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脱CO2・持続可能な循環型社会の実現

  • 執筆者の所属名は発行当時のものです。
  • IHI技報に掲載されている情報は発行当時のものです。開発、製品製造を終了している可能性がありますので、ご了承ください。
カーボンリサイクル

近年、地球上の様々な場所で、豪雨、ハリケーン、熱波、干ばつなど地域により異なる異常気象が頻発しています。
また、異常気象による災害も多発し、人的被害だけでなく甚大な物的、経済的損失も発生しています。
頻発している異常気象は、 地球の温暖化 、つまり地球の温度上昇が原因と考えられています。

このような気象変動を起因としたさまざまな脅威に備え、温暖化防止をはじめとした地球の課題に向き合う必要があります。

エネルギー、防災・減災ほかの社会基盤インフラ整備に長年寄与してきたIHIグループは、カーボンニュートラルに向かって、真正面から取り組み、未来の豊かな社会を創るための技術開発に挑戦していきます。

カーボンリサイクル

CO₂回収・有価転化フロー

炭素循環型社会を実現するためには、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を積極的に利用することが求められます。
IHI グループでは、CO2 を燃料として利用可能なメタン(CH4)に変換するメタネーション技術の開発に取り組んでいます。
メタネーションプロセスの実用化を図る上でキーとなるのは、反応を加速させる触媒です。
IHIグループはシンガポールの化学工学研究所(Institute of Chemical and Engineering Sciences、ICES)との共同研究で、高活性で長寿命な触媒を開発しました。

分散エネルギー∕エネルギーマネジメント

令和2年度 新エネ大賞 経済産業大臣賞

IHIは、福島県相馬市と共同で、2018年4月、再生可能エネルギーの地産地消を実践し、将来の水素社会に向けた実証を行う場として、「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」を開設しました。当センターでは、地産地消型のエネルギー マネジメントシステムによって、既存の送配電系統に逆潮流させず、エリア内で太陽光発電電力を最大限有効活用しています。
2020年9月には、水素利用の先進技術開発拠点として「そうまラボ」を開所し、オープンイノベーションの場として、先駆的技術の研究を行う研究機関や企業にも提供していきます。
これらの取り組みが評価され、IHIは令和2年度「新エネ大賞」において、最高賞である「経済産業大臣賞」を、相馬市、パシフィックパワー株式会社と共同で受賞しました。

バイオマスバリューチェーン

IHIグループは、バイオマス製造・輸送・利用の中で、パームのような製造事業や、ボイラ混焼・ガス化のような利用技術を持って関わっていきます。
例えば、褐炭・バイオマスなどをガス化し多用途利用を可能にする「二塔式ガス化炉TIGAR® 」を開発しました。また、有効利用法が見いだされていないパームバイオマスを改質した後にペレット化して、ボイラ向けの再生可能燃料とするプロセスを開発しました。

燃料アンモニア利⽤

IHIが目指すカーボンフリーエネルギーサプライチェーン

IHIは、化石燃料に替わるカーボンフリー燃料としてアンモニアに注目しています。
アンモニアはカーボンフリー燃料である水素から製造可能であり、直接燃焼可能なカーボンフリー燃料です。
さらに、水素に比べて輸送効率が良く、製造・輸送・貯蔵技術が既に確立されてることから、大規模利用に適しています。
IHIでは、アンモニアをガスタービン、微粉炭焚きボイラ、固体酸化物型燃料電池、レシプロエンジンの燃料として直接利用するための技術開発に取り組むとともに、燃料アンモニアの供給や標準化など、サプライチェーンを構築するための活動も実施していきます。

再⽣可能エネルギー

奈義太陽光発電所(岡山県奈義町)

太陽光発電は天候の影響を受けて発電電力が大きく変動するため、その大量導入に伴い、系統の電圧や周波数に影響を与える可能性があります。そこで、IHIは、発電所から系統へ安定的に電力を供給するための蓄電池制御技術を開発しました。例えば「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」で、蓄電池制御技術が生かされています。

(株)IHIプラントは、大規模なプラント建設や太陽光発電所の運営などに豊富な実績があります。ここで得たノウハウを活かし、「産業用太陽光発電設備」のシステム設計、各種機器調達、現地据付を手掛けています。

化石燃料に替わる将来のエネルギー源として、藻類バイオ燃料が注目されています。IHIと国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構は、微細藻類からバイオジェット燃料を安定生産する技術の開発事業を進めています。
開発したバイオジェット燃料は国際規格ASTMの認証を取得し、既存のジェット燃料と混合して民間航空機の運航に使用できます。これにより航空機が排出するCO2の削減が一層期待されます。
現在、デモフライト実現への準備を進めています。

カーボンネガティブ

CO2排出量をゼロどころか実質マイナスにするカーボンネガティブを発電分野で実現することを目指し、IHIは酸素燃焼技術やCO2分離・回収技術の開発に取り組んでいます。空気から分離した酸素で褐炭やバイオマスをボイラで燃焼させ、排ガスを圧縮・冷却することにより、純度の高いCO2を回収することができます。