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第48巻 第2号(平成20年6月発行)
-圧延機特集号-

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双ロール式ストリップキャスタの開発と商用化

  • 松下俊郎、中山勝巳、深瀬久彦、長田史郎

当社は1982年に新しい鋼板の製造プロセスであるストリップキャスタの開発を開始し、200mm幅の鋳造に成功した。1989年からオーストラリアBHP社と共同開発を開始し商用化にめどをつけ、2000年にアメリカNUCOR社と3社で Castrip 社を設立した。その後NUCOR社から受注した商用1号機は、インディアナ工場に建設され、順調に稼働している。0.85~1.5mm の超薄鋼板は熱延板・冷延板代替として実用に供され、生産量はすでに65万tに達する。現在、新たに受注した2号機の建設を進め、2008年内の稼働をめざしている。(圧延機特集号)

サイジングプレスのHSMへの適用とその進捗

  • 田添信広、百々 秦、西井 崇

1985年に、初めて住友金属工業株式会社鹿島製鉄所に納入したスラブ幅サイジングプレスは、その後20年以上経過した現在、合計13基の受注を得、世界中で順調に稼働中である。従来複数スタンドの縦型および水平圧延機のみから構成されていたHSM(ホットストリップミル)ラインに、大型のスラブ幅サイジングプレス設備を導入するまでには、多くの技術課題をもち、さまざまな材料変形モデル実験、数値解析などの実施,さらにそれらの結果を使った関連新装置の設計が必要であった。本稿では、約20年を経過し、HSM で定位置を確保した同設備が出現するまでの歴史、またその導入のメリット、同設備の特長、プレス後材の変形の特徴などを再度総括し、同設備を俯瞰する。(圧延機特集号)

板圧延におけるIHI形状制御装置

  • 本城 恒、佐藤全佳、口 誠寛

板圧延において板形状(板平たん度と板クラウンを総称して板形状と呼ぶ)を制御する板圧延形状制御装置として、さまざまなタイプのものが国内外から報告されている。当社も客先の各種要望、条件などに対応して、さまざまな種類の板圧延形状制御装置を納入してきている。これら板形状制御装置の特性、用途、適用分野などについて総括して述べる。熱間鋼板圧延においては、現在は特殊研削ロール形状を付与した作業ロールをロールシフトするタイプの板形状制御装置を主に客先に納めている。(圧延機特集号)

熱間板圧延における形状制御技術の開発 -板クラウン・平たん度制御システムPFSUの開発-

  • 佐藤全佳、口 誠寛

鋼板形状制御の高精度化を目的として、形状制御システムPFSU(Profile and Flatness Set Up System)を開発した。本システムは、当社で開発のCNP(Combined Numerical Profile)Millと組合せることで、実操業において高い形状制御能力と制御精度を実証し、飛躍的な鋼板品質の向上を果たすとともに、客先から高い評価を得ている。本稿では、熱間帯鋼仕上圧延機および可逆式仕上圧延機における最新の鋼板形状制御システムPFSUの概要を紹介する。(圧延機特集号)

ホットストリップミルにおける薄鋼板圧延技術

  • 本城 恒、遊佐 覚、三上昌夫、山口方士、石井 肇

熱間薄鋼板圧延について金属組織と圧延特性の関係を考察した。稼働中のホットストリップミルを解析対象設備として選び、1.2mm仕上げ厚みの低炭素普通鋼について冶金組織解析シミュレータによって解析した。仕上6スタンドを備える圧延設備での薄鋼板圧延であるため板温度低下が大きく、下流スタンドがフェライト域近傍の圧延となるが、金属組織としては普通鋼の組織と大きな差は起きないことが解析で示された。圧延時の板厚方向温度分布に基づく組織への影響についても考察した。薄鋼板圧延特有の圧延不安定現象に対処するための機械設備仕様についても考察した。(圧延機特集号)

油圧圧下制御用高速演算装置およびサーボ弁特性測定装置の紹介

  • 箕浦晃治、深水 隆

1993年に圧延機の油圧圧下制御用として開発した従来式の制御装置から汎用性・拡張性の向上、プログラムの簡易化を図るため、新型の高速演算装置を開発した。2000年12月の1号機から2007年12月末までに累計25台を出荷し、順調に稼働中である。また、本高速演算装置のデータ収集技術を適用し、サーボ弁特性測定装置も実機化した。本高速演算装置は汎用装置であることから、適用対象はユーザの自由である。本稿では、本高速演算装置およびサーボ弁特性測定装置を紹介する。(圧延機特集号)

アルミニウム圧延機の設定計算システムの概要

  • 佐藤一幸

IHIグループはアルミニウム圧延設備について国内外ともに豊富な製作実績を誇る。近年、これらの圧延設備には設定計算システムが装備され、数式モデルから求めた設定値とデータベース化された設定値がセットされる。これによって、操業は立ち上げ早期に安定し、製品の板厚分布精度の向上が可能となった。従来は圧延機ユーザ任せであった分野を電気メーカと協力し、設備メーカとして主要な部分を供給可能とした。今後も圧延設備の高付加価値に不可欠な技術として発展させ改良を続ける。(圧延機特集号)

冷間圧延における形状制御と空気軸受式形状計

  • 雲英洋一、都筑 茂、三角憲二

空気軸受式形状計を用いた形状制御システム(IHI Sheetflat)は、1985年の実用化以来、多くの客先に利用されている。圧延製品の品質に対する要求は厳しくなっており、形状計もそれに対応するため高品質化を進めてきた。形状制御では、フーリエ級数展開を主とした形状の解析と修正動作を行うとともに、圧延データをサンプリング保存して品質管理に用いるなどの機能向上を図ってきた。形状制御の効果は極薄箔でも実証されており、アルミニウムや銅などの圧延ラインで実績を積み重ねている。(圧延機特集号)

薄物箔圧延用多段ロール計算シミュレータの開発(第1報) -シミュレータの概要-

  • 田添信広、栫井邦彦、石井 肇、松澤 司、石塚 仁

薄物箔材用の通常4段および6段X、10段X圧延機のロール変形、板クラウンなどを統一的に解析可能な計算シミュレータを開発した。これによって、薄物箔材圧延で特徴的なキスロール圧延(板厚が薄いためにワークロール両幅端部が弾性接触しながら板圧延も同時進行する)領域を詳しく解析できるようになった。またその際のミル出側板クラウンへのロールベンダーなどのアクチュエータの効果を精度良く算定できるようになった。本稿では本シミュレータの概要を紹介する。(圧延機特集号)

圧延機の技術を生かした特殊機械

  • 百々 秦

圧延機および圧延設備の設計・製作には高度な技術が必要である。数千tの圧延荷重を油圧で制御し、ミクロン精度で圧延し、総重量は1000t以上となる物もまれではない。ここでは、これら圧延機部門の設計・製作技術を生かして製品化した特殊機械、特に艦艇に対する水中爆破衝撃を模擬するG2000衝撃試験装置と、パラレルリンクモーションシステム技術を活用した自動車用プレスの高速搬送装置について紹介する。(圧延機特集号)