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気候変動への対策

考え方

IHIグループは、「気候変動への対策」をESG経営における特に重要な課題の一つとして位置付け、対策を進めています。気候変動は、社会や経済に与える影響が非常に大きく、企業にとっては、その持続可能性が問われる社会課題であり、IHIグループが取り組むべき課題と考えています。
IHIグループは、パリ協定の目標「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」に賛同し、「IHIカーボンニュートラル2050」を掲げ、2050年には温室効果ガス(GHG)の実質排出量をバリューチェーン全体でゼロにすることを目指しています。そのための解決手段の一つとして、燃焼させてもCO2を排出しないアンモニアを燃料として利用する技術の開発に取り組んでいます。
IHIグループは、燃料アンモニアの普及・拡大を図ることが社会全体のGHG排出量削減に貢献すると考え、日本政府官庁への働きかけ、業界団体を通じた政策提言、国際ルールづくりの推進を行っています。

外部イニシアチブへの参画

IHIグループは、気候変動に関するイニシアチブに参画しています。イニシアチブへの参画については、経営会議と取締役会に付議した上で決定しています。

TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

IHIグループは、2019年5月、取締役会での決議を経て、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下「TCFD」)提言の趣旨に賛同しました。この枠組みを戦略立案のツールとして役立てることで、リスク管理の強化や事業機会の創出につなげます。

GXリーグ

IHIグループは、2022年2月、経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」に賛同し、2023年4月に参画しました。
「GXリーグ」とは、GX(グリーン・トランスフォーメーション)に積極的に取り組む「企業群」が、GXに向けた挑戦を行う官・学・金のプレーヤーと共に一体となり、経済社会システム全体の変革のための議論と、新たな市場創造のための実践を行う場として設立されたものです。

業界団体との関わり

IHIグループは、気候変動に関するさまざまな業界団体に加盟しています。政府や業界団体が設定する気候変動対策の目標に対して、整合もしくは上回るように目標を設定して、カーボンニュートラルの実現に向けて活動しています。なお、業界団体の活動方針とパリ協定の目標との乖離が大きいと判断される場合には、当該団体に働きかけるとともに、脱退も含めて対応方針を検討します。

一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会

IHIは、一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会の理事会員として、燃料アンモニアの社会実装に向けて取り組んでいます。同法人は、クリーンアンモニアの燃料および原材料としての利用を中心としたバリューチェーン構築を目指しています。戦略の策定、関連技術開発およびその社会実装化に向けた取り組みを推進することにより、低炭素社会の実現に貢献することを目的としています。
IHIは、同法人が開催する国際シンポジウムやセミナーなどに参加し、新たな知見や情報を得て意見交換を行うとともに、燃料アンモニアの普及、バリューチェーンの構築に向けて、同法人と協調した活動を行っています。

一般社団法人カーボンリサイクルファンド

IHIは、一般社団法人カーボンリサイクルファンドの法人会員として、カーボンリサイクルイノベーションの推進に取り組んでいます。同法人の会長はIHI取締役会長の満岡が務めています。同法人は、地球温暖化問題と世界のエネルギーアクセス改善の同時解決を目指し、カーボンリサイクルに関する研究助成活動や広報活動などにより、カーボンリサイクルイノベーション創出支援を行うことを目的としています。
IHIは、同法人が行う研究助成活動に参画しているほか、カーボンリサイクル大学活動に積極的に参加しています。同法人を通じて社外との関係構築を図るとともに、カーボンリサイクルに係る先進的な技術の発展支援に寄与しています。

カーボンリサイクル大学:同法人の会員企業の若手を対象に、課題解決型思考を育成するプログラム

国際標準化機関での活動

IHIグループは、グローバルな社会課題を解決するために必要な国際的ルール整備活動の一つとして、国際標準化機構ISO(International Organization for Standardization)において、標準化活動に取り組んでいます。IHIグループは、発電用ボイラーにおける燃料アンモニアの適切な利用を目的として、排ガス性能評価試験の実施手順や報告プロセスを規定した技術仕様書(ISO/TS 21343)の開発に、同業他社および一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会と共同参加し、東北大学の小林教授の協力を得ながらIHIがプロジェクトリーダーを担当しました。この技術仕様書は、2025年1月14日に正式発行済です。

技術仕様書(TS:Technical Specifications):正式な国際規格に先立ち、新技術や手法を広く共有し、実用化を促進するための文書

公共規制への対応と支持

IHIグループは、国内外の各拠点において気候変動などに関する法律・政策・規制などを支持し、適切に対応しています。
特にIHIは、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(省エネ法)における特定事業者で、エネルギー消費原単位を年平均1%削減する努力義務があります。2023〜2025年度を対象とした「IHIグループ環境活動計画2023」でも、省エネ法に沿って削減目標を設定しています。各拠点で実施した省エネ施策をグループ内に展開することにより、IHIグループとしてエネルギーの効率利用を推進しています。

方針

IHIグループ環境基本方針

ガバナンス

カーボンニュートラルに向けた取り組み推進体制

IHIグループは、「気候変動への対策」の活動方針や計画、目標について、環境委員会で審議・決定しています。
2021年度には、バリューチェーン全体でのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進するため、総務部を事務局として部門横断のメンバーで構成されたカーボンニュートラルタスクフォースを設置しました。
タスクフォースの活動については、環境委員会で報告・議論した後、ESG経営推進会議に報告し、経営層から受けたフィードバックをグループ全体へ展開しています。
さらに、これら委員会や会議における議論のうち、例えばカーボンニュートラルに関する目標設定など、経営上の重要な意思決定に関わるものについては、経営執行における意思決定機関である経営会議での審議を経て、取締役会に付議しています。

カーボンニュートラルタスクフォース:総務部、財務部、高度情報マネジメント統括本部、技術開発本部、調達企画本部および事業領域のメンバーから構成

カーボンニュートラル実現のための体制

戦略

IHIカーボンニュートラル2050

IHIグループは、パリ協定の努力目標「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」に賛同し、「IHIカーボンニュートラル2050」を掲げています。
自社の事業活動によって直接・間接に排出されるGHG(Scope1、2)については、2030年度に2019年度比で半減し、2050年には実質排出量ゼロを目指します。短期的な活動としては、「IHIグループ環境活動計画2023」(2023〜2025年度)を定め、2022年度を基準として設備投資によるScope1、2合計12,000t-CO2e削減を目標に、2024年度までに9,000t-CO2eを削減しました。2025年度はさらに3,000t-CO2e削減を目指します。エネルギー消費原単位(売上収益当たりのエネルギー消費量)の3%削減を目標としています。
また、上流および下流のプロセスで排出されるGHG(Scope3)についても2050年の実質排出量ゼロを目指しています。「Scope3排出量削減ロードマップ」を策定し、特に排出量の大きいカテゴリ11(製品使用時)とカテゴリ1(購入した製品・サービス)を中心に削減し、Scope1、2、3全てにおいてカーボンニュートラルを実現していきます。
脱炭素技術を有するIHIグループは、この達成に向けて取り組むことで、グローバルなカーボンニュートラル社会の実現に率先して貢献していきます。

IHIカーボンニュートラル2050

IHIグループは、2050年までに、バリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現する

気候変動に伴うリスクと機会

IHIグループでは、展開する事業のうち、特に気候変動の影響を著しく受ける4つの主要事業(エネルギー事業、橋梁・水門事業、車両過給機事業、民間航空エンジン事業)を対象として、簡易的にシナリオ分析を行いました。
まず、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC :Intergovernmental Panel on Climate Change)が示す外部シナリオを参照し、移行リスクが大きい「①カーボンニュートラルな世界」と物理的リスクが大きい「②気候変動の影響が甚大な世界」の2つの世界における自社シナリオを設定しました(Step1)。次に、対象とした4つの主要事業について、リスク・機会を洗い出し(Step2)、事業に及ぼす影響度を評価しました(Step3)。最後に評価結果を踏まえ、対応策を立案しました(Step4)。
自社シナリオで想定する2つの極端な世界における対応策を講じることで、将来のリスクに対するIHIグループ事業のレジリエンスを高められると考えます。
また、①と②が組み合わさった最も厳しい世界は、それぞれの対応策の組み合わせにより、リスクを低減できると考えます。
4つの主要事業についてリスク・機会の洗い出しとその対応策を、1.その事業に特化しているものと、2.どの事業にも共通しているものに分類しました。
今後は、気候変動の財務への影響評価などを行い、シナリオ分析を事業戦略に生かせるよう、充実させていきます。
IHIグループでは、経営方針や事業戦略の立案において、TCFD提言で求められている考え方を積極的に取り込むことで、自社を含む社会全体の持続的な発展に貢献します。

シナリオ分析のプロセス

Step1、自社シナリオ設定 外部シナリオ※を参照し、2050年の世界を想定した2つのシナリオを設定しました。1移行リスクの大きいシナリオ、2物理的リスクが大きいシナリオ Step2、リスク・機会の洗い出し Step1で設定した2つのシナリオに対して、リスク・機会を洗い出しました。 Step3、事業への影響度評価 Step2で洗い出したリスク・機会に対して、「発生の可能性」と「影響の大きさ」について各々点数付けしました。両者の積を「影響度」と定義し、リスク・機会が事業に及ぼす影響度評価を行いました。 Step4、対応策の立案 強靭性(レジリエンス)のある事業にするために、リスク・機会の対応策を立案しました。

参照した外部シナリオ

  • カーボンニュートラルな世界
    IEA 2DS(ETP2017の Global technology penetrations in LDV stock by scenario、Global electricity generationなどを参考に定性的に評価)
  • 気候変動の影響が甚大な世界
    RCP 8.5(IPCC AR5 WG2の風水害リスクに関する部分を参考に定性的に評価)

設定したシナリオ

  1. 移行リスクの大きいシナリオ
    温室効果ガスが一切排出できないために、社会システムが気候変動の緩和に移行する「①カーボンニュートラルな世界」におけるシナリオ
  2. 物理的リスクが大きいシナリオ
    自然の猛威に立ち向かうために物理的な影響への適応が必要な「②気候変動の影響が甚大な世界」におけるシナリオ

1.事業に特化している主なリスク・機会(4つの主要事業について)とその対応策

「①カーボンニュートラルな世界」におけるリスク・機会および主な対応策
エネルギー事業 橋梁・水門事業 車両過給機事業 民間航空エンジン事業
リスク
  • 大型化石燃料発電設備関連の需要減少
  • CO2を大量に排出する素材(セメント、鋼材など)の調達コスト(炭素税など)増加
  • 脱炭素要求に対応できず、エンジン車需要が減少し、既存過給機需要も減少
  • 脱炭素要求や高速代替輸送手段の普及による航空機需要減少
機会
  • 燃料転換やCCUSなど脱炭素化技術の導入需要増加
  • 再エネ普及拡大に伴ったエネルギー需給安定化のための調整電源、蓄エネ、Power to Xの需要増加
  • 交通網の効率化に向けた道路需要の増加(橋・トンネル)
  • 海外での鉄道網の強化に伴う建設需要の増加
  • 脱炭素に向けた電動化車両(PHEV、HEV、FCVなど)に対応する過給機新製品(既存型に加え電動型)の早期市場投入により、市場優位性を確保し、過給機需要が増加
  • 航空機の脱炭素要求に適合したエンジン開発への期待が高まり、電動化や先進材料技術を適用する機会が増大
主な対応策
  • 脱炭素化技術の社会実装の早期化
  • エネルギー需給安定化技術の開発促進
  • 遠隔監視などIoT技術によるライフサイクルビジネスの拡大
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)推進による省人化/遠隔化や工法改善による工期および工費の低減
  • 脱炭素要求の動向に対応する電動化車両向け過給機新製品の開発、商品化を加速
  • 電動化や先進複合材などの高度な技術の早期実用化
「②気候変動の影響が甚大な世界」におけるリスク・機会および主な対応策
エネルギー事業 橋梁・水門事業 車両過給機事業 民間航空エンジン事業
リスク
  • 気象災害多発による現場の工事停滞や被災により、工程が大幅に遅延
  • 気象災害多発による現場の工事停滞や被災により、工程が大幅に遅延
  • 気象災害多発によるサプライチェーン寸断により、生産活動が停滞
  • 気象災害多発によるサプライチェーン寸断により、生産活動が停滞
機会
  • 気象災害で損傷した設備の早期復旧への貢献
  • 省人化、遠隔化推進によるデジタル化需要の増加
  • 国土強靭化に向けたインフラ整備の需要が増加
  • 気象災害で損傷したインフラの早期復旧への貢献
  • 事業特有の機会はなし
  • 事業特有の機会はなし
主な対応策
  • 遠隔監視などIoT技術によるライフサイクルビジネスの拡大
  • ライフサイクルビジネスのほか、防災にも視野を広げた事業展開
  • インフラの保全や防災・減災、早期復旧に資する技術・体制の整備
  • サプライチェーンの強靭化
  • サプライチェーンの強靭化

2.どの事業にも共通している主なリスクとその対応策

「①カーボンニュートラルな世界」における移行リスクとその対応策
カテゴリー 主な内容 主な対応策および機会への転換
政策・法規制 炭素税の導入、産業廃棄物の規制強化、再エネ導入・設備更新によるコスト増加など 生産、輸送などの効率化やエネルギー消費量の適切なマネジメントによって、事業活動にかかるコストを低減する
技術 脱炭素化に向けた研究開発のためのコスト増加、技術開発の失敗など 政策・技術・市場などの社会動向を見極めながら、集中的な技術開発投資を行う
市場 CO2排出量の多い製品・サービスに対する需要の低下など 市場の構造の急激な変化に対応できるように、常に複数の事業シナリオを想定した事業計画の立案・推進に取り組む
評判 気候変動への対策が不十分などの評価による受注機会の喪失、社会的信用力の低下など 気候変動の緩和と適応に貢献できる製品・サービスに関する情報を、分かりやすく発信する
「②気候変動の影響が甚大な世界」における物理的リスクとその対応策
カテゴリー 主な内容 主な対応策
急性・慢性 台風や洪水などの自然災害で工場・拠点が被災することによる事業活動の停止など
  • 工場・拠点の事業継続計画において、気象災害への対応を組み込み、従業員の安全確保やサプライチェーンの強化を図る
  • 予測可能な風水害に対する事前対策の策定・実施・運用

気候変動の緩和(カーボンニュートラルに向けた取り組み)

Scope3排出量の削減

IHIグループでは、Scope3排出量の大部分がカテゴリ11(販売した製品の使用)で、2023年度の排出量の多くを石炭火力発電用ボイラーが占めています。しかし、2025年度までにボイラーの新設工事を終了し、2026年度以降は排出量が大幅に減少する見込みです。また、カテゴリ11に含まれる他の製品についても、クリーンエネルギーへの転換やエネルギー消費の効率化を進めることで、2050年までに大幅な削減を目指しています。
IHIグループは、こうした目標の達成に向けて、2050年までにScope3排出量を実質ゼロにするためのロードマップを策定しました。このロードマップに沿って、材料調達・設計・製造からお客さまによる製品使用に至るまで、製品ライフサイクル全体でのGHG排出量削減を進めます。さらに、燃料アンモニアバリューチェーン構築やCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)といったカーボンソリューションによる削減貢献により、Scope3排出量を削減します。
主力製品である民間航空エンジンについては、お取引先と協働し、材料調達を含むサプライチェーン全体のカーボンニュートラル化に取り組んでいます。従来形態航空エンジンの燃費改善や革新形態航空エンジンの開発も進めており、航空機全体のエネルギー効率の向上を図っていきます。さらに、持続可能な航空燃料(SAF)の製造技術の開発および利用拡大にも注力し、バリューチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指します。他の製品についても、高機能化・高効率化を進め、クリーンエネルギーへの転換を推進しています。
特に注目しているのは燃料アンモニアです。燃料の製造から受け入れ、貯蔵、利活用までの各プロセスでIHIグループの強みを生かし、バリューチェーンを構築していきます。これにより燃料アンモニアの普及・拡大を図り、社会全体のGHG排出量削減に貢献します。

Scope3排出量の実績・見込み
Scope3排出量削減ロードマップ

リスク管理

IHIグループでは、短期的な事業リスクに加えて、中長期の時間軸で事業環境に変化を及ぼすサステナビリティ関連のリスクについても、事業活動に係るリスクとして管理しています。具体的には、中長期的にIHIグループに及ぼす影響を評価し、それらを短期的な事業リスクに落とし込んでいます。内部監査部門・コーポレート部門・事業領域・事業部門(関係会社を含む)の役割と責任を明確化し、重層的なリスク管理体制の中で管理しています。

指標と目標

IHIグループは、2050年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルの実現を目指しています。
工場・事務所などにおけるGHG排出量(Scope1、2)については、2023年度に取締役会での決議を経て、2030年度までに2019年度の排出量から半減することを目標としました。

「気候変動への対策」の目標・実績(IHIグループ環境活動計画2023[2023〜2025年度])

(対象:IHIおよび連結子会社)

2025年度の目標 KPI 2022年度
(基準年度)
2023年度 2024年度
設備投資によるScope1、2合計を2022年度比で12,000t-CO2e削減 GHG排出量(Scope1+Scope2)の削減量 GHG排出量
215,753t-CO2e
年度目標 2022年度比
2,000t-CO2e削減
2022年度比
6,000t-CO2e削減
実績 211,970t-CO2e 197,274t-CO2e
2022年度比 3,783t-CO2e削減 18,479t-CO2e削減
エネルギー消費原単位を2022年度比で3%削減 エネルギー消費原単位削減率 エネルギー消費原単位
17.0TJ/百億円
年度目標 2022年度比
1%削減
2022年度比
2%削減
実績 17.6TJ/百億円 13.6TJ/百億円
2022年度比 3.5%増加 19.6%削減

GHG排出量(Scope1、2)とエネルギー消費量

(対象:IHIおよび連結子会社)

項目

内訳

2021年度

第三者検証
の有無

2022年度

第三者検証
の有無

2023年度

第三者検証
の有無

2024年度

第三者検証
の有無

GHG排出量(Scope1+Scope2)(t-CO2e)※1 220,138 215,753 211,970 197,274

Scope1(t-CO2e)

64,270 61,469 65,033 57,951

CO2(t-CO2

60,178 63,393 56,420

CH4(t-CO2e)

447
(国内のみ)
974
(国内のみ)
923
(国内のみ)

N2O(t-CO2e)

85
(国内のみ)
85
(国内のみ)
76
(国内のみ)

HFCs(t-CO2e)

469
(国内のみ)
281
(国内のみ)
443
(国内のみ)

PFCs(t-CO2e)

0
(国内のみ)
0
(国内のみ)
0
(国内のみ)

SF6(t-CO2e)

290
(国内のみ)
299
(国内のみ)
90
(国内のみ)

NF3(t-CO2e)

0
(国内のみ)
0
(国内のみ)
0
(国内のみ)

Scope2(マーケット基準)(t-CO2

155,868 154,284 146,937 139,322
GHG排出原単位(t-CO2e/億円)※2 18.8 15.9 16.0 12.1
エネルギー消費量(TJ)※1 2,348 2,294 2,322 2,218

燃料消費量(TJ)

1,084 1,019 1,070 993

電力消費量(TJ)

1,229 1,230 1,184 1,146

熱消費量(TJ)

5 0 0 0

再生可能エネルギー使用量(TJ)

31 45 69 79
エネルギー消費原単位(TJ/百億円)※2 20.0 17.0 17.6 13.6
  1. 各項目を四捨五入して合計しているため、内訳の合計値と一致しない場合があります。
  2. 原単位の分母は売上収益です。

環境情報検証報告書

GHG排出量(Scope3)

IHIグループは、GHGプロトコルおよび環境省が定めるガイドラインに基づき、Scope3排出量を算定しました。Scope3の中で最も多いのは、カテゴリ11(販売した製品の使用)で、次に排出量が多いのはカテゴリ1(購入した製品・サービス)となりました。

サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン

(単位:t-CO2e)

項目

カテゴリ

算定方法 集計範囲 排出量
2021年度 2022年度 2023年度 2024年度

第三者検証
の有無

GHG排出量(Scope3)合計 177,593,000 184,475,000 403,575,000 357,089,456

1 購入した製品・サービス

支出額に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 4,197,000 4,665,000 5,130,000 5,455,000

2 資本財

設備投資金額に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 145,000 205,000 239,000 326,000

3 Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動

各種エネルギーの消費量に基づいて算定 国内の電力、都市ガス消費分のみ 13,000 13,000 13,000 13,000

4 輸送、配送(上流)※1

輸送金額に基づいて算定 IHIおよび一部の国内連結子会社 1,000 1,000 1,000 5,000

5 事業活動から出る廃棄物

廃棄物排出量に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 8,000 8,000 9,000 9,000

6 出張

出張旅費金額に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 14,000 14,000 14,000 14,000

7 雇用者の通勤

通勤交通費支給額に基づいて算定 IHIおよび連結子会社 4,000 4,000 4,000 4,000

8 リース資産(上流)

Scope1、2に含めて算定

9 輸送、配送(下流)

対象外※2

10 販売した製品の加工

対象外※3

11 販売した製品の使用

製品が消費するエネルギーに基づいて算定、排出原単位は政府や業界団体のシナリオを参考に将来の変化を加味※4 IHIおよび連結子会社 173,211,000 179,565,000 398,165,000 351,263,456
(検証範囲は排出量ベースで99.8%)

12 販売した製品の廃棄

対象外※5

13 リース資産(下流)

カテゴリ11に含めて算定

14 フランチャイズ

対象外※6

15 投資

対象外※7
  1. 2023年度までの算定方法は輸送手段ごとの重量・距離、エネルギーに基づいています。また、2023年度までの集計範囲はIHI単体としています。
  2. 多くの製品は据え付け・納入後に輸送されることが少なく、排出量は少量となるため対象外としました。
  3. 完成品を納入することが多く、部品であっても組み立てなどによる排出量は少量となるため対象外としました。
  4. 民間航空エンジンの算定方法については、下記の補足資料をご確認ください。
  5. 多くの製品は金属製であり、リサイクルされることにより最終処分量はわずかで、排出量は少量となるため対象外としました。
  6. IHIグループでは、フランチャイズ形態をとっていないため対象外としました。
  7. 環境省の資料(サプライチェーン排出量算定におけるよくある質問と回答)において、カテゴリ15は民間金融機関向けとされているため対象外としました。

環境情報検証報告書

補足資料:民間航空エンジンのScope3カテゴリ11算定方法

Scope3カテゴリ11は、企業が販売した製品やサービスが使用される際に排出されるGHGの量を指します。
民間航空機は国際民間航空機関(ICAO)により取り決められた国際的な合意に基づき、2050年までにGHG排出量を実質ゼロとすることを求められています。 IHIグループでは、成長事業の一つに位置付けている民間航空エンジン事業においてカーボンニュートラルを実現するためには、エンジンが使用される際のGHG排出量を算定し評価することが重要であると考えています。
IHIグループの民間航空エンジンのScope3カテゴリ11は、当該年度に販売した航空エンジンが使用される際に排出されるGHG量に、航空機全体に対するエンジンの重量比やエンジン開発プログラムへの参画比率を考慮して、次のとおり算定しています。

IHIの民間航空エンジンのScope3カテゴリ11=Σ{(エンジンの販売数量×エンジンの使用年数×エンジンの年当たりの燃料消費量×排出原単位)×(エンジンの重量/航空機の重量)× エンジン開発プログラムへの参画比率)}

①当該年度に販売した航空エンジンが生涯使用される際のGHG排出量

販売したエンジンの使用時に消費される燃料量(エンジンの販売数量×エンジンの使用年数×エンジンの年当たりの燃料消費量)に排出原単位(単位燃料消費量当たりのCO2排出量)を乗じて、当該年度に販売した航空エンジンが生涯使用される際のGHG排出量を算定します。
排出原単位は、ICAOが設立した国際航空のCO2削減枠組み(CORSIA)で定められたものを使用しています。また、将来的に持続可能な航空燃料(SAF)の導入などにより変化する分も加味しています。

②航空機全体の重量に占めるエンジン重量の割合

航空エンジンは、航空機全体の一部であるため、(エンジンの重量/航空機の重量)を乗じます。これはGHG排出量を算定・報告する際の国際的な基準であるGHGプロトコルの「Scope3排出量の算定技術ガイダンス」に準じています。
エンジンおよび機体の重量は、欧州航空安全機関(EASA)のデータに基づくもので、乾燥重量を用いています。

③エンジン開発プログラムへの参画比率

民間航空エンジンは、複数の企業が共同で開発を進めます。エンジン開発プログラムに参画する企業は、開発費やマネジメントのリスクをそれぞれで分担しており、その参画比率に応じて事業費を負担し、収益配分を受ける契約形態をとっています。エンジン使用時のGHG排出量もエンジン開発プログラムへの参画比率で各社に割り当てるのが妥当と考えられるため、参画比率を乗じます。

なお、民間航空エンジンのScope3カテゴリ11の算定には、エンジンの整備やスペアパーツの製造は含んでいません。

取り組み

気候変動の緩和(カーボンニュートラルに向けた取り組み)

IHIグループは、2050年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを実現することを目指し、自社の事業活動によって直接・間接に排出されるGHG(Scope1、2)だけでなく、自社の上流および下流のプロセスで排出されるGHG(Scope3)の削減に取り組んでいます。

カーボンニュートラルに向けた主な取り組み

事業活動、調達活動:環境に配慮している取引先の積極的な採用。事業活動、生産活動:自社製品・システムを含む新技術の先駆的採用、燃料転換、再生可能エネルギー利用。 製品・サービス、既存技術の活用(トランジション):既存発電所の高効率化、製品の軽量化・電動化、再生可能エネルギーの活用。 製品・サービス、新技術の導入(トランスフォーメーション):水素・アンモニアの利用、カーボンリサイクルの実現。

気候変動への適応のための取り組み

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