ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)
考え方・方針
IHIグループは、2021年11月に公表した「IHIグループのESG経営」において、社会課題の解決に事業機会を見いだすことを表明しました。破壊的な環境変化の中で社会課題はより一層複雑化しており、その解決にはこれまでの固定観念や自分たちの枠を超えて、多様なステークホルダーと連携・協働することが必要不可欠です。そのための土壌づくりとして、IHIグループは「グループ経営方針2023」および「グループ人財戦略2023」でダイバーシティを重視する企業文化を醸成することを表明し、トップのコミットメントのもと、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)」を推進しています。
事業活動を通じて社会課題の解決を図り、人びとが安心・安全で豊かに暮らせる社会を実現するためには、社会を構成する生活者の困りごとやニーズを捉えられるように、多様な人財の視点を事業に取り入れる必要があります。また、多様な人財のバックグラウンドや経験と個性が、組織に新しい視点をもたらし、変革を進める原動力になると考えています。
多様な人財の活躍のためには、一人一人の立場や生活環境・性別などの違いを考慮した上で公平に機会が開かれ、それぞれの強みが生かされている環境づくりが必要です。IHIグループは、これまでのダイバーシティ推進の取り組みに、エクイティ(Equity)を組み込んで、DE&I推進へと進化させることで、多様な人財が活躍でき、そこから生まれる多様性の力を価値創造につなげていきます。
教育・浸透
ダイバーシティ教育・研修の受講者数
(単位:名、対象:IHIおよび国内関係会社)
研修テーマ | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
⼥性活躍/障がいのある⽅の活躍等 | 276 | 140 | 139 | 125 |
育児と仕事の両立 | 134 | 53 | 125 | 112 |
介護と仕事の両立 | 400 | 290 | 263 | 169 |
海外拠点の現地マネージャー育成を目的とした研修の受講者数
(単位:名、対象:海外統括会社域内)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
受講者数 | 42 | ー※ | 21 | 19 |
- 2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により未実施
目標・実績
ダイバーシティの目標・実績
KPI | 目標 | 目標年度 | 2022年度の実績 |
---|---|---|---|
⼥性採⽤⽐率 | 大卒 20%程度 | 2026 | 14.3% |
女性管理職の比率 | 7% | 2026 | 4.7% |
女性役員の比率 | 2030年までに役員に占める女性比率を30%以上(経団連の「2030年30%へのチャレンジ」に賛同) | 2030 | 18% |
障がい者雇用率 | 2.6% | 2023 | 2.55% |
男性の「育児休業等および育児を目的とした休暇」取得の促進 | 対象者全員が1週間以上の育休を取得、2週間以上の取得を促進 | 2025 | 90.1% |
採用実績
新卒採用実績
(対象:IHI、大卒)
新卒およびキャリア採用実績
(対象:IHI)
役員における多様性
役員数※
(単位:名、対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
総数 | 16 | 17 | 17 | 17 |
男性役員数 |
13 | 14 | 14 | 14 |
⼥性役員数 |
3(2) | 3(3) | 3(3) | 3(3) |
各年7⽉1⽇時点の取締役および監査役数
⼥性役員⽐率※
(対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
⼥性役員⽐率 | 19% | 18% | 18% | 18% |
各年7⽉1⽇時点の取締役および監査役数
管理職における多様性
管理職数※
(単位:名、対象:IHI)
各年4月1日時点
⼥性管理職⽐率※
(対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
⼥性管理職⽐率 | 3.0% | 3.4% | 3.9% | 4.7% |
部⻑級の⽐率 |
0.8% | 0.8% | 1.1% | 1.4% |
課⻑級の⽐率 |
2.2% | 2.5% | 2.7% | 3.3% |
各年4月1日時点
キャリア採用入社者の管理職数※
(単位:名、対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
管理職数 | 220 | 234 | 230 | 253 |
各年4月1日時点
外国人の管理職数(うち部長職以上)
(単位:名、対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
管理職数 | 10 | 13 | 14 | 16 |
うち部長級 |
2 | 3 | 3 | 3 |
海外現地採用管理職数※
(単位:名、対象:中国、シンガポール、アメリカ)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
総数 | 23 | 22 | 25 | 26 |
中国 |
4 | 5 | 6 | 6 |
シンガポール |
7 | 6 | 5 | 11 |
アメリカ |
12 | 11 | 14 | 9 |
各年4月1日時点
雇用率
障がい者雇⽤率※
(対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
雇⽤率 | 2.39% | 2.35% | 2.39% | 2.55% |
目標 |
ー | 2.3% | 2.3% | 2.4% |
各年6⽉1⽇時点
定年後再雇⽤率
(対象:IHI)
項目 | 2019度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
定年後再雇⽤率 | 81% | 81% | 78% | 100% |
ワークライフバランス
労働時間
(単位:時間、対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
⽉平均時間外労働時間 | 21.10 | 13.00 | 18.90 | 21.60 |
年間総労働時間 | 1,967.8 | 1,797.9 | 1,948.3 | 1,984.5 |
年次休暇平均取得日数
(単位:⽇、対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
年次休暇平均取得⽇数 | 19.40 | 18.73 | 17.37 | 18.65 |
制度の利用状況
(単位:名、対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
短時間勤務制度の適⽤者 | 161 | 139 | 158 | 140 |
チャイルドケア休暇の取得者 | 779 | 768 | 935 | 1,010 |
育児休業の取得者 | 131 | 137 | 128 | 198 |
男性 |
21 | 31 | 60 | 78 |
女性 |
110 | 106 | 68 | 120 |
育児休業取得後の復職率 | 99.2% | 100% | 100% | 99.6% |
介護休業の取得者 | 7 | 2 | 6 | 3 |
男性の「育児休業等および育児を目的とした休暇」の取得率(1週間以上)
(対象:IHI)
項目 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|---|---|
取得率 | 28.6% | 26.5% | 70.8% | 90.1% |
取り組み
多様な人財の活躍支援
キャリア採用
IHIグループは、グループ経営方針の達成に向けて、社内では獲得困難な専門性や、新たなビジネスモデル構築に必要な専門性を有した多様な人財のキャリア採用に積極的に取り組んでいます。事業環境の変化が激しい時代にあって、企業は事業戦略・技術戦略に基づき求められる資質を持った人財を、柔軟かつタイムリーに確保することを求められています。IHIグループは、さまざまなチャネルを活用して多様な人財を採用しています。
女性従業員の活躍推進
IHIグループは、女性従業員一人一人がより一層活躍できるよう、さまざまな取り組みを行っています。中核人財の採用と育成、管理職・経営層への登用、活躍推進のための環境整備にそれぞれ目標を定め、取り組んでいます。育成の一環として、社外セミナーへの派遣などを通じた女性管理職のキャリア開発や上司による育成・コーチングを実施しています。
また、内閣府「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言にも賛同しています。
外国籍従業員の活躍推進
IHIグループは、国籍を問わず優秀な従業員が生き生きと活躍できる環境づくりに取り組んでいます。その一環として、外国籍従業員を対象としたさまざまな支援を行っています。日本語によるコミュニケーション能力向上のための各種研修や、異文化交流会などによるネットワークづくりなど、外国籍従業員が働きやすく、持てる能力を最大限に発揮できる環境づくりを推進しています。また、外国籍従業員固有の問題に対応するため、外国籍従業員相談窓口を設置しています。
海外現地採用従業員の活躍推進
IHIグループは、グローバル展開を加速していく目的で、海外においても「グループ人財マネジメント方針」のもと、その国の労働市場・慣行を考慮しながら、地域に根付いた人財の採用・登用を進めています。
人財育成では、マネジメント力強化のため、現地マネージャー育成の研修を実施しています。また、グローバル調達人財の育成にも注力し、ナショナルスタッフへの教育も進めています。2022年度は、アジア太平洋地域内でマネジメント人財育成プログラムを、中国で営業力強化研修等を実施しました。今後もグループ・グローバル全体で人財を育成し、活躍推進に取り組みます。
障がいのある従業員の活躍推進
IHIグループは、「適切なサポートと職場の理解があれば、障がいがあっても、持てる力を最大限発揮できる」との認識のもと、障がいのある従業員の活躍を推進しています。特に支援が必要な障がいのある従業員を対象に、専門のサポートスタッフを配置するなど、仕事や会社生活全般にわたる支援体制を整備しています。また、一人一人のキャリア開発を支援し、成長と活躍に資する環境を提供しています。
IHIは2013年度よりACE(Accessibility Consortium of Enterprises)に加盟しており、ACE会員企業各社と採用ガイドラインや雇用事例等の共有を行うとともに、これを障がい者雇用の課題解決と、より良い人事施策の実行、関係会社への支援等に生かしています。
性的指向や性自認にとらわれない職場づくり
IHIグループは、性的少数者(LGBTQ+)の従業員が、持てる能力を最大限に発揮できる職場環境の整備を進めています。支援の一環として、勤務や社宅などに関する制度を整備するとともに、アライ※活動などのネットワーク活動や研修会を通じて、性的少数者(LGBTQ+)への理解促進を図る活動を実施しています。
2022年度は、e-ラーニング『LGBTQ〜「全員がアライ」を目指して〜』を行い、IHIグループのアライは3,500名を超えました。
またIHIは、性的少数者の存在を社会に広め、「“性”と“生”の多様性」を祝福するイベントである「東京レインボープライド2023」に協賛しました。
アライ(ALLY):「同盟」「支援者」の意味で、LGBTQ+を理解し支援する人を指します。LGBTQ+当事者であるかは問わず、誰でもアライになれます。
60歳以上の従業員の活躍推進
IHIグループは、シニア従業員のさまざまな場面での活躍を推進しています。従業員一人一人が満60歳から65歳の間で自ら定年年齢を選択できる選択定年制度に加え、年齢にかかわらず挑戦を奨励し60歳以降においても昇進を可能とする制度を導入し、多くのシニア従業員が活躍しています。また、高度専門家・高度技能者任命制度を設け、シニア人財のさらなる活躍を促す仕組みを整備しています。
期間従業員の正規従業員への登用
IHIは、期間従業員の中から正規従業員を登用する仕組みを導入しています。これは期間従業員の中から、本人の希望のもと、一定の基準を満たした従業員を正規従業員に登用する制度です。
多様な経験の機会提供
IHIグループは、多様なバックグラウンド・多様な経験・異なる視点を持った多様な人財が活躍できる環境を整備しています。また、従業員一人一人がより幅広い視野・経験を身に付けるための制度の拡充や、さまざまな機会提供を行っています。
採用
IHIグループは、長期の事業の姿とそれに向けた事業戦略・技術戦略上、必要とされる業務・人財を明確にし、キャリア採用と新卒採用とを戦略的に組み合わせています。通年採用・グローバル採用を進めるとともに、採用ルートの多角化を図っています。
異動・配置
IHIグループは、異部門間ローテーションや社外研修派遣、パートナー企業・官公庁・スタートアップ企業への派遣、大学・研究機関や他社との共同開発への参加など、多様な経験・異なる視点を身に付ける機会を増やしています。また、従業員一人一人の自律的なキャリア形成に対応するため、グループ内公募(キャリアチャレンジ)にも継続的に取り組んでいます。
研修
IHIグループは、社外研修派遣や社外活動・学会への派遣など、社外の人財との積極的な交流を通じて、多様な経験・異なる視点を身に付ける機会を提供しています。
社外での兼業、社内での副業
IHIグループは、社内外での多様な経験を促し、多様な視点・発想を経営に生かしていく目的で、社外での兼業(セカンドジョブ)や社内での副業に取り組んでいます。
一例では、社外兼業での大学・研究機関、行政機関・スタートアップへの参画や、社内副業での社内外の問題解決に挑むアプリケーション開発・共有、データ収集・分析に関する活動があります。2022年度時点で社外での兼業約110件、社内での副業約55件、延べ130名の活動が登録されています。
両立支援制度・相談窓口
IHIグループは、育児・介護・病気治療等との両立による従業員の活躍を支援するため、特にキャリアとの両立という側面からさまざまな支援体制を整えています。例として、支援制度の周知と活用を呼びかけるハンドブックやリーフレットの作成、外部講師によるセミナーの実施、一人一人の事情やニーズに応じた支援を行うための外部専門機関を含む相談窓口の設置などを行っています。
また、男性育休の取り組み強化として、特に男性従業員向けの育児との両立ハンドブックを作成しています。さらに不妊治療のために利用できる制度を周知するためのリーフレットを配布し、子どもを望む従業員を支援しています。
⼀般事業主⾏動計画の策定
IHIは、⼥性活躍推進法および次世代育成⽀援対策推進法に基づき、社員の仕事と⼦育てに関する「⼀般事業主⾏動計画」を策定しています。⼥性⼈財の活⽤や、社員の仕事と⼦育ての両⽴を図るための雇⽤環境の整備について、⽬標とそれを達成するための対策を具体的に盛り込んでいます。
⼥性活躍推進法に基づく⼀般事業主⾏動計画(2023年4⽉1⽇〜2027年3⽉31⽇)
次世代育成⽀援対策推進法に基づく⼀般事業主⾏動計画(2023年4⽉1⽇〜2026年3⽉31⽇)