
⼀般事業主⾏動計画の策定
IHIは、⼥性活躍推進法および次世代育成⽀援対策推進法に基づき、社員の仕事と⼦育てに関する「⼀般事業主⾏動計画」を策定しています。⼥性⼈財の活⽤や、社員の仕事と⼦育ての両⽴を図るための雇⽤環境の整備について、⽬標とそれを達成するための対策を具体的に盛り込んでいます。
⼥性活躍推進法に基づく⼀般事業主⾏動計画(2023年4⽉1⽇〜2027年3⽉31⽇)
次世代育成⽀援対策推進法に基づく⼀般事業主⾏動計画(2023年4⽉1⽇〜2026年3⽉31⽇)