
特集「技術の多様性が拓く新境地」発刊によせて
- 理事 技術開発本部副本部長 技術基盤センター所長
- 松澤 克明
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巻頭言
特集 技術の多様性が拓く新境地
特集記事:
未利用バイオマスから有用なエネルギー源を回収する: 微生物によってバイオマスを糖化・発酵させ,メタンガスを生成する実証試験を完了
燃料デブリを安全かつ効率的に取り出すために: 高放射線環境下での遠隔操作による大型搬送技術の開発
キャッシュフロー管理を改善する建設工事の管理手法: WBS導入による原価・工程・入金データの連携とBIM/CIMへの展開でお客さまとの情報共有も実現
水素エンジン向けターボチャージャーの開発: ガソリン,ディーゼルエンジンでは経験のない課題を解決
新技術採用で高効率を実現した新型ターボコンプレッサー: -工場の運用コスト低減や省エネ目標達成に貢献-
IHIグループの多種多様な現場に適用可能なオペレーショナル・テクノロジーを実現するプラットフォーム: ロボットや自動機器を群制御するためのソフトウェアフレームワークRMF2.0の開発
人工知能による荷物混載積み付け計画の自動作成: ロボットとの組み合わせで物流倉庫の積み付け作業を自動化
てくのすこーぷ
特集論文および解説
CVI法によるCMC 製造プロセスのマルチスケール反応・拡散解析と設計指針
ステンレス鋼の析出物定量レプリカ作製における電解エッチングの最適化

東北芸術工科大学 デザイン工学部 プロダクトデザイン学科
金田 莉子 氏
IHIの製品や技術をプラモデルのランナーに見立てました.
各パーツが欠けることなく結びつき,より良い世界が形づくられていく様子を表現しています.これまでの表紙に登場した飛行機や蝶などもパーツとして織り交ぜ,IHIの技術の連なりが感じられる1枚にしました.

特集「技術の多様性が拓く新境地」発刊によせて

未利用バイオマスから有用なエネルギー源を回収する
微生物によってバイオマスを糖化・発酵させ,メタンガスを生成する実証試験を完了
これまで廃棄されてきた未利用バイオマスを有用な資源として活用できれば,サーキュラーエコノミーの実現につながる.そこで,ビール粕などの未利用セルロース系バイオマスを微生物によって糖に変換し,発酵させてメタンガスとして回収する技術の開発について紹介する.

燃料デブリを安全かつ効率的に取り出すために
高放射線環境下での遠隔操作による大型搬送技術の開発
原子炉の上部から原子炉内部へ接近し,燃料デブリを取り出す工法では,損傷したウェルシールドプラグ( 原子炉ウェルと呼ばれる開口部からの放射線を遮蔽するために使用される,大型の鉄筋コンクリート製のふた)に近づき,そのウェルシールドプラグを吊り上げ,搬出することが必要となる.この一連の工程は廃炉作業で要求されるが,高放射線環境下で遠隔操作により実施しなければならず,技術的難度が高い.IHI グループは,この前例のない技術開発に挑戦している.

キャッシュフロー管理を改善する建設工事の管理手法
WBS導入による原価・工程・入金データの連携とBIM/CIMへの展開でお客さまとの情報共有も実現
これまでプロジェクト(PJ)の原価管理に使用されてきた管理体系では,お客さまとの契約書にある設計数量(Bill of Quantity:BOQ)や工事工程の情報と連携できないため,キャッシュフロー(CF)の効率的な管理に限界があった.そこで,IHIグループでは,WBS (Work Breakdown Structure)の導入を検討し,CF管理の改善を図ろうとしている.PJの構成要素を細分化することで,原価・工程・入金のデータ連携が可能となり,さらに,お客さまが求めるBIM/CIM (Building Information Modeling /Construction Information Modeling)への展開にも対応できるため,情報共有も容易になると期待できる.

水素エンジン向けターボチャージャーの開発
ガソリン,ディーゼルエンジンでは経験のない課題を解決
IHIグループは,カーボンニュートラルに貢献する技術の一つとして期待される水素エンジン用ターボチャージャーの開発に取り組んだ.従来エンジンには見られなかった凝縮水によるコンプレッサーインペラの羽根欠けと,水素燃料による材料の水素脆化に対する評価を行った.

新技術採用で高効率を実現した新型ターボコンプレッサー
-工場の運用コスト低減や省エネ目標達成に貢献-
株式会社IHI回転機械エンジニアリングが新製品「TRZ型ターボコンプレッサー」を開発した.インペラや軸受などに新技術を採用し,従来機種に比べて大風量および性能向上を実現した.開発内容と製品の特長について紹介する.

IHIグループの多種多様な現場に適用可能なオペレーショナル・テクノロジーを実現するプラットフォーム
ロボットや自動機器を群制御するためのソフトウェアフレームワークRMF2.0の開発
IHIは,製造・物流現場の自動化を加速するため,複数ロボットや設備を統合管理できるオープンソースフレームワーク「RMF2.0」の開発に取り組んでいる.これにより現場の作業効率向上や人的負荷軽減,柔軟な工程変更が可能となり,産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える基盤技術としての展開が期待される.

人工知能による荷物混載積み付け計画の自動作成
ロボットとの組み合わせで物流倉庫の積み付け作業を自動化
IHIグループは,物流自動化ソリューションの一つとして,複数種類の荷物の混載積み付けに対応したパレタイズシステムを完成させた.積載率・安定性・検品性すべてに配慮した積み付け計画を瞬時に作成可能なAIをロボットと組み合わせることで,熟練作業者の経験に頼っていた混載積み付け作業の完全自動化を実現した.

てくのすこーぷで視た藻類による貴金属回収技術の発明

過去データを活用した子部品の選択組立手法の開発
製造業における製品の組立工程では, 子部品の形状や特性の軽微なばらつきが組立後の品質に影響を及ぼすことがある.本稿では,過去データを学習した機械学習モデルにより子部品組合せの不合格確率を予測し,ハンガリアン法を用いて最適な組合せを探索する手法を提案する.シミュレーションにより,ランダムなマッチングと比較して欠陥率を低減し,製造効率・信頼性の向上に有効である可能性を示した.

CVI法によるCMC 製造プロセスのマルチスケール反応・拡散解析と設計指針
航空機エンジンの高温部材として期待されるセラミックス基複合材料は,直径約10μmの炭化ケイ素(SiC)繊維を数百本束ねたヤーンと,それを多層に織ったミリメートルサイズのプリフォームからなる.プリフォーム内にSiCマトリックスを形成する化学気相含浸法(CVI法)は,メートルサイズの反応器で実施される.CVI法は,プリフォームやヤーンの微細構造および反応器全体のミクロ・マクロ空間において,反応と拡散を精密に制御し,均一な製膜を行う必要があるため,技術的に高度な制御が要求される.本研究ではミクロ現象を反応と拡散の方程式によって解析し,マクロ現象を数値流体力学(CFD)で解析することにより,幅広い条件変更に対応した反応器設計を効率的に行うことを目指している.

セラミックス基複合材料の静的引張時の材料挙動予測
航空機の燃費向上には,高温・高強度セラミックス基複合材料(CMC)のエンジン部品への適用が必要であり,材料特性の向上とともに構造強度の高精度予測,破壊メカニズムの理解が重要である.本研究では,一方向CMCの繊維方向における静的引張荷重時の損傷モデルを構築し,一方向CMCの材料挙動を精度良く予測することを目的とした.構築したマトリックスき裂成長モデルおよび繊維破断モデルを用いることで,試験で得られた応力-ひずみ関係,およびき裂密度-応力関係を高い精度で予測することが可能となった.

ステンレス鋼の析出物定量レプリカ作製における電解エッチングの最適化
ステンレス鋼のσ相のような析出物をレプリカ法を用い定量評価する場合,母相と析出物の判別を容易にするため,電解エッチングが実施される.従来の二電極法による電解エッチングでは,電解中のサンプル表面の電位が分からないため,仕上がりにばらつきが生じやすいという課題があった.これに対し,三電極法では電解中のサンプル表面の電位を制御可能であり,再現性の観点から二電極法よりも優れるという利点がある.本稿では,三電極法を用いた現場で実施可能な電解エッチング手法について紹介する.

天然ガス熱分解による水素製造技術 第2報:連続運転に関する成果報告
天然ガスを原料とした熱分解による水素製造技術は,従来の水素製造技術に比べて水素生成時に必要なエネルギーが少なく,また炭素を固体として回収できるため,二酸化炭素(CO2)排出量を抑制しながら低廉な水素を生成できる技術として期待されている.前稿(1)では,IHIで開発している流動層を活用した熱分解法の概要を報告した.本稿では新たに製作した試験装置(水素生産量10kg-H2/d)を用いて24時間を超える連続運転を実施したので,その結果を紹介する.

画像処理と塗膜劣化曲線を利用した防食性評価
合金添加鋼と従来のSM鋼に塗装をした試験片について,屋外暴露試験を5年7か月実施した.経時で撮影した試験片の外観写真から,画像処理を用いることで劣化面積を算出し,塗膜劣化曲線を作成することができた.曲線によって塗装系ごとの劣化進展程度や合金添加鋼がSM鋼よりも良好な防食性を有していることが示された.