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第66巻 第1号
特集 エンジニアリングの新展開

 
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表紙デザイン

東北芸術工科大学デザイン工学部 教授 デザイン工学部長・大学院デザイン工学専攻長/博士 (芸術工学)
酒井 聡

株式会社IHIと本学・東北芸術工科大学がビジネスパートナー協定を締結したのは2018年です.この協定のもと,学生と関連部署によるデザイン思考ワークショップ,製品デザインの提案,技術開発のロードマップ策定など,さまざまな活動が行われてきました.IHI技報の表紙デザインもその一環で,2020年のVol.60 No.1から本学学生が担当し,前号Vol.65 No.2まで13点を手掛けてまいりました.
IHI技報の表紙デザインにおける東北芸術工科大学との取り組みは,本号をひとつの節目としております.そのため,これまで学生が主に担当してきた表紙デザインを,本号は教員である私が担当いたしました.コンセプトは「これまで東北芸術工科大学が関わった表紙デザインの集合知」です.時代を反映するため,制作には生成AIをメインに使用し,学生がデザインした表紙の要素を学習させ*,あえて生成AIらしい作画としています.
生成AIの進化は日進月歩であり,生成AI製とすぐにわかる画像も,いずれ見分けがつかなくなると予想されます.本技報が発行される2026年6月現在の技術と芸術の融合を,私なりに表現してみました.
今後も,株式会社IHIと東北芸術工科大学の連携が社会にインパクトのある提案を生み出せるよう尽力してまいります.

* 生成AIの使用にあたっては,技報の内容や企業情報,学生のデザインの著作権に抵触しないよう配慮しております.

巻頭言

特集「エンジニアリングの新展開」発刊によせて

  • 株式会社IHI 技術開発本部副本部長 弥富政享

特集 エンジニアリングの新展開

特集記事

太陽光発電を活用した農業用水供給の脱炭素化技術
太陽光発電の発電電力を最大限活用可能なエネルギーマネジメント技術を統合した水管理システム

  • 株式会社IHIインフラスクエア

株式会社IHIインフラスクエアでは,農業用水の需要と太陽光発電の発電電力を予測し,発電電力を最大限利用する水・エネルギー管理システムを開発した.これにより,農山村地域での再生可能エネルギーの地域内消費を増やし,カーボンニュートラルの実現に貢献する.

AUV開発を支える統合シミュレーション技術
設計検討から試験前検証までを一貫して支援する統合シミュレーション基盤

  • 株式会社IHI

自律型水中航走体(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)開発では,実海域試験による制御や航法を含む統合検証が重要であるが,コストおよびリスクの低減が課題である.運動・環境モデリングを基盤に,センサー,制御および通信を統合したシミュレーションの活用は,設計検討から実機試験前検証までを可能とし,実海域試験のコストおよびリスクの低減につながる.

CO₂分離回収技術の社会実装を後押し
運びやすく据え付けやすい小型CO2回収装置を開発

  • 株式会社IHIプラント

工場や事業所などでカーボンニュートラルを目指し,CO2回収装置の導入を検討しているお客さまの本格導入前の試験実施ニーズを満たすために,設置場所の制約が少ない小型のCO2回収装置を開発し,販売を開始した.

箸休め

オセロに学ぶ,考え続けるということ

  • 株式会社IHI 技術開発本部 渡邊修

特集論文および解説

アンモニアガスタービン燃焼器開発向け高温・高圧・大流量燃焼試験設備

  • 黒滝勇貴,小倉孝浩,谷田真裕,佐藤公美,藤田穣

カーボンニュートラル実現に向けたアンモニア利活用のための重要開発拠点として,アンモニアガスタービン開発用大型燃焼試験設備が2025年6月に完工した(1).アンモニアガスタービン燃焼器の開発に向けて高温・高圧・大流量の燃焼試験設備の仕様,機能および実際の試験結果の一部を紹介する.

航空機エンジンのインテーク空力技術

  • 大庭芳則,小久保諒一,楠田真也

航空輸送における比燃費の低減と環境負荷低減への要求を受け,ターボファンエンジンの開発は,より高いバイパス比を持つエンジンへと進み続けている.高バイパス比エンジンを設計する際には,ファン径およびナセル(エンジンを囲う流線形カバー)径の大型化により,ナセル抗力と重量の増加を招く.将来の民間航空機において,より大きなファン径がナセルの空力性能および重量に及ぼす影響を最小化するためには,ショートインテーク(空気取込み口の短縮化)およびスリムラインナセル(ナセルの外部形状をより薄くすること)が必要な技術となる.ショートインテークは内部の空気の拡散性能を低下させ,インテーク表面での境界層剥離の発生によりファン入口流れのインレットディストーション(吸気口に流入する空気の流れが不均一になる現象)のリスクを増大させる可能性がある.インテーク内で生じる流れ現象を調べるため,国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型回転ファン装置を用いた実験が行われ,得られた実験データを基に数値流体力学(CFD)解析を行った.その結果として,将来の低燃費航空機エンジンに貢献するための実験およびCFD解析の技術力向上を図ることができた.

制振装置のデータ駆動型制御を用いた制御調整技術の開発

  • 菅井芳朗,小池裕二,平田光男,長井悠,石本興史

高層建物や橋梁主塔などの塔状構造物は固有周期が長く,減衰が低いため,振動の低減のためにアクティブ式制振装置が広く使われている.これらの構造物では地震や架設進行に伴って振動特性が変化するため,特性変化に合わせた制御器の調整が必要である.本稿ではデータ駆動型制御を用いて,運用中に計測される応答データのみから,構造物の振動特性の再同定なしに,特性変化に応じた制御調整を簡便に行う手法を紹介する.

三次元構造を適用した低熱抵抗・低インダクタンスの片面冷却パワーモジュール

  • 久持裕史,野武幸輝,高橋芳明,山口浩二

本稿では,リードフレームを熱伝導経路として用い,両面に配置されたパワー半導体チップを冷却する片面冷却パワーモジュールの三次元構造を提案する.提案構造は,低熱抵抗と低インダクタンスを両立し,モータ駆動用インバータの高効率化を実現する.シミュレーション結果では,従来構造パワーモジュールと比較して,熱抵抗は18%低減し,転流経路の寄生インダクタンスは60%低減することを確認した.試作により提案構造パワーモジュールの製造性を検証し,ダブルパルステスト(800VDC,ターンオン電流300A,ターンオフ電流400A)により,その電気的性能を検証した.