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第49巻 第1号(平成21年3月発行)
-新技術・新製品特集号-

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次世代大型ガラス搬送制御システムの開発

  • 長谷川文夫、岡島一道、志田倫教、村松佑哉、中磨満彰

液晶パネル製造ラインでは、生産フローが複雑で、かつ生産量も多い。効率良く生産するためには、プロセス装置や自動倉庫間の搬送を制御する搬送制御システム(MCS)が不可欠である。また、ガラス基板の大型化が進むなか、従来のカセット搬送方式では搬送が限界に近づいており、1枚ごと搬送する枚葉搬送方式が必要となりつつある。そこで、液晶パネル製造ラインのTFT工程を対象として、カセット搬送および枚葉搬送の制御機能をもつ MCSを開発した。本稿では、システムの概要と主な特長について紹介する。

第一原理計算による有機機能材料の解析

  • 江口晴樹、石川義弘

物理化学で標準的に使われている第一原理計算を有機機能材料分野に適用した。最初に自律神経調整薬、フォルスコリン誘導体の活性評価を行い、負の静電ポテンシャルが薬剤探索の期間短縮に重要であることを明らかにした。次に、磁場誘導ドラッグ・デリバリ・システムに用いる有機磁性体の解析と実証実験を行った。本解析で見いだしたEI236は、磁場誘導可能な抗がん剤として機能するだけではなくMRI造影剤としても機能する。第一原理計算による材料解析技術は、有機機能材料の分野にも適用可能である。

超過エンタルピー燃焼を用いた小型燃焼加熱器の実用化に向けた研究

  • 高橋克昌、加藤壮一郎、水谷 琢、須田俊之

超過エンタルピー燃焼を用いた小型燃焼加熱器を開発した。2種類のコンバスタ(ディスク型、チューブ型)について試験を実施した結果、ディスク型では燃焼室の表面積/体積比を調整することで、70%以上の高い熱効率とCO排出濃度45ppmまでの低減を実現できた。また、チューブ型では全体を水中に配置した状態でも、高い熱効率とCO排出濃度の低減を可能とした。さらに、チューブ型コンバスタを搭載した業務用厨房機器(フライヤ)の試作機を製作し、展示会で好評を得ることができた。

船型開発におけるSBD技術の進展

  • 大森拓也

船舶のような大型インデント製品では原寸の試作機による性能確認が難しいため、設計段階で何らかの手段によって実機性能を推定することが必要である。従来の船型開発は主として水槽模型試験に基づき行われてきたが、流れの尺度影響などの問題がつきまとっていた。近年、急速に発展してきたCFDによる流場解析を適用するSBD(Simulation Based Design)によって、水槽試験に基づいた船型開発ではできない設計が可能になってきた。その技術の例として、実船スケール流場計算や形状自動最適化システムを紹介する。

産業用ロボットの新しい展開

  • 小野一也、林 俊寛、藤井正和、柴崎暢宏、曽根原光治

生産現場では作業効率や品質、安全の向上のために、人手に頼っている作業の自動化が、継続して期待されている。本稿では、ピッキング作業、中重量物搬送作業、組立作業などへ産業用ロボットを応用する研究開発を紹介する。これらの研究開発では当社が長年培ってきた高度センシング技術、制御技術、機械要素技術をシステム化することで、従来自動化が困難であった作業へ産業用ロボットを適用することができた。

タービン翼ろう付補修技術の開発

  • 大岩直貴、錦織貞郎

ジェットエンジンのタービン翼は運転によって割れなどの損傷が発生する。この補修に際し、精密鋳造Ni基超合金製のタービン翼は、一般的に割れ感受性が高いため溶接の適用は難しく、ろう付が適用される。今回、クリープ特性とともに熱疲労特性に着目したろう付補修技術を開発した。ろう付部を微細組織化することで、熱疲労試験におけるクラック発生、伝播経路が変化し、優れた特性が得られることを明らかにした。

線状加熱自動鋼板曲げシステムの効率化

  • 藤村清文、丹後義彦、石山隆庸、田邉忠幸、井本治孝

船体の曲がり外板を製作する線状加熱自動鋼板曲げシステム(IHI-a)は、造船固有の加工法である線状加熱を自動化した門型の2軸NC装置であるが、近年の近隣諸国の台頭などによる厳しい価格競争に伴い、さらなるコストダウン、加工能力の向上が重要となってきており、IHI-aの昼夜連続無人運転(完全自動化)へのニーズが高まっている。本稿では、船体の曲がり外板の工期短縮、仕上げ精度向上を目的として開発した、計測センサを用いた IHI-aの自動化への取り組みについて紹介する。

高効率ターボ冷凍機用遠心圧縮機の開発

  • 玉木秀明、川久保知己、塚本 稔、沼倉龍介

大型空調向けターボ冷凍機用に高効率2段遠心圧縮機を開発した。本圧縮機を搭載するターボ冷凍機の性能として、業界トップクラスのCOP6以上を目標とした。目標性能を達成するために、従来型圧縮機の効率を大幅に上回る新型圧縮機の開発が必要となった。圧縮機効率向上のためには軸受やシール部、羽根車背面などに作用する摩擦に起因した機械損失、すき間から高圧流体が漏れる漏れ損失、空力設計に起因する流体力学的損失の抑制をする必要がある。本稿では圧縮機の空力設計について遠心圧縮機の紹介を交えて解説する。

機械式2次電池の開発

  • 齊藤 修、桑田 厳、温見寿範、岩崎郁夫、真島隆司

低損失磁気軸受を用いて、フライホイールに回転エネルギーとして電力を貯蔵する機械式2次電池を開発した。磁気軸受には小型へテロポーラ磁極を用い、制御にはゼロパワー制御を用いた。また、フライホイールのロータ設計では振動制御に問題が生じない程度に磁気軸受の径を小さくした。これらの結果、ロータ表面に流れる渦電流が抑制され、定格回転速度において16Wという極めて少ない回転損失を達成できた。さらに、1000hの連続運転を行い、長時間運転が可能であることを確認した。

レーザ・アークハイブリッド溶接の橋梁部材への適用

  • 技術開発本部生産技術センター生産技術開発部 株式会社IHI検査計測研究開発事業部生産技術部 物流・鉄鋼事業本部社会基盤事業部橋梁エンジニアリング部