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第49巻 第3号(平成21年12月発行)
-宇宙開発特集号-

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国際宇宙ステーション日本実験モジュール曝露部システムと運用

  • 高田正治

現在、国際宇宙ステーション(ISS)の建設が順次進められている、日本の実験モジュール「きぼう」に関しては、2008年3月に船内保管室、2008年6月に船内実験室、2009年7月に船外実験プラットフォーム(曝露部)および船外パレット(補給部曝露区)が打ち上げられ、「きぼう」が完成した。本稿では、曝露部のシステム概要、特長およびその運用の概要について述べる。

国際宇宙ステーション日本実験モジュール「きぼう」船内実験室用実験装置の開発

  • 大西三男、酒井由美子、友部俊之、高田哲也、永島貴穂

国際宇宙ステーション日本実験モジュール与圧部は2008年5月に打ち上げられ、同年8月から宇宙実験が実施されている。与圧部宇宙実験用の供試体・実験ラックの開発を独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の契約に基づき実施した。開発した供試体・実験ラックの概要と実験結果および今後予定される実験に向けて開発をしている実験ラックの概要について報告する。今回の宇宙実験の成功を足がかりに、次期宇宙実験用供試体・実験ラックに向けて、今回の開発経験を活かし、引き続き宇宙実験の成功に貢献する所存である。

HTV(宇宙ステーション補給機)曝露パレットと機構

  • 吉江勇貴、杉村文隆

HTV(宇宙ステーション補給機)に搭載され、さまざまな曝露ペイロードを国際宇宙ステーション(ISS)に輸送するために開発された曝露パレットについて、そのミッション運用およびシステム概要を述べる。また、曝露パレットのミッション運用を成立させるために開発された二つのユニークな機構、HCSM(コネクタ分離機構)とHCAM(カーゴ取付機構)について、その特徴と開発成果を述べる。HTV初号機の曝露パレットによって二つの曝露ペイロードがISSに輸送され、軌道上実験が始まった。

HTV(宇宙ステーション補給機)推進系の開発

  • 中井俊一郎、椎木泰三、山本美緒、奥寺裕之、石崎真一郎

HTV(H-II Transfer Vehicle)は独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)で開発中の宇宙機であり、国際宇宙ステーション(ISS)への補給物資輸送をそのミッションとする。HTVはISSプログラムの一環としてISSに搭乗するクルーの安全性に配慮した設計方針が適用されており、そのためHTVサブシステムの一つである推進系に対しても有人宇宙機向けの安全設計方針が要求されている。本稿ではHTV推進系開発結果と、その特異性について述べる。

かぐや推進系の開発および運用結果

  • 高橋 衛、田村昌之、岸野義宏

月周回衛星「かぐや」(SELENE)は、2007年9月14日、種子島宇宙センターからH-IIAロケットで打ち上げられた。かぐや推進系は独立行政法人宇宙航空研究開発機構、日本電気株式会社およびNEC東芝スペースシステムズ株式会社のもとでIHIと株式会社IHIエアロスペースが開発したものであり、500N級2液式エンジン、20N級1液式スラスタ、1N級1液式スラスタなどを搭載しており、「かぐや」の姿勢/軌道制御を行った。ロケットから分離された後の制御、月周回軌道への投入、月周回軌道上での制御など推進系はすべての役割を問題なく果たすことができた。

HAN/HNベース無毒スラスタの開発

  • 福地亜宝郎、長瀬 栄、丸泉春樹

HAN(硝酸ヒドロキシルアンモニウム)ベースモノプロペラントはヒドラジン代替推進薬として研究されている。しかし、HANは爆ごう性や自燃性の危険性があり、着火応答性についても問題がある。そこで、HANに安定剤および着火改良剤として HN(硝酸ヒドラジン)を添加したモノプロペラントの試作試験を行い、高い安全性と運用性をもつ組成の試作に成功した。この推進薬を用い、1Nから20Nクラスのスラスタによる燃焼試験を実施し、良好な着火・応答特性の確認、推進性能の取得を行った。

次期固体ロケットの研究概要

  • 大塚浩仁、矢木一博、岸 光一、野原 勝、佐野成寿

次期固体ロケットは、固体ロケットとして世界最高水準の性能をもつM-Vロケットの固体技術を維持・継承しつつ、運用性を格段に向上させた低コストの小型衛星向け新型固体ロケットである。JAXAは、将来、国内だけでなく世界的な需要が見込まれる1000kg程度までの小型衛星をターゲットに2012年度以降の試験機打上げを目指して開発を計画している。株式会社IHIエアロスペースは、2009年7月に開発の中心となるシステムメーカに選定された。本稿では、多様な小型衛星に対応した機体の最適化と先進的な自律点検技術およびインテリジェントな管制システムをはじめとして革新的な運用性を実現するロケット打上げシステムの開発の概要を述べる。

次世代中型ロケット GXロケットの開発

  • 泉山 卓、志佐 陽、小林健児

GXロケットは、今後見込まれる中小型衛星の多様な打上げ需要への柔軟な対応や、基幹ロケットの補完、LNGエンジン技術の獲得などを目指している中型ロケットである。本稿では、GXロケットの構成、他ロケットとの技術的独立性やLNGエンジン使用の特長、基本諸元・性能を紹介するとともに、今後の発展構想について紹介する。

LE-Xエンジン用ターボポンプの研究

  • 水野 勉、小林 聡、小口英男

LE-Xエンジンは高い信頼性をもち、性能やコスト面でも国際競争力をもつことを目指した現在研究中の液体酸素・液体水素ブースタエンジンである。開発手法としては品質工学的な手法を取り入れた設計アプローチを用い、従来のエンジン開発手法と一線を画している。また推力100トン級であるがエンジンサイクルとしてはエキスパンダブリードサイクルを採用しており、ターボポンプには特長的な仕様が要求されている。本稿では、LE-Xエンジン用ターボポンプの基本仕様や技術的特長について述べる。