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第52巻 第3号(平成24年9月発行)
IHIグループ特集号

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1.巻頭言

巻頭言

「IHIグループ特集号」の発刊にあたって

  • 代表取締役社長 最高経営執行責任者
  • 斎藤 保

2.社長が語る

社長が語る1

日本人がもつ当たり前の気遣い,配慮の精神をハードの技術力に付加し,アジア市場から 世界を目指す

  • 株式会社IHI回転機械
  • 代表取締役社長
  • 村井秀之

社長が語る2

省エネ,環境規制によるエネルギー転換にビジネスチャンスあり!

  • 株式会社ディーゼル ユナイテッド
  • 代表取締役社長
  • 宇都宮正時

社長が語る3

車両の製造販売およびアフターサービスから新しいニーズを探り,鉄道・交通システムの 総合サービス企業を目指す

  • 新潟トランシス株式会社
  • 代表取締役社長
  • 山下 豊

3.てくのすこーぷ

てくのすこーぷ

てくのすこーぷで視た回転機械の発明

  • 知的財産部

4.我が社の看板娘

我が社の看板娘

LNG貯蔵・輸送・燃料タンク 生まれつきの安全性能で想定外に備えるIHI-SPB方式LNGタンク

  • 株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド

スロッシングが発生しないため,どんなLNG液位でも安心で,生まれつき衝突・浸水などのトラブルに強いIHI-SPB方式LNGタンクがLNG貯蔵・輸送・燃料タンクに選ばれています.

我が社の看板娘2

機械心臓の健康もサラサラ血液から 機械の状態異常を早期に検知し,重大トラブルを未然に防止することができるMF- Detector

  • 株式会社ディーゼル ユナイテッド

風力発電装置,エンジン,ポンプなどは摺動・回転部品が心臓部である.この心臓部の状態の良否は,機械の血液である潤滑油の中に混入してくる金属粉の量を電気的に検知することで,診断できる.

我が社の看板娘3

ジェットエンジン頭脳の健康診断装置 ジェットエンジンの機能・性能評価試験に威力を発揮する「CSテストセット」

  • 株式会社アイ・エヌ・シー・エンジニアリング

航空自衛隊T-4練習機に搭載されるF3エンジンの整備に使用する器材「コントロールシステム (CS)・テストセット」.新規開発した新型器材は,従来型に比べ,操作性,試験効率,
可搬性を向上させ,運用部隊から好評を得ている.

5.我が社のいち押し技術

我が社のいち押し技術1

衛星の姿勢・軌道制御装置の長寿命化技術 世界最高レベルの寿命と低コスト化を同時に達成した1Nスラスタ

  • 株式会社IHIエアロスペース
  • 池田博英

旧世代1Nスラスタの問題点(短寿命,噴射モード制約,消費電力大,高価格・長納期)を大幅に改良し,世界TOPレベルの寿命と信頼性,そして商業ベースの価格と納期を有する1Nスラスタの開発に成功した.

我が社のいち押し技術2

新しい環境基準に適応した舶用エンジン 地球に優しいディーゼルエンジンを効率的に開発

  • 株式会社IHI
  • 山田 剛

動力近代化は人々の生活を画期的に豊かにした一方で環境負荷を増大した.そのため1970年に,生活環境に影響が大きい自動車用エンジンに対して,アメリカが世界初の厳しい排ガス規制を課した.昨今の健康や地球環境保護への意識高揚から,船舶用エンジンの排ガス規制の強化が2016年から計画されている.規制に適合するエンジンシステムの適時市場投入が必須であり,効率的な開発手法がエンジンメーカ生き残りの鍵を握る.

6.こんなビジネスが面白い

こんなビジネスが面白い1

バリエーション豊富な品揃えと抜群の省エネ性能で小型コンプレッサの領域に切り込む 給油式スクリュコンプレッサGAシリーズ

  • 株式会社IHI回転機械

世界No.1シェアのアトラスコプコ株式会社の汎用型給油式コンプレッサを,株式会社IHI回転機械 (ICM) の専門エンジニアによる保守サービスで提供.

こんなビジネスが面白い2

プラントの健康診断でライフサイクルコストを低減 構造・材料解析技術と保守ノウハウを融合させ,新興国で新しいビジネスの展開をサポー トする リスクベースメンテナンスシステム『uni-Planner』

  • 株式会社アイ・エイチ・アイ・マリン

中国や東南アジアでは,石油・化学など多数のプラントが新設されている.その一方で,石油をはじめとした資源には限りがあり,また,世界的な環境への関心の高まりから,プラントの効率的な運転がこれまで以上に注目されている.そこで重要になるのが,プラントの稼働率の向上と保守費用の削減によるライフサイクルコストの低減である.株式会社アイ・エイチ・アイ・マリン (IMC) では,リスクベースマネジメント (RBM) という考え方に基づき,新しい設備管理サービスを展開していく.

7.箸休め

箸休め

釣鐘のお話

  • 技術開発本部 小野塚正一

8.技術論文および解説

技術論文および解説1

LNG燃料船用IHI-SPBタンク

  • 永田良典,田ノ上聖,木田隆之,川合 崇

船舶から排出されるNOx,SOxの3次規制が2015年から順次始まり,ECA (Emission Control Area) では現行の2次規制からNOxの排出量を80%削減,また,燃料中に含まれる硫黄分を0.1%以下に抑えることが義務付けられる.これに対応するため,現在最も注目されているのが船舶へのLNG燃料の適用である.一方,IHIMU独自技術としてIHI-SPB LNGタンクがありLNG船への適用実績もある.IHIMUではIHI-SPBタンクを用いたLNG燃料供給システムの開発,試設計を行っており,本稿ではその特長,優位性などについて述べる.

技術論文および解説2

IHI-SPB LNGタンクのスロッシングに対する構造安全性

  • 小早川広明,楠本裕己,豊田昌信

FLNGやLNG燃料船用のLNGタンクとして,スロッシングに対する高い構造安全性をもつIHI-SPBタンクが注目されている.IHI-SPBタンクのスロッシングに対する構造安全性を支えるものとして,貨液運動と船体運動の同調回避設計および多くの試験や数値計算に裏付けされた高い信頼性をもつ設計技術が挙げられる.本稿では同調回避設計の必要性と,最新の計算手法である粒子法を用いた貨液運動による荷重の再現について紹介する.

技術論文および解説3

IHI-SPB LNG運搬・貯蔵・燃料タンクの安全性

  • 豊田昌信,楠本裕己,渡辺一夫

近年のLNG需要の高まりや大水深・大深度ガス田の開発によって,洋上LNG生産・貯蔵・出荷設備やLNG海上輸送,LNG燃料船など,海上でのLNGサプライチェーンが注目されており,これらのLNGタンクとしてIHI-SPB方式が選ばれている.IHI-SPB方式LNGタンクは,その内部に構造部材が配置された自立角型タンクであり,スロッシングが発生しない,損傷がないなど信頼性が高く,衝突・浸水時などの万一の事故に対しても安全性が高いタンクである.さらに,容易なメンテナンス性はライフサイクルコストでも優れており,荒れた海での航海や長期間の連続稼働に欠かせないLNGタンクである.本稿ではIHI-SPBタンクが生まれもつこれらの安全性能について紹介する.

技術論文および解説4

大型舶用主機関用2ストローク型予混合燃焼式ガスエンジンの開発(実現可能性の検証)

  • 廣瀬孝行,久下喬弘,増田 裕,山田 剛,梅本義幸

近年,舶用主機関の環境規制強化が進められており,温室効果ガスおよびNOxの排出低減が可能なLNG (Liquefied Natural Gas) を燃料とするガスエンジンが注目されている.しかし,既存のガスエンジンは4ストローク型であり,大型船に必要な大出力,低速,高効率と高信頼性を実現できる2ストローク型のガスエンジンは技術的な難しさから商用化されていない.本研究ではCFD (Computational Fluid Dynamics) などの机上検討を基に,前人未到の2ストローク型予混合燃焼式ガスエンジンの技術課題を克服する新コンセプトを提案し,実ディーゼルエンジンの1気筒をガス燃焼仕様に改造した試験で,立案した新コンセプトの実現性を実証した.

技術論文および解説5

レシプロエンジン開発における構造・強度評価技術

  • 戸田恭子,齊藤俊之,渡辺泰秀,加藤尚次,後藤 悟

近年,新しく開発するエンジンに対する要求が厳しくなるなかで,小型軽量化,高信頼性を実現するためには,FEMによる構造解析・CFDなどのCAEを用いた強度検討技術は欠かせない手段となっている.新潟原動機株式会社は,部品ごとに製造組立時,エンジン運転時の複雑な物理現象を考慮したFEMによる構造解析を実施しており,最適設計,開発期間短縮,開発コスト削減に取り組んでいる.本稿は,高性能環境対応エンジン28AHX開発時に実施したFEMを用いた構成部品の強度検討内容を紹介する.

技術論文および解説6

独立駆動オーガによる省エネルギー型ロータリ除雪車

  • 宮廻成志

ロータリ除雪車は50年以上の歴史のなかで,日本の国情や雪質に合わせ世界に類を見ない高性能な除雪機械として発展してきた.省エネルギー・環境対策技術が注目されるなか,除雪設計のなかでは昔から知られているシカードの式にロータリ除雪車の省エネルギーのヒントが隠されていた.現在,開発を進めているオーガ独立駆動によって得られる省エネルギー技術について紹介する.

技術論文および解説7

ラフィングジブ・クローラクレーンCCH3000LJの開発

  • 寺内哲行,川本 良,中島貴史,三村 等,町田将一

近年,インドや東南アジア諸国などの新興国を主としてインフラ構築のニーズが急拡大するなか,IHIグループでは火力・原子力といったエネルギープラントや橋梁・水門といった社会インフラなどの建設を通じて,各国の発展に貢献している.そういった巨大建設の主役として,IHI建機株式会社が提供するクローラクレーンも活躍の場を広げており,また,より大規模なモジュール工法の実現によってお客さまの工事効率化に貢献すべく,各メーカとも競って大型新機種の投入や吊り能力などの基本能力の向上に取り組んでいる.今回,こういった基本能力で競えるだけでなく,短期間での組立や少ない配車での輸送などの付加価値もプラスした,お客さまのトータルコスト削減に貢献するクローラクレーンを開発した.

技術論文および解説8

1 000℃大気中におけるNi-Cr合金のトライボロジー特性

  • 義久順一,横山文彦,山﨑崇広,大前 夫

1 000℃大気中におけるNi-Cr合金のトライボロジー特性を明らかにするとともに摺動面の表面状態を詳細に観察した.摺動面上にはグレーズ酸化膜の形成が確認されており,1
000℃大気中の適切な試験条件においては摩耗粉の発生が促進されるため,グレーズ酸化膜が形成されやすくなり,摺動の比較的初期段階から摩擦係数の低下など良好なトライボロジー特性を示したと考えられる.

技術論文および解説9

機械加工シミュレーション技術による高能率加工

  • 佐々木渉,岩﨑孝行,長谷川雅信,佐賀立郎,澤田法吉

近年,製品のさらなる高品質化,リードタイム短縮およびコスト削減が求められており,機械加工においても高精度,高能率化が求められている.今なお,製造現場では過去の経験やトライアンドエラーに頼った加工の最適化が行われている一方で,数値解析の進歩に伴い機械加工にもシミュレーションが適用されるようになり,加工現象の予測が可能になりつつある.そこで本稿では,FEMによる機械加工シミュレーション,振動解析による加工びびり予測,および切削負荷解析によるNC (Numerical Control) プログラムの最適化,によって高能率化する手法を示し,その適用事例を紹介する.