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アンモニアガスタービン燃焼器開発向け高温・高圧・大流量燃焼試験設備

黒滝勇貴,小倉孝浩,谷田真裕,佐藤公美,藤田穣   

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黒滝 勇貴 株式会社IHI 資源・エネルギー・環境事業領域 アンモニアガスタービン開発部
小倉 孝浩 株式会社IHI 資源・エネルギー・環境事業領域 アンモニアガスタービン開発部
谷田 真裕 株式会社IHI 資源・エネルギー・環境事業領域 アンモニアガスタービン開発部
佐藤 公美 株式会社IHI 資源・エネルギー・環境事業領域 アンモニアガスタービン開発部
藤田 穣  株式会社IHI 資源・エネルギー・環境事業領域 アンモニアガスタービン開発部

カーボンニュートラル実現に向けたアンモニア利活用のための重要開発拠点として,アンモニアガスタービン開発用大型燃焼試験設備が2025 年6 月に完工した ( 1 ).アンモニアガスタービン燃焼器の開発に向けて高温・高圧・大流量の燃焼試験設備の仕様,機能および実際の試験結果の一部を紹介する.

A large-scale combustion test facility for ammonia gas turbine development was completed in June 2025, as a key development base for the utilization of ammonia toward achieving carbon neutrality ( 1 ). This paper introduces the specifications and functions of this high-temperature, high-pressure, large-flow combustion test facility for the development of ammonia gas turbine combustors, through some of the actual test results.


1. 緒言

世界的に温室効果ガス排出量の削減に向けた取組みが進む中,風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入が拡大している.これに伴い,その出力変動に起因する電力需給ギャップを補うため,急速起動および高速負荷追従が可能なガスタービンの重要性が高まっている.一方で,ガスタービンについては,以前から効率向上を目的として高温・高圧化が進められている.さらに,従来の天然ガスに加え,アンモニアや水素などの脱炭素燃料を利用可能とすることも求められている.このような高温・高圧化,多種燃料化に対応するためには燃焼器が重要な要素である.燃焼は,流体力学的な現象,化学反応,伝熱などが絡み合う複雑な現象であり,相似則の適用が極めて困難である.このため,ガスタービン燃焼器の開発には実際の使用圧力,温度,流量での実スケール試験が必須である.IHIはこのようなガスタービンの動向に対応するため,GE Vernova社(GEV,米国)とともに,GEVの6F.03 型,7F 型および9F 型ガスタービンを対象に,2030 年までのアンモニア燃焼技術の開発を進めている.IHIとGEVは,2023 年のアンモニア専焼大型ガスタービン開発に関する覚書に続き,2024 年には次フェーズに向けた共同開発契約( Joint Development Agreement )に署名するとともに,GEVのF 型ガスタービンの圧力,温度,空気,燃料流量等の運転条件下での燃焼試験が可能な試験設備を開発した.本稿では,燃焼試験設備の仕様,機能および実際の試験結果を紹介する.

2. 設備概要

2.1 設備の位置付け

1 章で記載したように燃焼は相似則や圧力での外挿による性能予測が非常に困難な現象である.本開発はGEVのF 型ガスタービンに搭載する燃焼器の開発であり,実機条件での性能確認が必須である.また,2030 年にアンモニア専焼ガスタービンの開発完了という目標達成のためには,短期間で燃焼器の開発が必要である.IHIは横浜事業所(神奈川県)に,アンモニア燃焼試験を実施できる設備を有しているが,設備規模が小さいためGEVと共同開発する大型ガスタービンエンジンの燃焼器実作動条件は実現できない.そこで,F 型ガスタービンのアイドルから定格出力までの燃焼器入口条件(空気流量,空気温度,圧力)を再現できる大容量燃焼試験設備( Large scale Combustion Test Facility:LCT )を相生事業所(兵庫県)に新設した.外観を第1図に示す.

実スケールの燃焼試験を実施できる設備としては,連続方式とブローダウン方式の2 種類がある.連続方式は機械駆動用ガスタービンによりコンプレッサを回し,高温・高圧の空気を作り出す.数時間の連続試験が可能であるが,設備規模が大きく,試験を行うためにガスタービンの起動が必要であり,準備に手間が掛かる.この方式は一連の性能確認を行うのに適した設備である.

一方ブローダウン方式は,貯気槽にためた空気を流し,途中の蓄熱体を通過させて空気温度を上げる方式である.試験時間は貯気量と蓄熱量によって決まり,おおよそ10 分程度と短いが,運転が容易で流量,温度,圧力を任意に調整できるメリットがある.加えて,燃焼器開発において現象理解に必要なパラメータ試験が容易であること,ガスタービン運転条件に対するマージン把握が可能であることがメリットとして挙げられる.また,IHI横浜事業所に有するブローダウン方式の長年の運用 ( 2 ) ~ ( 4 )によりノウハウを有していること,設備完成までの期間が短いこと,加えて導入や運転のコストが低いという利点もある.これらの利点を理由に,本開発で利用する燃焼試験設備として,ブローダウン方式を採用した.

IHI横浜事業所の試験設備でバーナ単体の開発を,LCTで燃焼器の開発・性能評価を実施する.

第1 図 LCT 外観 Fig. 1 Appearance of LCT
第1図 LCT 外観
Fig. 1 Appearance of LCT

2.2 設備仕様,系統

第2図に概略系統を示す.設備は,空気コンプレッサ,貯気槽,蓄熱体,アンモニアタンク,アンモニアポンプ,都市ガスコンプレッサ,排気冷却ダクト,排気塔などからなる.

試験の準備として,空気コンプレッサにより高圧の空気を貯気槽にため,蓄熱体内部のセラミックを都市ガスバーナを用いて加熱しておく.

試験時には,貯気槽出口の遮断弁を開き,供試体に空気を供給する.空気の流量は流量調節弁により,燃焼器入口空気温度は三方弁により制御する.この制御方式はIHI横浜事業所内のブローダウン試験設備を踏襲しており,貯気槽から供給される圧力の変化に対して空気流量を,蓄熱体出口の空気温度の変化に対して供試体入口の温度を精度良く,かつ試験中に一定に保つことができる.燃焼器と圧力調節弁の間に取外し可能なチョーク構造が入っており,開口部の断面積は流れがチョーク状態で設計圧力になるように設定されている.

燃料は都市ガスと液体アンモニアが供給可能であり,それぞれ複数の系統で流量を制御することができる.

高温の燃焼排ガスは,排気冷却ダクト内で水スプレーにより冷却後,排気塔を通じて大気に放出される.

第2 図 LCT 概略系統図 Fig. 2 Schematic diagram of LCT
第2図 LCT 概略系統図
Fig. 2 Schematic diagram of LCT

第3図に試験運転概要を示す.まず低流量で都市ガスに着火させ,その後,空気流量,都市ガス流量をある程度まで増加させながら,同時に空気温度を上昇させる.その後アンモニアを投入し,都市ガスは流量を減らし,アンモニア専焼に移行する.以上の動作は事前に設定したタイムチャートにより自動で制御される.

第3 図 燃焼試験のタイムチャート Fig. 3 Time chart of combustion test
第3図 燃焼試験のタイムチャート
Fig. 3 Time chart of combustion test

3. 制御

3.1.1 空気制御

空気流量の制御は高い精度が要求されている.この制御精度を達成するため,Cv値(バルブの流量係数)の大きい流量調節弁AとCv値の小さい流量調節弁Bを組み合わせて空気流量の制御を行う.ブローにより貯気槽の圧力が徐々に低下していくため,フィードバック制御のみでは流量を維持することが困難である.そのため,流量調節弁Aは前後の圧力と温度から必要なCv値を算出して開度を設定するフィードフォワード制御,流量調節弁Bはフィードフォワード制御とフィードバック制御を併用して制御を行うこととした.それぞれの調節弁のフィードフォワード制御の配分は,次の2 式で与えた.

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空気温度は,三方弁により蓄熱体を通した高温空気と蓄熱体をバイパスした低温空気の流量比を調整することで制御される.三方弁の開度はフィードバック制御とフィードフォワード制御を併用して調節を行う.蓄熱体の温度は空気を流すと低下するため,過渡時だけではなく,定常時においてもフィードフォワード制御が重要な役割を果たす.温度制御点,蓄熱体の前後の温度と圧力から熱量を推定し,必要な開度を計算している.
空気圧力は,燃焼器下流に取り付けているチョーク構造により,チョーク状態で空気流量に応じた圧力になる.そのため圧力調節弁は,チョーク構造前後の差圧がチョーク条件を満たし,かつ,過大にならないような開度としている.

3.1.2 燃料流量制御

都市ガス流量は,Cv値の大きい流量調節弁AとCv値の小さい流量調節弁Bを組み合わせて制御する.空気流量制御と同様に流量調節弁Aは前後の圧力と温度から必要なCv値を算出して開度を設定するフィードフォワード制御,流量調節弁Bはフィードフォワード制御とフィードバック制御を併用して制御を行うこととした.アンモニア流量も同様の制御ロジックとした.

3.2 シミュレータの構築と制御方法の検証

3. 1 節の制御方法の有用性を検証するため,LCTのプロセスシミュレータを構築した.各調節弁のCv値や配管の圧損,放熱量などのパラメータは,メーカが提供するデータシートに加え,計測データを用いて合わせ込みを行った.

LCTで使用する調節弁の制御プログラムをシミュレータ上に再現し,空気流量,空気温度,都市ガス流量,アンモニア流量の制御ができることを確認した.

また,フィードバックゲインなどの各種パラメータをシミュレータ上で事前に検討したことで,短期間で制御調整を行うことができた.

3.3 制御結果

試験運転の一例として,アンモニア混焼試験時の各制御結果を示す.第3図のタイムチャートのとおり,始めに都市ガスに着火し,各種条件が整ったことを確認しアンモニアを供給した.その後,アンモニア流量を増加させるとともに都市ガスの流量を減少させ,データ計測を行う条件を維持した.十分なデータが計測された後,アンモニアの供給量を減少させ,アンモニア遮断弁閉止後,配管内に残ったアンモニアを窒素パージにより燃焼器側に押し出し燃やし切る燃焼除害を行った.

空気流量制御の試験結果を第4図に示す.目標流量に対して,制御偏差が± 1.0%の範囲でデータ計測に十分な時間静定させることができた.貯気槽圧が低下すると空気流量が徐々に低下する傾向があるため,調節弁Bのフィードバック制御の応答を改善することで,さらなる制御精度の向上を図る.

空気温度制御の試験結果を第5図に示す.静定後から空気流量を低下させるまでは,目標温度に対しての制御偏差は± 1.5%程度の範囲に抑えられており,良好な結果が得られた.

燃焼器入口圧力の試験結果を第6図に示す.静定時の圧力は,設計圧力とよく一致していることが分かる.

都市ガス流量制御,アンモニア流量制御の試験結果をそれぞれ第7図,第8図に示す.都市ガス流量,アンモニア流量は複数ある系統のうち,代表してそれぞれ1 系統のみの結果を示す.

都市ガス流量はアンモニア供給前後の目標流量に対しての制御偏差は± 0.6%,データ計測時の目標流量に対しての制御偏差は± 0.8%であった.アンモニア流量は目標流量に対しての制御偏差は± 0.5%の範囲に抑えられており,いずれも良好な制御結果が得られた.

データ計測完了後,空気流量とアンモニア流量を減少させ,都市ガスの流量を維持したままアンモニアの供給を停止した.その後,数回アンモニアの配管に窒素パージを行い,配管内の残留アンモニアを燃焼器側に押し出す操作を行った.第9図は,窒素ガスに押し出され燃焼器に到達した残留アンモニアが燃焼し,燃焼器出口温度が上昇したことを観測した結果である.

第4 図 試験結果:空気流量制御 Fig. 4 Experimental results: air flow rate control
第4図 試験結果:空気流量制御
Fig. 4 Experimental results: air flow rate control
第5 図 試験結果:空気温度制御 Fig. 5 Experimental results: air temperature control
第5図 試験結果:空気温度制御
Fig. 5 Experimental results: air temperature control
第6 図 試験結果:圧力 Fig. 6 Experimental results: pressure
第6図 試験結果:圧力
Fig. 6 Experimental results: pressure
第7 図 試験結果:都市ガス流量制御 Fig. 7 Experimental results: city gas mass flow rate control
第7図 試験結果:都市ガス流量制御
Fig. 7 Experimental results: city gas mass flow rate control
第8 図 試験結果:アンモニア流量制御 Fig. 8 Experimental results: ammonia mass flow rate control
第8図 試験結果:アンモニア流量制御
Fig. 8 Experimental results: ammonia mass flow rate control
第9 図 試験結果:アンモニアの燃焼除害 Fig. 9 Experimental results: ammonia removal by combustion
第9図 試験結果:アンモニアの燃焼除害
Fig. 9 Experimental results: ammonia removal by combustion

4. 排ガス成分計測システム

燃焼器の評価を詳細に行うために,燃焼器出口における窒素酸化物( NOx )や未燃分などの排ガス成分の分布を把握する必要がある.一方で,1回のブローでの試験時間は数分間と限られている.このため,1 回のブローで1 か所ずつ計測していると,試験の繰り返し数が膨大になってしまう.そこで,2 台の排ガス分析計と,18系統のサンプリングラインの切換システムを導入し,数回のブローで詳細な空間分布を計測可能とした.第10図に排ガス計測システムの概要を示す.ブロー中にリアルタイムで排ガス成分が確認でき,試験ごとの評価を迅速に行えるため,効率的な試験条件の設定,試験実施に有効である.また,本切換システムは,全てのサンプリングポートからの排ガスを混合させての平均計測も可能である.このため,試験初期段階で燃焼器全体の評価を行い,その後,切換機能を活用して,詳細な排ガス成分の分布を計測し,詳細性能を確認するといった運用が可能である.このような運用により,燃焼器の性能評価を迅速に実施することが可能である.

実際に排ガスの平均計測を実施した際の排ガス分析結果を第11図に示す.

第10 図 排ガス計測システム Fig. 10 Exhaust gas measurement system
第10図 排ガス計測システム
Fig. 10 Exhaust gas measurement system
第11 図 排ガス分析結果 Fig. 11 Experimental results: exhaust gas analysis
第11図 排ガス分析結果
Fig. 11 Experimental results: exhaust gas analysis

5. 安全設計

5.1 アンモニアの物理・化学的特性

アンモニアは常温常圧下で無色・刺激臭の気体であり,高い水溶性(20℃で54 g/100 mL)を有する.爆発性混合気の範囲は15 ~ 28 vol%である.開放空間中にアンモニアが少量漏洩(ろうえい)した場合には,この濃度範囲に達することは通常考えにくいが,密閉空間や大規模な漏洩などの状況では注意が必要である.金属材料に対し高い腐食性を示し,特に湿潤環境下では銅や亜鉛などの損傷が懸念される.また,人体に対する急性毒性を有する劇物であり,曝露時には健康障害を引き起こすリスクが高い.

米国EPA ( United States Environmental Protection Agency )の急性曝露ガイドライン( Acute Exposure Guideline Levels:AEGL ) ( 5 )によれば,30 ppm(10 分間)で軽微な刺激,50 ppm(10 分 ~2 時間)で中等度の刺激,80 ppm(30 分 ~ 2 時間)で強い刺激,140 ppm以上では耐え難い刺激が生じる.公益社団法人日本産業衛生学会が定める許容濃度は25 ppm(8 時間)であり,LCTではこれを基準に緊急時対応マニュアルを策定している.

5.2 安全設計手法の導入

アンモニアはこれまで化学原料として広く使用されてきたが,ガスタービンの燃料としてアンモニアを利用する場合,高圧状態でのアンモニアの取扱いが課題となる.LCTでは商用プラントと同等水準の安全性を目指し,ALARP ( As Low As Reasonably Practicable )原則にのっとり人や環境へのリスクを合理的かつ実行可能な限り低く抑えることを基本方針として安全設計を行った.

これまでにHAZID ( Hazard Identification )およびHAZOP ( Hazard and Operability Study )を,設計や運用の進展に合わせて実施してきた.HAZIDは法令や立地条件,設備の配置,作業環境など,プロセスの外側も含めた幅広い視点から潜在的な危険源を網羅的に洗い出す手法である.リスクを幅広く抽出できることが特長であり,計画段階でのリスク把握や,その後の詳細な安全設計の方向性を定めるのに有効である.

一方,HAZOPは配管や装置などプロセス設備に着目し,工程のまとまりごとにガイドワードを用いて異常や問題点を系統的かつ定性的に検討し,潜在的なリスクとその対応策を明らかにする手法である.まず通常の運転状態を検討から始め,さらに設備の立ち上げやメンテナンス時など非定常な状態についても,設計や運用の進展に合わせて検討を実施した.

これらのワークショップを通じて,IHIグループ内の設計,建設,運転に関わる全ての担当者が参加し,設計・運転に関するリスク認識を深め,リスク評価および予防措置の立案を具体的かつ実効性のあるものとすることができた.特にアンモニアを危険源とする場合は,「漏洩」「液封」を特別なガイドワードとして設定し,漏洩リスクの低減策を重点的に検討した.HAZIDワークショップで使用したワークシートの抜粋を第12図に示す.

リスクアセスメントの結果は,設計変更時や運転条件の見直しなど,適切なタイミングでフォローアップを実施し,関係部門での情報共有を徹底している.抽出されたリスクには適切な予防措置を講じ,設計図面・機器仕様・運転手順に速やかに反映する体制を整えている.

第12 図 HAZID ワークシート一例 Fig. 12 An example of HAZID worksheet
第12図 HAZID ワークシート一例
Fig. 12 An example of HAZID worksheet

5.3 漏洩リスクを最小化する安全設計の具体例

本開発で培った安全設計手法および設計指針は将来のアンモニアガスタービン発電設備の設計・運用においても有効に活用できる知見である.5. 2 節の基本方針に基づき,LCTでは以下の安全設計を実施した.

  • 配管や機器においてフランジなどの継手を最小限に抑制し,溶接構造とすることで漏洩リスクを削減
  • 燃料ルートを可能な限り短縮し,試験終了にはアンモニアを除害することで,環境への排出量を最小限に抑制
  • アンモニア系統全体をタンクと均圧状態にし,ガスアンモニアを存在させることで液封状態を防止
  • 漏洩リスクのある箇所にアンモニアガス検知器を設置し,漏洩検知時には要所に設けた緊急遮断弁の閉止により漏洩量を抑制
  • 緊急遮断弁の閉止リミットスイッチによる液封警報の発報,および液封箇所への安全弁の設置
  • 不完全燃焼などによるアンモニアガスの排出に備え,拡散シミュレーションにより排気ガス中のアンモニア濃度の許容値を設定,超過時には速やかに燃焼試験の自動停止

6. 結言

2030 年にアンモニア専焼ガスタービンの開発完了という目標達成に向け,最も重要なパーツである燃焼器の開発を短期間に進めるために,ガスタービンでの実際の燃焼器作動条件を実現できるブローダウン方式の大型燃焼試験設備を建設した.

  • 燃焼器の作動条件である圧力,温度,流量,および都市ガスとアンモニアの流量を設定どおりに実現できることを確認した.
  • 設備の設計に当たっては安全に配慮し,その設計手法や指針は将来のアンモニア燃焼ガスタービン発電設備の設計に活かせる.

本試験設備で燃焼器の性能確認後,ガスタービンに搭載し性能確認を行う予定である.

参考文献

(1) 株式会社IHI:IHIとGE Vernova による,アンモニアガスタービン開発向け大型燃焼試験設備が完工,https://www.ihi.co.jp/all_news/2025/resources_energy_environment/1201476_13752.html,(参照 2026. 4. 7)

(2) 伊藤慎太朗:アンモニア/天然ガス混焼ガスタービン燃焼器に関する研究,JSME TED Newsletter,No. 87,2019年

(3) T. Fujimori, T. Saito, T. Mizutani and T. Marutani:Experimental investigation of a lean premixed and prevaporized combustor in high temperature and high-pressure conditions,CIMAC Congress, Proceeding paper ( 2001 ),pp. 414-421

(4) T. Ikezaki, J. Hosoi, H. Toh, T. Fujimori, M. Murayama and T. Saito:The performance of the low NOx aero gas turbine combustor under high pressure,ASME Turbo Expo: Power for Land, Sea and Air,Proceeding paper,2001-GT-0084,( 2001 )

(5) Committee on Acute Exposure Guideline Levels, Committee on Toxicology and National Research Council:Acute Exposure Guideline Levels for Selected Airborne Chemicals, Vol. 6,National Academies Press,( 2007 )