世界をフィールドに技術で挑む
~高効率3段ターボコンプレッサー「TRAシリーズ」とIHI台数制御盤の組み合わせで無負荷時間を大幅に削減し、最適な省エネルギー運用を実現。IHIターボコンプレッサーの最新の導入事例をご紹介します。~
東久株式会社様は1941年(昭和16年)に家庭用ミシン、繊維機械を製造する会社として設立されました。現在では株式会社豊田自動織機の完全子会社として、カーエアコン用コンプレッサに使用されるピストンや斜板、シューなどのアルミ鍛造部品の製造をはじめとした自動車部品事業と、自社ブランドの鋳造機械や専用機の製造、鋳造プラントのプロデュースを行う産業機械事業の二つの事業を中心に、自動車から生活用品まで、様々な分野にまたがる事業を手がけられています。
カーエアコンの心臓部に位置するコンプレッサは、安心・安全・快適なカーライフには必要不可欠な部品であり、東久様はその中でも重要機能部品に分類される製品の製造に携わられています。これらの製品は世界中の自動車メーカーで採用されているデンソーカーエアコンに搭載されており、世界中を走っている自動車の40%以上に東久様の製品が搭載されております。
お客さまにご満足いただける品質の作り込みはもとより、小型化・軽量化といった将来的な市場ニーズ変化にも 東久様の塑性加工技術(アルミ鍛造・精密プレス技術)が活用されています。特にアルミ鍛造部品の生産量は1年間で約12,000トンにのぼり、国内トップシェアを誇っています。
また、技術革新が著しい産業界において、複雑な形状を求められることが多い鋳造品にも東久様の技術が生かされています。東久様の強みは、鋳造工場の作業環境や、設置スペース、生産量などの情報を総合的に分析し、最適な鋳造機械や専用機械の提案、プラントエンジニアリングを行うことができる点にあります。無枠式砂型造型機「AMFシリーズ」は高品質かつ高精度な鋳造品をつくることができ、かつ省スペース設計であることから累計生産台数500台を超えるベストセラー機となっています。
今回は、東久様にご採用をいただいた、オイルフリーターボコンプレッサー「TRAシリーズ」につきまして導入までの背景やご使用状況をインタビューしました。
詳細につきましては以下のアイコンからご覧いただけます。
どのような背景や課題のもと、コンプレッサー設備の導入を検討するに至ったのでしょうか?
犬山工場は2001年に設立された工場です。主に自動車用部品の加工機械の駆動源として200kW×1台、340kW×3台、400kW×1台の計5台のIHI製ターボコンプレッサーを長らく使用しておりましたが、近年は生産量の増加に伴い圧縮空気の使用量が増加し、すべてのコンプレッサーを稼働させないと生産が追い付かない状況になっておりました。幸い大きなトラブルはありませんでしたが、予備機がないため、たとえ1台でも故障が発生すると生産に影響を与えてしまうリスクを抱えておりました。
また、設立時に導入した340kWのコンプレッサーは製造が中止されている機種であり、将来的な保守部品の供給に不安を抱えていました。そのため、一番古い340kW×3台のコンプレッサーを更新し、かつ予備機を持つことができるようなコンプレッサー設備構築を目指して検討を始めました。
加えて、コンプレッサーは、工場の総消費電力のうち34パーセントという高い割合を占めていることも問題でした。電力費は製品コストにすぐに跳ね返るため、工場原価低減の取り組みの面で省エネルギーは大きな課題になっていました。また、豊田自動織機グループとして環境への取り組みを強化しており、Co2排出量の削減目標を掲げていることからも、コンプレッサー導入にあたっては、省エネルギー効果を重視して導入計画を決定していきました。
さまざまな課題があるなか、弊社コンプレッサーをお選び頂いた理由をお聞かせください
更新にあたっては、ターボコンプレッサーを更新前の340kWから400kWにサイズアップし、全体の供給空気量を増やすことで予備機を持つことをまず考えました。導入を検討したTRAシリーズは最新鋭の3段圧縮ターボ圧縮機であり、コンプレッサー原単位向上による省エネ効果が期待できました。
更にIHIからは運用面でも改善提案をいただきました。元々、コンプレッサー室が2つに分かれており、それぞれを個別に運転させていたため、容量調整用の340kW×1台は負荷運転と無負荷運転を繰り返していました。しかしながら、IHIから全てのコンプレッサーを制御する台数制御盤を導入し、かつ、ターボコンプレッサー複数台のインレットガイドベーン同時絞りによる一定圧力制御を行うことで、無負荷運転を削減できるという提案を受けたため、台数制御盤についても合わせて導入することに決めました。
オイルフリーターボコンプレッサー「TRAシリーズ」を導入頂いた結果、課題は解決いたしましたでしょうか?
340kWのターボコンプレッサー×3台を最新の「TRAシリーズ」400kW×3台に更新し、台数制御盤を導入したことにより、事前にIHIと試算していたコンプレッサー設備消費電力の6パーセント削減という目標をほぼ達成することができました。日中はターボコンプレッサー×4台で運転していますが、インレットガイドベーンの同時絞り効果により、無負荷運転に入ることはほとんどなく、大変満足しています。
また、予備機が生まれたことにより、故障リスクの悩みから解放されました。以前はメンテナンスも工場が止まっている期間しか実施できませんでしたが、今後は最適なタイミングでメンテナンスができるため、予防保全の観点からも有効と考えています。IHIからは機械の状態に合わせたメンテナンス提案を毎年受けており、これまで大きなトラブルもないことから、IHIのサービス力をとても信頼しています。
また、導入にあたってはコンプレッサー室の配置や新設する付帯設備の選定についてもIHIに依頼しました。コンプレッサーだけでなく設備エンジニアリングを含めてパッケージで提案をしてもらえたため、安心して「TRAシリーズ」を導入することができました。
- 東久株式会社様 コンプレッサー設置風景の写真 -
コンプレッサーに関する、将来の展望や構想をお聞かせください
犬山工場に引き続き本社でも300kWの「TRAシリーズ」を導入しました。「TRAシリーズ」の導入により原単位が向上し、かつ台数制御盤の効果で無負荷運転時間が最小化され、コンプレッサーの消費電力は大幅に削減されましたが、依然として工場の総消費電力の中で30パーセントを超える高い比率を占めていることには変わりません。ユーザー側でも、工場の空気使用量の削減や、吐出圧力の低減など、コンプレッサーにとって省エネルギーになる施策を進めていきますが、コンプレッサーメーカーであるIHIも、より省エネルギーになるコンプレッサーの開発を続けてもらいたいです。 (2019.6.28)
導入製品概要
お客様概要
設立 | 1941年10月 |
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本社 | 愛知県丹羽郡大口町余野1-60 |
犬山工場 | 愛知県犬山市字新川1-6 |
URL | http://www.tokyu-jp.com/ |
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