価値創造を支える基盤ガバナンス・
リスクマネジメントの強化
IHIグループでは、取締役会や各委員会を通じて、経営の意思決定と監督の実効性を高めています。仕組みの全体像と、どのように実効性を高めているかを示します。
社外取締役の中西が取締役会・指名諮問委員会・報酬諮問委員会の成果と課題について説明します。
ガバナンスを読み解く視点
リスクマネジメントにあたって
中西義之
社外取締役
指名諮問委員会委員長
報酬諮問委員会委員長
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インタビュー実施時点
(2026年5月)の役職
2026年6月より社外取締役、
取締役会議長、指名諮問委員
会委員、報酬諮問委員会委員
取締役会における 成果 と 課題 2025年度
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成果
中長期の方向性において、2040年のありたい姿を整理し、経営の方向性を明確化
事業ポートフォリオ見直しが進展し、中長期の価値創出、資源配分の視点へと議論が深化
事前説明・オフサイト活用により議論の質が向上
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課題
中長期の方向性を踏まえた事業戦略と資源配分の具体化
リスクの早期把握・再発防止策の実効性検証
中長期の方向性について
取締役会では、2040年に向けた中長期の方向性に関する複数のテーマを議論しました。特に「For Industry & National Security」は、対外的な受け止めも踏まえて、慎重に議論を重ねました。その結果、「National Security」は防衛に限った意味ではなく、社会全体の安心・安全を支える基盤を提供するという広い概念として整理し、IHIグループの長期的な成長の軸として位置付けました。
今後の重要な監督テーマは、①事業ごとの競争力強化と資源配分に中長期の方向性をいかに反映していくか、②その実行を担う体制をどう継続的に確保するか(CEOサクセッションを含む)です。取締役会として、目標や投資判断が中長期の方向性と整合しているかについて、プロセスと結果の両面から監督していきます。
2025年度振り返りと課題
2025年度は、事業ポートフォリオについて、IHIグループおよび業界の成長性や資源配分の観点から議論が進みました。その中で、個別事業の売却・整理にとどまらず、中長期の方向性と整合した形で、どの領域で価値を創出していくのかという視点で議論する方向へ変化しています。
一方で、取締役会の実効性向上に向けた課題も明確です。社外取締役への事前説明やオフサイトミーティングによる個別議論の充実により議論の質は改善していますが、限られた時間で重要テーマの議論に集中するための論点整理と、必要十分で簡潔な説明・資料の在り方は改善の余地があると認識しています。
また、不適切事案の未然防止やリスク情報の把握は、取締役会として引き続き最重要テーマの一つです。執行側では、リスク情報の集約とモニタリングの仕組み、内部監査の機能を見直す動きが進んでいます。取締役会としては、体制やルールが整ったかではなく、リスクの早期把握と是正が実際に回り始めているか、そして同様の事案を繰り返さない組織文化の形成・継承につながっているかを、継続的に点検していきます。これらの強化の動きを前進と評価していますが、実際にリスクの早期発見・対応につながっているかについては、引き続き注視していく必要があります。社外取締役として、実効性ある体制として定着していくことを期待しています。
指名諮問委員会における 成果 と 課題 ~2025年度
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成果
CEOサクセッションについての議論の体系化
CEO候補者のリスト化や外部アセスメント活用により評価の客観性を向上
社外取締役によるCEO候補者への面談を通じた多面的な人物評価
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課題
CEOサクセッション制度が実際に機能しているかの検証
⼥性や外国⼈の登⽤などの多様性確保
指名諮問委員会では、CEOサクセッションに関する議論が体系的に進められており、中長期の方向性と連動した経営人財の定義やCEO候補者のリスト化、外部アセスメント※の活用など、計画的な後継者育成プロセスの整備が進展していると評価しています。また、2022年からは、社外取締役が執行役員と直接面談し、CEO候補者の人物像や適性を多面的に把握する機会が確保されています。
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外部機関による候補者の評価
制度としての枠組みが整いつつある一方で、その実効性を担保するための継続的な検証は必要です。中長期の経営環境の変化を踏まえ、CEO候補となる人財が必要十分に獲得・育成されているかという観点で、さらに議論を深めていく必要があると考えています。具体的には、候補者が計画的に必要な経験を積めているか、CEOサクセッションの実現性が担保されているか、という観点で確認していきます。
また、取締役会の人員構成については、独立性・客観性の観点から、社外取締役の人数を過半数に維持することが望ましいという認識を共有しています。人選は定義したスキルマトリクスを厳密に満たすことよりも、多様な視点の確保を重視しています。女性や外国人の登用を含め、多様性確保の取り組みの進展を注視しています。
報酬諮問委員会における 成果 と 課題 ~2025年度
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成果
業績連動・株式報酬の見直しによりインセンティブ機能を強化
ESG指標を組み込み、定量的・多面的な評価体系へ進化
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課題
指標の妥当性検証
報酬諮問委員会では、役員報酬のインセンティブ機能強化に向けた制度の見直しを進め、2025年の制度改訂で業績連動賞与と株式報酬を制度変更しました。従来は業績連動賞与がインセンティブとして十分に機能していない課題があり、利益とキャッシュ創出への貢献度合いが十分反映される評価制度に変更しています。また、役員が中長期的な企業価値向上を意識し株主と同じ目線で意思決定を行うために、譲渡制限付株式報酬制度を導⼊しました。
加えて、ESG指標(温室効果ガスの削減、従業員エンゲージメントの向上、DE&Iの推進の取り組み)を2024年度に評価に組み込み、定量的で多面的な評価体系の構築を進めています。これらの指標が経営の意思決定や行動変容にどの程度結びついているかについては、今後の重要な検証課題です。報酬制度が実効的に機能しているかという観点から議論を継続していく必要があります。
中西 義之
IHIグループの監視監督機能
コンプライアンスの強化
2026年6月、IHI子会社の株式会社IHIエアロスペースが、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)の機材装置の保全業務に関する契約などにおいて、事実と異なる報告に基づく費用請求が確認されたことを理由として、JAXAから5カ月間の競争参加資格停止処分を受けました。
IHIグループでは過去の不適切事案を受け、グループをあげて再発防止策の実行やコンプライアンスの徹底に取り組んできました。しかしながら、取り組みを進める中でこうした新たな事案が確認され、依然として取り組みに不十分な点があることを強く認識しています。同様の事案を二度と起こさぬよう、トップ自ら全従業員に対して「コンプライアンスは私たち一人一人が最も大切にすべき中核となる価値であり、コンプライアンスを徹底しなければIHIグループの存続も成長もない」とのメッセージを繰り返し発信しています。また、職場ごとの対話活動を推進するとともに、経営層、管理職、新規入社者など、各層に合わせた教育プログラムの充実を図っていきます。これらの取り組みにより、不適切な行為に対して声があがらない組織風土から脱却し、従業員一人一人がコンプライアンスを自分事として意識して徹底し、自律的に問題を解決できる組織風土へと変革していくことを目指していきます。
IHIは、取締役会および指名・報酬諮問委員会の監視監督機能を通じて、経営の意思決定の適切性と中長期的な企業価値向上を担保しています。本ページでは、社外取締役の視点から、各機関における成果と課題を整理し、戦略の実行や経営人財の育成、報酬制度の実効力がどのように検証・強化されているかを説明します。
