高度自動化を実現するオペレーショナル・テクノロジー
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オペレーショナル・テクノロジー
労働力不足、ニーズの多様化・短期化、需要変動の拡大などの社会課題に対して、ロボット技術や情報技術を融合して、ロボットや装置群を安全かつ効率的に運用制御する技術であるオペレーショナルテクノロジーの開発を進めています。物流を始めとする各種分野で、システムインテグレータとしてより価値の高いロボティクスソリューションの提供を目指しています。

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複数の自律移動ロボット(AMR※1)の運用制御、人とロボットの協働
需要変動の拡大などに伴って現場に求められる機能として、ロボットの増減で処理能力を容易に増減できる「拡張縮小性」、搬送ルートや配置変更を容易に行える「柔軟性」、一部のロボットが停止しても残るロボットで稼働継続できる「可用性」を実現するための複数AMRの運行制御技術を開発中です。本システムは、集中管制側で複数AMRの運行状況を監視しつつ、AMRや受渡作業の遅延などに合わせてルートを再計算することで、AMR同士が接触せずにスムーズな運行を実現できます。また人とロボットの完全分離が難しい作業・環境向けに、複数の人・AMRが同じ空間にいても止まらずに作業継続できる、安全性と効率性を両立するための技術開発も進めています。具体的には各種センサ情報からの障害物や人の認識・識別技術、ロボットが安全状態から逸脱しないように数理的制約を課すことのできるCBF※2などの制御技術を組み合わせて実現しています。
※1: Autonomous Mobile Robot
※2: Control Barrier Function


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ロボット・自動機器群管理・群制御のためのシステム基盤
倉庫や工場内で、100台規模の異種・複数のAMRやハンドリングロボット、自動倉庫や周辺装置などが連携した運用を管理・制御するシステムの開発や開発環境の構築を進めています。他社製を含むリソースを運用可能な「相互運用性」の高いシステムを実現するため、ロボット業界でスタンダード化しつつあるロボット開発用ミドルウェア“Robot Operating System(ROS)”の産業応用を推進するARTC/A*STARが運営するROS-Industrial Consortium Asia Pacificと連携して、各種通信を共通で扱う仕組み、情報を一元管理するデータベース、ロボットオペレーションをタスクに分解してスケジューリングする機能、全体運行を可視化するシミュレータなどを開発中です。現在はニーズが高い生産・物流分野の応用から進めていますが、将来的には防衛や原子力分野の危険地域・区域での多数無人機運用やエネルギー分野の施設管理・点検・保守など、各種事業に資する基盤化を目指しています。


出典: ROS-Industrial Consortium Asia Pacific
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